「たった一度の取引のために、30万円ものコストがかかるのはおかしい」CEOがサービスの狙いを語る
購買業務の無駄なコスト“テールスペンド”を解決 Candexが日本市場へ本格参入
2025年07月14日 09時00分更新
シンプルなサービスなのに「競合がいない」理由
このように、Candexが提供するサービスの仕組みはシンプルだ。しかし、現状では「競合はいない」とラッピン氏は強調する。競合が現れない理由は、Candex自身も“多国籍展開”しているからだという。
「たとえば、Candex Japanは日本の法人であり、日本の銀行口座を持っており、日本国内で納税している。同じように、ベトナムにはベトナムの、オーストラリアにはオーストラリアの現地法人があり、それぞれ各国の税法にのっとって運営している。これにより、バイヤー(である多国籍企業)は、現地のサプライヤーに支払うのと同じようにCandexに支払うことができる」
通常、国境をまたいでサプライヤーに発注する場合は、事前に相手国の税制などのルールを調査し、それにのっとって取引を行う必要がある。しかし、Candexを利用することで、その手間も省けるわけだ。Candexでは、顧客企業の求めに応じるかたちで展開国を拡大してきた。現在は、52カ国に現地法人や現地拠点を構え、サービスを展開している。
多国籍企業の多い日本市場へのアプローチを本格化
日本法人であるCandex Japanは2022年に設立されたが、今回あらためて本格展開を開始することとなった。ラッピン氏は、日本市場固有の課題として、「そもそもテールスペンド問題がまだ認識されていない」、新規取引先登録に手間がかかるため「少額取引でも同じサプライヤーを続けざるをえない」、そして「法規制が厳格」という3点を挙げる。こうした課題、さらには「日本特有の商慣行」にも合わせるかたちで、日本におけるビジネスを展開していくという。
Candex Japan 代表の北本大介氏は、日本法人の立ち上げから今日まで「非常に慎重に準備をして、人(社員)を選び、しっかりと基盤を作ったうえで、今回の本格展開を開始する」と説明した。同社によると、すでに国内でも20社以上の顧客企業があるという。今後のビジネス目標については、具体的な獲得社数については明言を避けつつ、次のように説明した。
「日本には、他国に比べても非常に多くのグローバル企業(多国籍企業)がある。そうした企業に、Candexのサービスをできる限り多く採用していただくのが、日本チームとしての目標だ」(北本氏)
このコメントを補足するかたちで、ラッピン氏は次のように日本市場での展開状況を説明した。
「まず最初のフェーズとして、現状の顧客である135社に対して日本でのサービスを提供していかなければならない。ただし、直近の2カ月ほどは、日本国内のエンタープライズをターゲットにして、アプローチをし始めているところだ」(ラッピン氏)









