大手顧客のVCF採用率は87%に到達、「われわれの想定以上の成果だ」
Broadcomが「VMware Cloud Foundation 9.0」提供開始、“モダンプライベートクラウド”需要を狙う
2025年06月23日 07時00分更新
ブロードコムのヴイエムウェア部門(VMware by Broadcom)が、2025年6月17日、“モダンプライベートクラウド向けプラットフォーム”と位置付ける「VMware Cloud Foundation 9.0(VCF 9)の一般提供開始を発表した。
ヴイエムウェア日本法人が2025年6月20日に開催した記者説明会には、カントリーマネージャーの山内光氏、Broadcom VCF部門 VPのポール・ターナー氏らが出席。およそ1年半ぶりのメジャーバージョンアップを通じて、現在の顧客ニーズの変化に対応したプライベートクラウド基盤を提供することへの自信をのぞかせた。
「統合化」「安全性」の推進がキーワード、VCF 9をリリース
VCFは、コンピュート(VMware vSphere)、ストレージ(VMware vSAN)、ネットワーク(VMware NSX)のインフラ仮想化製品群をまとめた、プライベートクラウド基盤製品である。オンプレミス環境だけでなく、パブリッククラウド、ソブリンクラウド、エッジといった幅広い環境に、同一のVCF基盤を展開して統合運用できる。
今回のVCF 9では、「統合化」と「安全性」が大きなキーワードになっている。
まず、これまで複数に分かれていた運用管理者向けの操作画面が、単一のインタフェース「VCF Operationsコンソール」に統合された。テナントのデプロイや管理が簡素化、迅速化されたほか、フリート(多台数のサーバー)管理では“ダウンタイムなし”のアップグレードやパッチ適用により生産性を向上させている。また、設定ミスなどを検知してアラートを出す統合診断機能も備える。
同じく、クラウド利用者向けにも単一のインタフェース「VCF Automationコンソール」が用意されている。利用者が必要なスケール/スペックのクラウドリソースを迅速にデプロイ、利用できるセルフサービスポータルであり、自動化によってネットワークやVPCも簡単に構成できるようになっている。
仮想マシン(VM)に加えてコンテナ/Kubernetesの実行環境を備え、そのクラスタ管理も統合している。ここでは「vSphere Kubernetes Service(VKS)」に加えて、イメージレジストリ、サービスメッシュ、ロードバランサやファイアウォール、ストレージサービス、アクセスコントロールといった周辺サービスも提供している。
そのほか、データ主権や運用主権といった「主権(ソブリンティ)」、「セキュリティ」、「コンプライアンス」の確保、さらにリソース使用量の監視に基づくインフラの最適化やテナントごとの使用量に基づくコスト配分といった「コストの透明性」といった要件も、VCF Operationsコンソールを通じて実現している。
ターナー氏は、VCF 9における効率性の向上やイノベーションについて紹介した。たとえば、NVMeによるメモリ階層化機能、グローバル重複排除機能によってメモリとサーバー、ストレージのTCOは3割以上低減される。またAI関連のワークロードにおいては、「vGPU vMotion」機能の最適化で“ダウンタイムゼロ”でのvMotionを実現しており、しかもvGPU処理のオーバーヘッドは“1%未満”にとどまるという。
Broadcom自身も、自社のプライベートクラウド基盤にVCFを導入し、大きな成果を得ている。たとえば、開発者による開発/テスト環境の設定にかかる時間は90%以上短縮され、41カ所に分散していたデータセンターを7カ所に統合することもできたという。

















