Interop Tokyo 2025 現地レポート

OTセキュリティも前面に、両社一体となったブースの狙いは?

フォーティネット+アラクサラブース、共同開発の高信頼スイッチを展示

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 6月11日~13日に幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2025」。展示会場のフォーティネットジャパンブースは、2021年から協業を進めてきたアラクサラネットワークスとの合同展示となっている。

会場マップでは「フォーティネット」(小間番号:4N27)「アラクサラ」(4U27)と分かれているが、実際は両社が一体となって展示や説明、セッションを行っている

社会インフラ/ミッションクリティカル向け「FortiSwitch-AXシリーズ」の狙い

 セキュアネットワーキング、ユニファイドSASE、セキュリティオペレーション、OTセキュリティなど、幅広いテーマのデモ展示を展開する同ブース。今回の展示の目玉のひとつが、アラクサラとの共同開発プロダクトである「FortiSwitch-AXシリーズ(FS-AX)」だ関連記事:フォーティネットとアラクサラがタッグ 日本向けスイッチブランド「FS-AX」が誕生

FortiSwitch-AXシリーズ(上の2台がFS-AX2340Sシリーズ、下の2台がFS-AX600Fシリーズ)。FS-AX600Fは天板に両社のロゴが並ぶ

 アラクサラ(Alaxala)は、鉄道/通信/エネルギー/金融といった日本の社会インフラ、ミッションクリティカルシステムを中心に多くの導入実績を持つ、“止まらない”高信頼/高可用ネットワーク技術を有する国産スイッチ/ルーターベンダーである。

 今回のFS-AXスイッチは、フォーティネットFortiSwitchのハードウェアに、アラクサラの高信頼/高可用技術のソフトウェアを組み込んだ新たな製品ラインで、大規模キャンパスLAN、社会インフラ、OT環境、通信キャリアなどのユースケースに対応している。さらに日本国内では、最大10年間の長期保守(技術サポート、故障対応)も提供する。

 こうした特徴から、FX-AXスイッチは、FortiSwitchの適用業種/領域の拡大と、アラクサラ製品の海外市場への展開拡大という、2つの目的を狙った新製品と理解してよいだろう。

FS-AXシリーズでは、最大10年間の長期保守も提供が可能

 Interopのフォーティネット/アラクサラブースでは、初の共同開発製品として、2.5G/5Gマルチギガアクセスポートと10G/25Gアップリンクを備えるL2アクセススイッチ「FS-AX600Fシリーズ」の2台が展示されていた。

 FS-AXシリーズではそのほかにも、1G/2.5Gアクセスポートと1G/10Gアップリンクを備えるL2/PoEアクセススイッチ「FS-AX2340Sシリーズ」、1Gアクセスポートと1G/10Gアップリンクを備えるL2/PoEアクセススイッチ「FS-AX2630S」、1G/10Gダウンリンクと1G/10G/40G/100Gアップリンクを備えるL3コアスイッチ「FS-AX3660Sシリーズ」がラインアップされている。これらはアラクサラ製品をFortiSwitchにリブランドし、主に海外市場向けに展開していくものとなる。

 また参考出展として、FortiSwitchでは初となる「シャーシ型モデル」のスイッチも展示されていた。写真撮影は許可されず、詳細も不明だが、両社の技術を取り入れながら製品化に向けた動きが進んでいるものと考えられる。

ネットワーク監視/管理ソフトウェア「FortiSwitchNMS」も展示

 FortiSwitchの関連ソリューションとして、マルチベンダー対応のネットワーク監視/管理ソフトウェア「FortiSwitchNMS(FSWNMS)」も展示されていた。こちらは、アラクサラが提供してきた「AX-Network-Manager(AX-NM)」をリブランドした製品となる。

 FSWNMSでは、マルチベンダーで構成されるネットワークの情報をデータベースで一元管理する製品。通信状況や機器使用状況の把握から、ネットワークトポロジの管理、機器の管理、各種監視、セキュリティ、レポーティングなどが行える。デモでは、FSWNMSがあらかじめ設定した時刻に、自動的に障害情報の取得を実施する様子が披露されていた。

「FortiSwitchNMS」の展示(コンソール画面は中央下のPC)

「OTセキュリティならフォーティネット」を掲げる理由

 今回のフォーティネットブースでは、「OTセキュリティ」のテーマにも大きなスペースを割いている。

OT領域のネットワークと脅威、それに対応する「FortiGate」「FortiEDR」などのフォーティネット製品群

 フォーティネットでは、「FortiGate」をはじめとしてOT分野にも多くのセキュリティ製品を展開しているが、同社 OTビジネス開発部 担当部長の藤原健太氏は「OTセキュリティは『技術』だけでは実現しない」と強調する。OT分野のIT/ネットワークの実態を見ると、そもそも管理者が不在で導入されたセキュリティ製品がそのまま放置されている、目的が不明確でひとたびインシデントが発生すれば適切な対応ができないような環境も少なくないという。

 フォーティネットでは、「技術」に加えて「組織」「運用」「サプライチェーン」という4つの視点から、現状のアセスメントとコンサルティングを行い、OTセキュリティレベルの底上げを図るワンストップサービスを提供している。OTセキュリティに特化したトレーニング、Web診断といった無償サービスから、ワークショップやロードマップ作成、中小企業向けのOT SOC(開発中)といったサービスまでをラインアップしている。

 藤原氏は、OT領域に対して製品だけでなくこうしたサービスまで展開できる点をフォーティネットの強みとして、日本のOTセキュリティレベルの底上げに貢献していきたいと語った。

フォーティネットジャパン OTビジネス開発部 担当部長の藤原健太氏。OTセキュリティ実現を支援するサービスラインアップを紹介した

ブースには“OTセキュリティ仕様”のフォーティ君も