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「Google Distributed Cloud」が鍵、各国パートナーが運用するソブリンクラウドも展開

KDDIと提携したGoogle Cloud、分散クラウド/ソブリンクラウド戦略を担当者に聞く

2025年07月22日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 Google Cloudが「ソブリンクラウド」のソリューションを強化している。2025年4月に開催された年次イベント「Google Cloud Next 2025」では、分散クラウドソリューション「Google Distributed Cloud(GDC)において、新たにオンプレミス環境での「Gemini」実行をサポート。さらに、日本のKDDIとの提携も発表した。

 同イベントの会期中、Google Cloud VPでインフラ・ソリューショングループのGMを務めるサチン・グプタ氏に、同社のソブリンクラウド戦略を中心に話を聞いた。

Google Cloud VP インフラ・ソリューショングループ GMのサチン・グプタ(Sachin Gupta)氏

――Google Cloudは「データ主権」についてどう取り組んでいるのでしょうか。

グプタ氏:Google Cloudでは、3つの形式でサポートしています。

 まずはGoogle Cloudのパブリッククラウド環境を活用した「Google Trusted Cloud」、その上のレベルとして、各国/地域のパートナーが運用しコントロールする「Google Trusted Partner」があります。

 Google Trusted Cloudでは、顧客がデータを保管するリージョンを決定し、データの暗号化キーも自社で管理できます。暗号化キーは顧客がリージョン外で保持する仕組みなので、Google側でこれを復号して顧客データにアクセスすることはできません。

 Google Trusted Partnerは、データを指定した場所(国内など)に保持し、データへの不正アクセスが発生していないか、監査をどうするかといった運用上の監視とコントロールを、パートナーが提供するものです。

 そして、3つ目がGDCです。エアギャップ環境が必要なユースケース、何らかの理由でオンプレミスで運用したいユースケース向けの分散クラウドです。

――GDCにはどのようなユースケースがありますか? 基調講演では、マクドナルドの導入事例が紹介されていました。

グプタ氏:GDCは、2021年10月に発表されたソリューションです。「Google Trusted Cloud」と「Google Trusted Partner」で多くのデータ主権のニーズをカバーできますが、特殊なケースもあります。GDCはそういったニーズに対応するもので、軍事/国防機関や情報機関のように規制が厳しく、クラウド接続をしたくない場合の「エアギャップ」版、小売や生産拠点向けに、クラウド接続でリモート監視やリモート制御が可能な「コネクテッド」版があります。

 マクドナルドでは、各店舗における営業の継続性を重視して、GDCのコネクテッド版を採用しています。小売業界向けにPOSシステムなどを提供する東芝グローバルコマースソリューションも、コネクテッドを採用して(セルフレジにおける)チェックアウト、カメラのフィードからの商品損失チェックなどのソリューションを構築しています。

小売業向けのオンプレミスソリューション。さまざまなAIユースケースをオンプレミス/ローカルで処理できることを強調している

――今回のGoogle Cloud Nextでは、GDCでGeminiをサポートすることが発表されました。NVIDIAやDellとの提携を通じて実現されます。

グプタ氏:2021年にGDCを発表して以来、「AI」「データ」「セキュリティ」の3分野にフォーカスしてきました。

 GDCの汎用クラウドインフラを、AI、データ、セキュリティに最適化する取り組みを続けており、Geminiのサポートはその成果となります。本来、Geminiの実行に最適な場所はGoogle Cloudですが、今回のGDCでのサポートにより、データ主権や運用主権を維持しながらGeminiを利用できるようになります。

 これまで、Geminiモデルや検索機能を使いたくても、自社の施設内で実行しなければならないという制約があるために、あきらめざるを得ないケースがありました。GDCのエアギャップ版だけでなく、コネクテッド版を利用する顧客でも、インターネット接続が安定しないことは多くありますが、Geminiをサポートしたことで、例えばカメラから送られてくる映像をリアルタイムで処理して迅速に反応することが可能になります。

 Geminiのサポートは、NVIDIAのBlackwellインフラと機密対応のコンピューティングを利用するもので、DellのDGX B200およびHGX B200搭載システムが該当します。NVIDIA、Dellとの提携はいずれも独占的なものではなく、今後、必要に応じて拡大します。

 これまで、オンプレミスで利用できるのはオープンソースモデルに限定されていましたが、先進的なモデルはオープンソースでは少ない状況でした。Geminiがオンプレミスで動作することへの期待は非常に高く、今回のサポートは画期的なものと言えます。実際、多数のパートナーが関心を示しています。

 GDCにおけるGeminiのサポートは、2025年第3四半期に提供を開始します。

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