SerialTec Japan「Panoplia Powered by msi R7B65507TPM3D」レビュー
重装歩兵の完全武装というカッコいい名を持つゲーミングPCを知ってる?安心の国内製造、国内サポートで信頼性も抜群だ!
普段のPCとしてはどうか。非ゲーム・ベンチマークも見てみよう
高いゲーミング性能は明白となった。では普段のPCとしてはどうだろうか。まずCPU、SSDのコンポーネントごと一般的なベンチマークにかけてみた。
まずは「CINEBENCH 2024」でCPUをスコア化しよう。CINEBENCH 2024は3Dレンダリングソフトをベースとしたベンチマークで、そのレンダリングにはCPUを用いる(GPUを用いるテストもあるが今回は使わない)。設定は「Advanced」の標準を使用した。Multi Core、Single Coreとも1巡でスコアを出すのではなく、10分以上テストを繰り返してスコア化するものだ。実際のスコアはMulti Coreが1053pts、Single Coreが112ptsという結果だった。
Ryzen 7 7800X3Dは1世代古いCPUなので、最新世代CPUの同クラスと比較すれば若干低い。ただし、最新世代でもRyzen 5など下のグレードと比べればより高いMulti Coreスコアだ。全体的に見ればRyzen「7」グレードなりの高スコア。2、3世代古いCPUになるとその差が歴然となるが、まだ差は少なく現役「7」グレードCPUと言えるだろう。もちろん上には「9」グレードの12コア、16コアがあるとして、一般PCにおけるスタンダードの「5」グレードよりも高性能だ。ビジネスソフトや写真・動画の編集など重い処理をさせた時の快適さもひとつ上と考えて間違いない。
次に「CrystalDiskMark」でSSDの転送速度を見てみよう。パーツ構成で見たように、「Panoplia Powered by msi R7B65507TPM3D」はコストを考慮してかPCI Express 3.0 x4接続のSSDを採用している。なお、CrystalDiskMarkは設定メニューを開き、デフォルトからNVMeと、M.2 NVMe SSD向けのテストに切り替えている。そのほかはデフォルトで計測した。
CrystalDiskMarkの計測値だが、シーケンシャルリード1M Q8T1で3024MB/sec(ほぼ3GB/s)、同ライトで2475MB/s(ほぼ2.5GB/s)だった。ランダムリード4K Q32T16は1429MB/s、Q1T1だと55.53MB/s、同ライトは2458MB/s、235.69MB/sだった。全体的に見て、昨今のゲーミングPC基準で見るとやや遅めだ。
とはいえ快適さが損なわれるほどの遅さはない。下の表はファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークのローディングタイムを抽出したものだ。左が本製品、右はPCI Express 4.0 x4のほかの製品(シーケンシャルリード1M Q8T1で7006MB/sクラス)のデータである。
| 本製品が左、PCIe Gen4x4 SSDが右 | ||
|---|---|---|
| シーン#1 | 0.251sec | 0.292sec |
| シーン#2 | 2.154sec | 2.154sec |
| シーン#3 | 2.263sec | 2.489sec |
| シーン#4 | 2.328sec | 3.454sec |
| シーン#5 | 1.247sec | 1.161sec |
| 合計 | 8.243sec | 9.676sec |
これを見ると、CrystalDiskMarkでは比較対象より遅いSSDの本製品のほうが、ゲームのロードではより速いといった結果になる「こともある」というのが分かる。実運用ではそう単純ではないとも言える。ただし、アプリによっては明確な差がつくこともある。そこは次で見ていきたい。
最後にPCMark 10でゲーム以外のさまざまな用途におけるパフォーマンスを見てみたい。PCMark 10(Standard)は、Essentials、Productivity、Digital Content Creationと3つのシナリオで構成されている。順にホーム用途、ビジネス用途、クリエイター用途といったイメージだ。
Overallは8732ポイント。各シナリオのスコアはEssentialsが10628ポイント、Productivityが10211ポイント、Digital Content Creationが16648ポイントだった。Overallの8732ポイントというのは十分高スコアだが、この構成ならOverallで9000ポイントを上回っても不思議ではないと予想していたので少し気になって調べてみた。直近の近しい構成のPCで計測したPCMark 10スコアと比較をしてみると、EssentialsのApp Start-upテストが1000ポイントほど低かった。おそらくここが原因だろう。App Start-upは各種アプリの起動にかかる時間を計測するテスト。先ほどファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークのローディングタイムでは、CrystalDiskMarkでより速いSSDよりも実際には本製品のほうが速いこともあると説明したが、PCMark 10のApp Start-upではスペックどおり遅いこともあるという結果になったわけだ。
本製品のSSDはPCI Express 3.0 x4接続であり、現在のM.2 NVMe SSD基準では遅い部類であることは事実だ。説明したとおりユーザーの使用状況、アプリによるとはいえ、もしも実際に使ってみて速さが欲しいとなったなら……より速いM.2 SSDに換装すればよい。マザーボードのM.2スロット自体はひとつ上の速度のPCI Express 4.0 x4まで対応している。前パートでM.2 SSD写真を掲載しているとおり、ビデオカード、M.2ヒートシンクの順に外せばSSDの換装はそこまで難しくはない。自作PC経験がゼロという方でも比較的手を出しやすいカスタマイズなのでチャレンジしてみるのもありだ。
PC DIY側からアプローチしたほぼMSIの完成PC
「Panoplia Powered by msi R7B65507TPM3D」のポイントとなるところをおさらいしよう。まずは信頼性。そもそものパーツを作っているメーカーと共同開発、動作検証しているという点は大きな安心要素だ。国内サポート&一本化もBTOパソコンやショップブランドPCと同じで安心材料になるだろう。これに加えて、MSI製品を軸にしていることでユーティリティもひとつに集約され、管理がしやすいというメリットも大きい。メーカーPCやBTOパソコンに近い感覚で運用できるだろう。
メーカーPC、BTOパソコン、ショップブランドPC……と完成PCにもさまざまな選択肢、販路がある。今回の「Panoplia Powered by msi R7B65507TPM3D」はショップブランドPCに近いイメージだろうか。ただし販路はショップだけでなく通販もあるので特定ショップに依存しないところはユニーク。完成ゲーミングPC購入の選択肢のひとつとしてこうした点をポイントに「Powered by msi」も検討したい。MSIのPCではないがほぼMSIのPCとして信頼性の高い完成PCが手軽に入手できるのは魅力だ。



