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三井住友ファイナンス&リースが「assetforceリース会計パッケージ」

大手リース会社が発売した“AI入り会計パッケージ”がすごいぞー!

2025年11月10日 12時00分更新

文● 貝塚/TECH.ASCII.jp

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写真左より三井住友ファイナンス&リース 理事 DX推進部長 兼 イノベーションPTリーダーの川名洋平氏、DX推進部 副部長 assetforce営業企画責任者の縄野雄大氏、専務執行役員の有馬高司氏、理事 企画部・関連事業部担当役員補佐の戸谷仁氏、理事 ICT開発部 デジタルラボ所長 兼 ICT開発部 部付部長の藤原雄氏

経理担当者から聞こえる嘆き。「新リース会計基準」とは?

 2027年4月以降に適用される「新リース会計基準」に向け、企業の会計業務を支援する新たな「assetforceリース会計パッケージ」が、三井住友ファイナンス&リースから発売された。

 新リース会計基準とは、国際的な会計の基準(国際財務報告基準:IFRS、米国会計基準:US-GAAP)に合わせる形で国内に導入される新しい会計の基準だ。

 原則として、全てのリース取引が「資産」または「負債」として認識されることとなり、資金調達や財務戦略にも影響が出る可能性があるとして、企業は対応を迫られている。

「リース取引を資産や負債として計上する考え方は、国際財務報告基準や米国会計基準では2016年に導入されています。これまでの日本の会計基準では、リース取引は『費用』として計上していたため、企業の財務指標に直接的な影響はありませんでした。新しい基準が適用されることで、他国の企業と揃った基準で、国内企業の財務状況を測れるようになるというメリットもあります」(理事 企画部・関連事業部担当役員補佐 戸谷仁氏)

発生が予想される、大量の煩雑な作業

 企業の多国籍化がいっそう進む中、企業の財務状況を見る“物差し”の適用には利点が多いだろう。その一方で、これまでオフバランス扱いだったリース契約が資産計上されるようになれば、契約情報の収集やリース期間の判定、財務諸表への反映など、会計業務のあらゆる工程の見直しは避けられない。

「特に小売店や物流会社など拠点を何千と構える企業は、大量の不動産契約を締結しています。不動産の契約は、条件の見直しや変更も多く、その度に契約書が発行されることが一般的です。大量の店舗を持つ小売店などはすべての契約を本部で把握することが実質的に難しく、契約関係をエリアごとや店舗ごとでまとめているケースも多かったのですが、リース取引が『資産』や『負債』と認識されるようになると、本社が全体を把握する意味がこれまでよりもずっと大きくなります」(理事 DX推進部長 兼 イノベーションPTリーダー 川名洋平氏)

 現場の担当者にとっては、単なる作業量の増加だけでなく、判断の精度や正確性もこれまで以上にシビアに求められる。期中の契約変更や更新に応じた処理のほか、他部門と密に連携した処理が多くなることで、属人的なミスも発生しやすくなるだろう。

 想像してみてほしい。全国に数千もある店舗の賃貸借契約書や借家契約書に記載されている項目を正確に把握しなければならないが、契約書は各店舗ごとに“束になる”ほどあって、かつこれからも定期的・急遽の契約の変更や再契約が発生する可能性が高い。そして「どの不動産をいつまで使うつもりなのか」や「いくらくらい家賃や使用料を払い続けるのか」が、企業の財務状況に直結してしまう。

 取材の現場で「そんなこと、人間が完璧にしようと思ったら、どれだけの手間がかかるのか想像もつきませんね」と言ってみると、取材を受けてくれた担当者の全員が苦笑混じりに深く頷いていた。

 少なくとも新リース会計基準への移行は、多くの企業にとって“従来よりも高度な専門性と正確性を求められる状態への、大規模な移行”になりそうだ。

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