一般社団法人PMI日本支部は10月25日、日本発の優れたプロジェクトを表彰する「PM Award 2025」の表彰式を開催。受賞者への表彰を行った。
PM Award 2025は、日本に拠点を持つ企業・団体が実践する優れたプロジェクトを表彰する制度。国際的プロジェクトマネジメント啓発団体Project Management Institute(PMI)の協力のもと、日本におけるプロジェクト型の働き方の啓発とその実現手法であるプロジェクトマネジメントの普及活動を行っている一般社団法人PMI日本支部が主催している。
今回、最優秀プロジェクト賞としてSmall & Medium部門に合同会社en.toの【en.to(えんと):縁を育み地域と人をつなぐ、滞在型交流拠点プロジェクト】および、Large部門に国立大学法人東京科学大学の【東京医科歯科大学と東京工業大学の統合による「東京科学大学」の設立】の2つが選ばれた。
合同会社en.toの【en.to(えんと):縁を育み地域と人をつなぐ、滞在型交流拠点プロジェクト】(右)と、国立大学法人東京科学大学の【東京医科歯科大学と東京工業大学の統合による「東京科学大学」の設立】(左)
今回受賞した各部門、団体は以下のとおり。
■最優秀プロジェクト賞(Small & Medium部門)
プロジェクト名:en.to(えんと):縁を育み地域と人をつなぐ、滞在型交流拠点プロジェクト
プロジェクト実施主体:合同会社en.to
■最優秀プロジェクト賞(Large部門)
プロジェクト名:東京医科歯科大学と東京工業大学の統合による「東京科学大学」の設立
プロジェクト実施主体:国立大学法人東京科学大学
■優秀プロジェクト賞(Small & Medium部門) 特別賞(パーソル総研 well-begin賞)
プロジェクト名:PACIFICO サステナブルWEBデザイン ~環境配慮とDXを両立したデザイン実装プロジェクト~
プロジェクト実施主体:パシフィコ横浜(横浜国際平和会議場)
■優秀プロジェクト賞(Small & Medium部門)
プロジェクト名:シブヤフォント・ご当地フォントにおける共創による共生社会の実現
プロジェクト実施主体:一般社団法人シブヤフォント
■優秀プロジェクト賞(Small & Medium部門) 特別賞(岡山大学 SDGsイノベーション賞)
プロジェクト名:PP&Mフォーラム:製薬業界をつなぐ共創と学びのCommunity of Practice
プロジェクト実施主体:PP&M(Project Planning & Management)フォーラム
■優秀プロジェクト賞(Large部門)
プロジェクト名:施設向け食材宅配サービス「ヨシケイキッチン!」福祉業界のニーズをくみ取ったメニュー開発の進化
プロジェクト実施主体:ヨシケイ開発
■優秀プロジェクト賞(Large部門) 特別賞(PMI Asia Pacific賞)
プロジェクト名:DXリテラシー教育およびマインド醸成プロジェクト
プロジェクト実施主体:住友重機械工業
■優秀プロジェクト賞(Large部門) 特別賞(ITI イノベーション賞)
プロジェクト名:再生可能エネルギーの活用をサポートし、安心・快適で豊かな社会を実現する次世代蓄電システム開発 プロジェクト
プロジェクト実施主体:オムロン ソーシアルソリューションズ
■奨励賞
プロジェクト名:Students Meet Internationally through Language Education SMILE Project
プロジェクト実施主体:一般社団法人ことばのまなび工房
■奨励賞
プロジェクト名:共創プロジェクト・学生協働プロジェクト - 広島地元中堅企業4社の新しい価値創造を産学官連携+ プロジェクトマネジメントで実現する -
プロジェクト実施主体:広島県公立大学法人叡啓大学
表彰にあたって、PMIおよびPMI日本支部より授与の言葉が贈られた。
April Tai氏:
本日はPMI Asia Pacific賞を授与できることを光栄に存じます。本賞は、日本で顕著な影響をもたらした成功プロジェクトを表彰するものです。審査では革新性、独創性、価値提供、社会的影響力を重点的に評価しました。 住友重機械工業の「デジタルトランスフォーメーション(DX)リテラシー教育とマインド開発」は、その大胆なビジョンと実際の影響力において際立っていました。
このプロジェクトは、デジタル能力を活用して、より快適な職場環境を創出し、幸福度を高め、ビジネスの成功を推進することを目標にしています。デジタルリテラシーとマインドセットの変革の両方に焦点を当て、驚異的な9000人の従業員に到達しました。
特に注目すべきは、確固たるプロジェクト管理原則を基盤としつつ、リアルタイムデータと継続的学習を活用して実践を促進した手法です。PMIの調査によれば、測定システムを導入したプロジェクトの成功確率は7.2倍に跳ね上がります。彼らはこれを実践し、さらに一歩踏み込みました。通常は測定不可能とされる「人材開発」を数値化することに成功したのです。その結果、DXリテラシー率が過去最高を記録しました。これは単なる成功ではなく、業界全体に影響を与える変革なのです。
皆さん、おめでとうございます! 日本の製造業、そして私たち全てにとって力強い模範を示してくださいました。
端山毅氏:
今回受賞されたプロジェクトは本当に幅広く、世の中に様々なプロジェクトがあり、新しいことにチャレンジあるいは変化させなければならないことが多々あり、皆さまがひとつひとつ拾い上げて挑戦されていることの証であると思いました。
さて、昨年PMIから新たな成功の定義が公表されています。元々プロジェクトは「計画を立て、品質、コスト、納期を計画通り達成するとプロジェクトは成功である」と定義していましたが、予算や納期を超過したから失敗であると言われるのはちょっと違うのではないか、ということで世界中の方々が議論し新しい定義を提案しています。新しい定義は「掛けたお金や労力に見合う価値を実現できたかどうか」であり、かつ関係者が了解し納得してこれは頑張った甲斐があったというのが成功である、という提案です。
何が成功かを関係者で良く相談し、当初掲げた目標とは少し違うけれどもこちらの方が役に立つ、あるいは社会のためだということであれば、認識を変え向かう方向を調整した方が最終的な価値が大きくなる、という進め方をすることになります。これからはプロジェクトを進める人がそれを理解したうえで影響力を行使していく必要がある、という提案です。
期せずして、en.toも東京科学大学も同様のことを仰っており、周囲の方々としっかりコミュニケーションを取りつつ最終的に自分たちが提供できる価値は何か、ということに重点を置いて進められたものと思いました。世の中が期待している、求めているであろうことを言語化したものがPMIの新たな成功の定義だと思います。ですから、皆さんが苦労され努力された方法や工夫をより多くの方々にご理解いただき、それぞれの立場、役割の中でプロジェクトマネジメントの知識や経験、このような事例を活かしていただけると良いと考えています。




























