ハイレゾが玄海町の廃校を利用したデータセンターを開設、バッチ推論のAI処理向け
取材で廃校巡り? いや実はここ、AI向けのデータセンターなんです
2025年08月24日 11時00分更新
8月22日、私は佐賀県の玄界氏にいました。場所は、廃校となった旧有徳小学校跡地。廃校となった今でも、学校内は古くなってはいまずが、下駄箱や教室といった部分はそのまま残っていました。私は佐賀ではないですが福岡の田舎出身で、小学校が似たような雰囲気だったなということも思い出しつつ、なんだかエモい気持ちでいっぱいになりました。
近くには小川があったり、学校のすぐ裏には山があったりと、まさに田舎の学校といった佇まいでしたが、私は何も廃校巡りにいったわけではありません。今回向かった目的は、ハイレゾがこの小学校を利用してデータセンターを開設し、その開所式とデータセンターの見学をさせてもらえるため、弾丸で佐賀に飛んだというわけです。
廃校がデータセンターに!
裏山の冷たい風を利用した空冷を採用!?
この廃校を利用したデータセンターには、バッチ推論のAI処理を目的としたサーバーが設置してあり、GPUはNVIDIA RTX A4000が採用されています。このサーバーを120台格納しているというのが、この廃校を利用したデータセンターとなります。
学校の下駄箱から入ると、昔のままのさびれた学校の風景になりますが、中央は改装されており、中に入ってもとてもキレイなオフィスのような空間がありました。キレイになった階段を上がって2階に行くと、サーバールームがありました。
サーバールームがある部屋には、吸気用のダクトと、排気用のダクトが用意されており、外気空冷でサーバールームを冷却していました。面白いなと感じたのは、立地を利用した冷却だったということです。どういうことかというと、先述のとおりこの学校は裏に山があります。その山から流れてくる冷たい空気を利用して、山側に吸気口、グランド(今は駐車場)側に排気口を設けています。環境すらも利用するというのは、すばらしい工夫だなと感じました。
土地、電気代といったコストをカットできるからこその価格で提供
人口が減っている玄海町の復興にも
なぜ素晴らしい工夫かというと、環境を利用することで、サーバールームの冷却のコストダウンにつながっているからです。また、コストダウンについては、玄海町にサーバールームを設立したところからコスト削減になっています。なぜかというと、学校を再利用したことによる場所代のカット、玄海町という立地による電気代とカットが見込めるからということです。
こういった多角的なコストカットによって、サービスを高いコストパフォーマンスで提供するのが、ハイレゾの強みとなっています。できるだけコストをカットして、AIサービスを利用したいという企業の方は、ハイレゾのサービスをチェックしてみてはいかがでしょうか。
8月22日の開所式は、データセンターの近くの体育館で開催され、ハイレゾ 代表取締役の志倉 喜幸氏のほか、玄海町 町長の脇山 伸太郎氏も登壇しました。志倉氏は、「今回のデータセンター開設には、玄海町の協力が必要不可欠でした」と話し、脇山氏は「これまで企業の誘致をしてきましたが、お断りした企業もあります。それは、玄海町にとってメリットがあるかないかで決定しています。今回のデータセンターは、若い人たちの雇用もつくり、人口が減りつつある玄海町の活性化につながると感じたため、ぜひとお願いしました」と、ハイレゾに協力した理由を述べていました。
データセンターは、現在のサーバーの数にとどまることなく、拡張も想定していると志倉氏は話していました。サーバーが増えることで管理するメンバーも必要となってくるため、玄海町での雇用、もしくは外からの若い人の雇用が増えることでも、玄海町の地域活性化につながるかもしれないというわけです。
志倉氏は「こういった人口減少の問題は、玄海町だけでなくさまざまな地域が抱えている問題だと思っています。今後も、こういったデータセンターの開設を通じて、地方を活性化しつつ、日本のAIの進化に貢献していきたい、日本がアジアを引っ張るAIの計算地にしていきたいです」とのことでした。
多くの地方で、人口削減というのは大きな課題となっています。そんな中で、地方でAIのデータセンターができ、そのための雇用ができ、さらにそこを利用する若い企業が増えれば、大きな活性化につながるのではないでしょうか。そのため、玄海町だけでなく、今後もチャンスがあれば、地方でのデータセンターの開設を実施していきたいというハイレゾの動向は、とても気になるところです。




















