グーグルは5月9日、米国司法省(DOJ)のGoogle検索に関する裁判の救済措置聴聞会が終了したことを受け、司法省への反論をブログに掲載。同省の提案は消費者に害を与えると主張している。
グーグルの主張の主なポイントは以下のとおり。
●業界にはすでに激しい競争がある
・ChatGPT、Grok、DeepSeek、Perplexity、MetaAIなどの十分な資金をもつ企業が急速にユーザーを獲得し、革新的なサービスを提供している
・アップルはApple IntelligenceにChatGPTを採用し、モトローラはPerplexityとマイクロソフトのCopilotを新型デバイスに統合している
●司法省案は消費者の体験を悪化させる
・アップルのサービス担当上級副社長エディー・キュー氏は「Google検索は最高の検索エンジン」だと証言した
・Mozillaのエリック・ミュールハイムCFOは、司法省の提案がブラウザー競争を損ない「Firefoxを廃業に追い込む」と述べた
●データ開示義務はプライバシーを脅かす
・プライバシー専門家のクリス・カルネイン博士は、司法省の提案が欧州のデジタル市場法よりも多くのデータを要求し、広範囲にわたるプライバシー侵害の恐れがあると証言
・米国の業界団体(Software & Information Industry Association)は、検索データの強制共有がプライバシーとセキュリティーのリスクを生み出すと発言
・グーグルが敗訴した場合に最も恩恵を受けるであろうマイクロソフトの証人でさえ、「プライバシーへの懸念は作り話ではない」と認めている
●検索事業の事実上の売却はイノベーションを妨げる
・グーグルのサンダー・ピチャイCEOは、司法省の提案が「事実上の検索事業の売却」に相当すると証言
・グーグルの検索部門を担当するリズ・リード副社長は、検索事業の事実上の売却により、同社の今後のイノベーションが「著しく妨げられる」ことを確認
・シカゴ大学の経済学者ケビン・マーフィー博士は、データと知的財産の強制共有がライバル企業のイノベーション意欲を削ぐと指摘
●Chromeの分離は深刻な問題を引き起こす
・Chromeの責任者パリサ・タブリズ氏は、Chrome事業をグーグルから分離することで、Chromeの安全性が損なわれ、時代遅れのブラウザーになると主張
・コロンビア大学のジェイソン・ニー教授は、ChromeをGoogleのインフラから切り離すことは難しい上、ChromeOSやオープンソースのChromiumプロジェクトに悪影響を及ぼす可能性があると証言
・グーグルのセキュリティ責任者ヘザー・アドキンス氏は、Chromeの分離によって数十億人がサイバー攻撃にさらされると警告
同社は数週間に渡り証言を聞いた上で、司法省の提案が消費者にもたらす利益は明確化されなかった主張。「これが米国の独占禁止法の本質だ」と述べ、司法省との対決姿勢をより鮮明にした。













