北海道ガスのBacklog好きが披露した“社内浸透のための工夫”
上司にタスク管理ツールを使わせるために「ここまでする?」 秘策は「ワンクリックBacklog」
使い慣れたツールから“強制誘導”する「ワンクリックBacklog」
峠氏がもうひとつ紹介したのが、Backlogに不慣れな管理者に“強制的に”利用を促す「アクセス導線」の工夫だ。
Backlogでは、課題リストを表示する際に、種別やカテゴリ、開始日といったフィルターをかけて絞り込み表示をすると、フィルターがそのままURL文字列に保持される仕様になっている。「これ(フィルターを含むURL)をコピーして使えばいいじゃない」というのが工夫の出発点だ。
具体的には、管理者に見せたい形式でフィルタリングをしたURLを、「Aチームガントチャート」「Bチームガントチャート」と名付けて、ドキュメント上に羅列する。これにより、ワンクリックで各チームの進捗が表示できる「管理者向けのドキュメント」が出来上がる。
これこそが、峠氏が「ワンクリックBacklog」と呼ぶ工夫である。
峠氏は、さらにひと手間加えている。このドキュメントのURLを、管理者が使い慣れているGoogleカレンダーの予定表にも盛り込んだ。「管理者がBacklogに不慣れでも、ワンクリックで欲しい情報にアクセスできるようにし、利用する機会を定期的に、かつ“強制的に”つくる。そして、情報共有による透明性の高さを実感してもらう。こうすると、自然にBacklogを使ってくれます」(峠氏)
その結果、管理者は、2か月ほどで自らBacklogのフィルターを使い始め、起票をし、コメントを書くようになったという。ポイントは、管理職が使い慣れたツールから導線をつなげたこと、予め情報や環境を整備したことだ。
峠氏は、「皆さん、ここまでしないと使ってくれないの? と思うかもしれないですが、使ってくれないです」と語る。「ただ、管理者と一緒に情報を整理すると、皆のモヤモヤも晴らすことができます。上司と一緒に、Backlogをきれいに使い、情報の透明性を高め、本当に必要なものにアプローチできるようにすることは、非常に価値が高いです」と強調した。
チームワークマネジメントの5つの要素が事例の“羅針盤”に
最後に峠氏は、さまざまな企業事例を読み解くうえで“羅針盤”になるという、「チームワークマネジメント」を紹介した。Backlogの開発元であるヌーラボが提唱するチームワークマネジメントは、「目的の共有」「役割の明確化」「リーダーシップの発揮」「コミュニケーション設計」「心理的安全性」の5つから構成される。
今回の事例では、峠氏が「リーダーシップ」を発揮して、「コミュニケーション設計」をBacklogに落とし込んだ。その結果、親課題を見れば「目的が共有」される状態をつくり、情報の透明性を確保したことで「心理的安全性」が高まった。そして、「役割が明確化」される設計であり、上手くいかない場面では役割の権限が施行されていなかったという。
峠氏は、「他社の良い事例がなぜ成功したかを考える時、自社の取り組みにモヤモヤしている時に、この5つの要素を羅針盤的に使ってみてください」と締めくくった。




