FCNTは17日、新製品発表会を開催し、arrowsシリーズの新モデル「arrows Alpha」と6年ぶりのフィーチャーフォン「らくらくホン」をお披露目しました。どちらも8月以降発売と、少し先の登場になります。
伝統と革新をテーマに
AIで進化したarrows、変わらない安心感のらくらくホン
発表会冒頭では4月から代表取締役社長に就任した桑山泰明氏が登壇し、FCNTが30年以上にわたり日本のユーザーに使いやすい製品作りに注力してきた歴史を強調しつつ、「何も変えないこと」が同社の強みであると述べました。FCNTのミッションは「優しいテクノロジーで誰一人取り残さない」であり、シニア、サステナビリティ、ヘルスケアの3本柱でこれを推進していく方針です。
今回の発表会のテーマは「革新と伝統」。FCNTは急速なAIの普及、物価高騰、デジタル格差拡大という社会動向に注目し、誰もが使いこなせるAIの提供、求めやすい価格帯の実現、そしてデジタルデバイド(情報格差)の解消を目指します。特にハイエンドモデルの価格高騰が進む中、AI時代に新たなデジタルデバイドが生じる可能性を懸念し、「10万円以下の価格で手が届くハイエンド」を新たな挑戦として掲げた結果誕生したのが「arrows Alpha」です。
登壇者はFCNT 統合マーケティング戦略本部 本部長の外谷一磨氏に交代して、端末のプレゼンテーションに。arrows Alphaは、第一級の価値を提供し、AI時代のマーケットリーダーを目指すというFCNTの強い決意を込めたハイエンドモデルだと言います。
なお、arrows Alphaのスペックはディスプレーが6.4型の有機EL(最大144Hz)、SoCはMediaTek Dimensity 8350 Extreme、メモリー12GB、ストレージ512GB(外部最大2TB)、バッテリー容量は5000mAh(90W対応)。カメラは5030万画素の標準(F1.88、OIS)、4990万画素の超広角(F2.05)の2眼構成。インカメラは4990万画素。ボディーサイズは約72×156×8.8mm、重さは188g。
最大の特徴は新機能「arrows AI」です。カメラ機能では背景ぼかしや夜景撮影を強化、集合写真の目つぶり修正、動きのある被写体のブレ抑制など、生成AIを活用した撮影体験を提供します。UI面では、曖昧な言葉でやりたいことを伝えるだけでAIが最適な機能や項目を提案してくれます。また、LINEなどのSNSアプリの通知内容を要約する機能も提供予定とのことです(今秋アップデートで対応予定)。
また、AI機能をすぐに呼び出せる「アクションキー」も搭載し、Google Geminiなどとも連携します。
arrows Alphaは、ドコモとSIMフリーモデルが8月下旬以降に発売予定で、SIMフリーモデルの価格は8万円台を予定しています。外谷氏は「絶対に10万円以下にしたかった」と強調し、かなり戦略的な価格にできたことをアピールしました。
まだまだ需要がある“ガラケー”
3G終了に向けて「らくらくホン F-41F」登場
次のプロダクトは「らくらくホン F-41F」です。FCNT 統合マーケティング戦略本部 マーケティング統括部 副統括部長の正能由紀氏が製品を説明しました。
すでにauとソフトバンクは3Gを停波しており、残るドコモも2026年3月の3Gサービス終了を宣言しています。それに伴い、従来のらくらくホンから乗り換えが必要となる数十万人規模のユーザーに向けて、6年ぶりに「らくらくホン」を刷新したとのこと。
らくらくホンは累計3000万台以上を販売しており、スマートフォンへの乗り換えが難しい、あるいは強い拒否反応を示すユーザーにとって生活の「インフラ」であるとFCNTは位置づけています。
新しいらくらくホンは、FCNTが長年培ってきた「見やすさ」「聞きやすさ」「使いやすさ」「安心」の4つの価値を継承・強化。文字の大きさやコントラストはもちろん、老眼や白内障を考慮したFCNT独自のフォント調整や年齢に合わせた色調整・音声調整機能、形状や触感で判別しやすいキーデザイン、操作を迷わせない光ガイドや分かりやすいUI、そして困った時のサポートセンターといった、シニア層に特化した配慮が随所に施されています。
らくらくホン F-41Fはドコモから8月上旬以降に発売予定で、すでに予約は始まっています。
【まとめ】レノボグループのシナジーが活かせた新製品
さらなる高性能スマホも視野にいれていく
FCNTは、レノボグループのグローバルスケールやリソースを活用しつつ、日本のユーザーに特化した製品開発をしています。arrows AlphaのAI機能はレノボグループのAIエンジンを基盤としつつ、arrowsユーザー向けに最適化されたローカライズが施されています。
また、らくらくホンの開発は、スマートフォンとは異なる専用部品が多く、FCNT独自の技術と強い信念によって継続が実現したと述べられました。FCNTは今後、市場の状況を見極めながら「ウルトラハイエンド」モデルや折りたたみスマホの可能性も検討していく方針です。
今回の発表により「革新」を象徴するarrows Alphaと「伝統」を象徴するらくらくホンを含め、民事再生後の同社のラインナップが計7商品になったことを感謝し、今後も日本のユーザーに必要とされる商品・サービスを提供し続けるとしました。
AI機能推しだった「arrows Alpha」
懐かしいけど新しい「らくらくホン」
通話用のサブ端末としても便利そう
