「適応型リーダーシップ」と「チームワークマネジメント」が一致するポイント
【本日発売】「Backlog活用大全」出版記念イベントで“新しいリーダーシップ”を議論
リーダーシップの実践:チームやタスクの状況が「見える」Backlogは相性が良い
黒川氏は、適応型リーダーシップを実践していくうえでは、ビジネス上の課題が「組織(システム)のどういう全体像の中で生まれているのか」というシステム思考をとると説明する。「些末な例で言うと、仕事を納期どおりにやらない、毎回失敗するような部下がいても、その個人の中に原因を探すのではなく、彼をそうさせている組織の構造やカルチャー、上司の言動といったことから見ていく」(黒川氏)。
そのため、まずはチームやタスクの状況が「見える」ことが最も大切であり、それが可能なBacklogは相性の良いツールだと語る。問題の発生をいち早く察知し、リーダーや周囲のメンバーから声かけをしたり、問題の根本原因を俯瞰して調べたりできる。
一方、橋本氏は、一般には「1人のリーダーがマネジメントできるのは8人まで」と言われるが、Backlogでタスクの状況可視化することによって、問題が発生している人やタスクにだけ意識を集中できるため、より多くの人をマネジメントできる可能性もあると述べた。
なお黒川氏は、多くの企業や組織が「褒めない文化」を持っている中で、Backlogの「スター」はメンバーが手軽に褒めあえる、良い機能だと評価した。橋本氏は「あれは『褒める』というかリアクション」だと答え、ささいなリアクションひとつでも、チームに前向きな影響力を及ぼすことができることを示唆した。
チームを前進させる仕組み:問題の原因をしっかり観察することから
チームとして取り組むプロジェクトが停滞してしまう場合がある。焦りも生まれがちな状況だが、リーダーは「瞬発力で動かないことが大事。立ち止まって、一回しっかり観察することに尽きる」と黒川氏は指摘する。「ソリューション(解決策)を考えるのは後でもいい。やはり問題がどう起きているのかをしっかり観察する、ヒアリングする」(黒川氏)。
停滞の原因が「コミュニケーション不足」と結論付けられるケースも多いが、橋本氏は「単純にコミュニケーション不足を悪者にするのではなく、もっと深掘りして、コミュニケーションの設計自体に問題があるのでないかと考えるべき」だと語る。
また黒川氏は、チームとして“表向きの目的”は設定・共有されているものの、それがメンバー個々人の“隠れた目的”と合致しておらず、それが停滞の原因になることもあると指摘した。橋本氏もそうしたケースはあるとしたうえで、チーム全体が一致して目指す目的を設定するのと同時に、個々人がそのプロジェクトに関わる“個人的な野望”もヒアリングして、全体の目的とうまくひも付けることで進みやすくなると、経験に基づいてアドバイスした。
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トークセッションの最後には質疑応答の時間もとられた。
「Backlogの今後の展望について教えてほしい」という質問に対して、橋本氏は、今後は特にAIアシスタント機能の「Backlog AI」に力を注いでいく方針を示した(関連記事:Backlog AIはプロジェクト管理のゲームチェンジャーになるか?)。なお、詳細は10月17日開催の「Backlog Conference 2025」で披露されるという。
「たとえば、プロジェクトマネジメントをやったことがない方が、急にマネジメントを依頼されて、誰にも相談できないときでも、AIアシスタントに『このプロジェクトのどこが一番危ないですか』と聞いたら返答してくれる、そういうシステム。将来的には、ちゃんとタスクなどを分解して登録できるようになればいいと考えている。もちろん、プロジェクトマネジメントの経験がある方にも、けっこう面白い機能になると思うので、そこはすごく楽しみにしていてほしい」(橋本氏)


