このページの本文へ

“まずはAIに聞く”“任意の会議は出席しない”などの独自ルールを策定

「やらなければ会社が終わる」 LINEヤフーが「AI活用義務化」で生産性2倍を目指す

2025年07月15日 17時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 LINEヤフーは、2025年11月14日、全従業員約1万1000人を対象に、「生成AI活用の義務化」を前提とした働き方を推進する独自施策を開始したことを発表した。全従業員の「生成AI100%活用」を実現し、今後3年間で業務生産性を2倍に高め、継続的なイノベーション創出を目指すという。

 本施策では、同社の業務において3割を占める「調査・検索」「資料作成」「会議」などの“共通領域”から着手し、「生成AI社内活用ルール」を策定。例えば、調査・検索においては「まずはAIに聞く」、会議においては「任意参加の会議は原則出席しない」といったルールを設け、生成AI活用を前提とした業務効率化を図る。ルールの一部は以下の通り。

■調査・検索:「まずはAIに聞く」文化へ
・経費精算などの社内規則の検索は独自の業務効率化ツール「SeekAI」を利用
・競合調査やトレンド分析などの社外検索は「プロンプト例」を活用してAI検索

■資料作成:「作る」から「考える・伝える」へ
・ゼロベースの資料作成は行わず、作成前にAIを活用したアウトラインを作成
・資料作成後はAIを活用して文章校正

■会議:出席は「本当に必要な人」だけへ
・会議の前にAIを活用して議題を整理
・出席者は議論に集中するために、議事録作成は全てAIに
・任意参加の会議は原則出席せず、議事録で把握

 同社では独自の生成AIツールを社内展開していたが、2025年6月には全従業員へ「ChatGPT Enterprise」のアカウント付与し、100%活用に向けた環境を整備。また、全従業員にリスク管理やプロンプト技術に関する必須のeラーニング研修を行い、試験合格を生成AIの利用条件としている。

 活用促進においては、「生成AI活用推進者」を全部署に設置している他、今後は、社内表彰や社員アンバサダー制度といった施策も実施予定だ。

 また、本発表にあわせて、LINEヤフーの上級執行役員 生成AI統括本部長である宮澤弦氏のインタビュー記事も掲載。宮澤氏は、2023年に生成AI活用を推進する組織の立ち上げを提案したことを振り返り、「やらなければこの会社は終わる」と強い危機感を抱いていたことを明かしている。

LINEヤフー 上級執行役員 生成AI統括本部長 宮澤弦氏

 今回の「生成AI社内活用ルール」を設けた理由については、「未来の働き方は必ずAIを活用するものになると考えたからです。AIがもたらす効率化の恩恵を全員が享受するためには、全社的な取り組みが必要」と述べ、「『全社ルールにしてしまったほうが、むしろみんな必ず使うようになるのではないか』という結論に至りました」と語っている。

カテゴリートップへ

アクセスランキング
ピックアップ