MSIのATXマザーボード対応ミドルタワー「MAG PANO 100R PZ」レビュー

PC自作しやすい斬新デザインのピラーレスケースが登場。裏面配線スペースが広く、組み立て時間も短縮、見栄えも良し

文●石川ひさよし 編集●三宅/ASCII

提供: エムエスアイコンピュータージャパン

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 次は組み立てやすさを紹介しよう。電源が裏面チャンバーになったことで周囲の空間が広くなり、まずここが組み立てやすくなっている。そしてマザーボード側のメインチャンバーだが、「MAG PANO 100R PZ」には「リムーバブルパネル」が採用されていてフロント、トップ(カバー部のみ。フレームは残る)、サイドパネルがツールフリーで取り外しできる。リムーバブルパネル部を取り外せば(※)干渉物はほとんどなくなり、パーツの組み込みはびっくりするほどスムーズになる。自作PC初心者の方もリターンの方も、最新PCケースはここまでラクになっている。

※ガラスパネル部は丁寧に取り扱おう。とくにフロントパネルはやや硬めでLEDケーブルもあるのであらかじめコネクタを外したうえで慎重に作業したい

各部カバーを外したところ。フロントパネルを外せるものは多いが、ピラーがないので内部がけっこう明るい

電源を装着。搭載場所は異なるが基本は同じ。ただし写真のとおり遮蔽物が少なく明るい位置なので装着作業がしやすい

水冷ラジエーターを装着。ここはほかのPCケースとそれほど違いはない。十分に装着しやすいと言える

遮蔽物(ピラー)がないのでマザーボードが装着しやすいし、なにより明るい

 冷却性能について説明しよう。ピラーレス・ケースの場合、従来フロントに搭載していたケースファンが右側面前方に移る。ほかは基本的に従来のレイアウトと同様だ。ただし、デュアルチャンバー化したことで底面にもケースファン設置が可能になる。リストアップしてみると、トップ:12/14cm角×3、リア:12cm角×1、サイド:12cm角×3または14cm角×2、ボトム:12cm角×3または14/16cm角×2で、仮に12cm角のみでフル実装すると10基搭載できる。

電源スペース横にファン&LED用ハブを標準搭載(標準搭載ファン配線済み)

 標準搭載のサイドファンは「リバース仕様」だ。サイドファンが吸気を担うわけだが、通常のファンはLED発光面を向けると排気になってしまう。リバース・ファンは通常ファンとは風向きが逆の仕様で、LED発光面が正面を向いて吸気方向になるものだ。リバース・ファンはそこまで選択肢がなく、標準搭載されているのはうれしい。

この状態で吸気向きになっているリバース仕様の12cm角ファン3基

 標準搭載ファンという点で言うと、このほかリアにも12cm角×1基が装着済みだ。合わせて4基。たとえば36cmクラスの簡易水冷CPUクーラーを組み合わせれば、これだけで計7基の12cm角ファンを搭載することになる。最大基数まで増やすにしてもあと3基購入するだけでよい。ケースファンの出費も考慮すると、標準で4基のファンが搭載されている点は大きなメリットだ。

リアにも12cm角ファン1基を標準搭載

おおよそのパーツが装着できたところ

「MAG PANO 100R PZ」の組み立てについてまとめよう。まず注意点として、デュアルチャンバーなので大きく重く、フロントと左サイドがガラスパネル(強化ガラスと言えども)なので丁寧に扱う必要がある。ただ、組み立て作業についてはピラーレス&リムーバブルパネル、デュアルチャンバーによって驚くほど作業性がよい。

 また、裏面配線スペースが広いことも特筆すべき点だ。裏面配線対応とはいえスペースは2〜3cm程度というケースも多いが、「MAG PANO 100R PZ」なら電源の高さ分、8.6cm+αのスペースがある。極端な話、各ケーブル個別に結束しなくても、複数ケーブルを長さのある結束バンドで一括りにしてしまっても大丈夫なくらいのスペースだ。裏面配線の地味な作業が苦手という方にはうってつけと言えるかもしれない。

 こうしたメリットによって組み立てにかかる時間は、伝統的なPCケースよりもかなり短縮できるはずだ。スムーズに組めるという点で、自作PC初心者にもやさしいPCケースと言えるだろう。とはいえ過去に自作PCを組んだことがある方なら身にしみてこのメリットが伝わるだろう。伝統的なPCケースを好む懐古主義の方の気落ちも分かるが、今の進化したPCケースも一度体験してみていただきたい。

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