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親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第339回

Xを災害時の情報源にしている

Z世代の半数以上はリテラシー教育経験あり! 生成AIも積極活用

2025年09月16日 09時30分更新

文● 高橋暁子 編集●ASCII

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Z世代ではメディアリテラシー教育経験が初の5割超

Z世代の半数以上はリテラシー教育経験あり

 情報リテラシーの世代ごとの実態はどうなっているのか。安全靴や作業着などを販売するミドリ安全.comによる、Z世代からシニア世代までの全国の男女を対象とした災害時の情報リテラシーや生成AI活用への意識に関する調査(2025年8月)を見ていこう。

 調査では、フェイクニュースの見分け方などのメディアリテラシー教育を受けた経験について聞いている。するとZ世代では52.4%と、2022年以降の調査で初めて過半数を超える結果に。一方、ミレニアル世代では25.6%、ジェネレーションXでは6.8%、シニア世代では8.4%に留まった。なんと世代間で6.2倍もの教育格差があるのだ。

 一方、実際に災害時などにフェイクニュースを信じてしまった経験について聞いたところ、「頻繁にある」「ときどきある」「1回~数回程度ある」と回答した割合がZ世代で58.4%と過去最多を記録した。

 これは全体平均36.8%の約1.6倍にあたり、前年調査の52.4%から6.0ポイント増加する結果となった。教育機会は増えている一方で、騙される経験も増えてしまっているのだ。これはなぜなのか。

 フェイクニュースはSNSで広がっている。Z世代はSNS利用時間が長く、ぱっと見では見分けがつかないディープフェイク画像や動画を使ったフェイクニュースなどもあり、このような結果につながっているのではないだろうか。Z世代がリテラシー教育を受けていなかった場合は、もっと騙されていた可能性が高い。

フェイクニュース誤認経験(世代別)

Z世代の半数はX(Twitter)が災害時の情報源

 地震や火事などの緊急災害発生時に、どのメディアで情報を得ることが多いかを聞いたところ、全世代合計で最多の回答は「テレビ(55.7%)」で、次いで「ヤフーニュースなどのポータルサイト(40.0%)」「X(Twitter)(31.0%)」となった。

 世代別に見ると、Z世代では「X」が49.2%でトップに。Z世代の半数は、Xを災害時の情報源として使っているのだ。一方、シニア世代ではXの利用は7.2%に留まる。Xは災害時にも最新の情報が得られ、自治体などが救援物資などの情報を発信する場としても活用されている。

 また、生成AI(ChatGPT、Claude、Geminiなど)の利用経験について聞いたところ、「頻繁に利用している」と回答したのはZ世代で27.6%、シニア世代で5.2%となり、ここでも5.3倍の格差が生まれている。

Q. あなたは地震や火事などの緊急災害発生時に、どのメディアで情報を得ることが多いですか?

 Z世代はSNSや生成AIなどの利用率も高く、リテラシー教育を受けた経験も高い。一方で、年代が上がるにつれて教育を受ける経験も減り、利用率も大幅に下がってしまっている。

 新しいメディアにはフェイクニュースをはじめとするリスクもあるが、最新の情報が得られるなどのメリットも大きい。シニア世代などリテラシー教育を受けていない層にどのように新しいメディアを使ってもらうか、どのように正しいリテラシーを身に付けてもらうかが、今後重要となってくるのではないだろうか。

著者紹介:高橋暁子
 ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社α新書)、『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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