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「スピード感をもって市場にアプローチしていく」Cohesity CROと日本法人社長に聞く

“安心・安定のVeritas”と“先進性のCohesity”の統合 新生Cohesityが目指す姿は

2025年05月09日 12時45分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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サイバーレジリエンスとAIの戦略、生成AI+RAGのソリューションも

 現在のバックアップ/データ保護ソリューションは、サイバーセキュリティの一部を担うようになっており、大手ベンダーはいずれもサイバー攻撃被害からの回復性向上、つまり「サイバーレジリエンス」の実現を掲げている。

 その点はCohesityも同じだ。現在では自ら「AIを活用したデータセキュリティのリーダー」と位置付けており、ビール氏も「両社統合の最終目標はサイバーレジリエンスの向上」だと明言する。

 それではサイバーレジリエンスの領域で、Cohesityは何にフォーカスしていくのか。ビール氏は(1)あらゆるデータを保護できること(「これが最も重要だ」と強調した)、(2)障害やサイバー攻撃の被害から迅速に復旧できること、(3)リカバリ時を含むオペレーションの自動化、(4)既存の広範なパートナーシップ(テクノロジーパートナー、Go To Marketパートナーの両方)という4点を挙げた。

 ちなみに(2)については、独自ファイルシステムによって大容量データを高速にリストアできるだけでなく、顧客自身であらかじめ設定する“優先度リスト”に基づいて、業務継続に最低限必要なアプリから順にリストアを自動実行していくことで、より迅速な業務復旧が可能になると説明している。

 もうひとつ、現在のIT業界で欠かせないキーワードが「AI」だ。Cohesityでは「オペレーションにおけるAI活用(自動化/効率化)」と「顧客保有データのAI活用」の大きく2方面で、AI戦略を打ち立てている。

Cohesityが実装しているAI/機械学習機能の例

 後者について、ビール氏は「Cohesity Gaia」を紹介した。

 Cohesity Gaiaは、Cohesityプラットフォームに格納されたバックアップデータに生成AI+RAG(検索拡張生成)を適用することで、膨大な自社データの検索や要約、チャットでの質問回答を簡単に実現するソリューションだ。ビール氏は「Gaiaによって、お客様は“データと会話”できるようになる」と表現する。

 なお、Cohesity Gaiaはクラウド環境だけでなく、オンプレミス環境に閉じたかたちでも実装できるようになっている。そのため、機密度の高いデータを取り扱うことも可能だ。また、現在対応しているのは主要ドキュメントファイル(非構造化データ)だが、将来的には対応データ形式をさらに拡張していきたいという。レガシーシステムに眠っているデータを生成AIで活用するようなことも可能になりそうだ。

生成AI+RAGでバックアップデータを活用できる「Cohesity Gaia」のユースケース例

日本は重要市場のひとつ、スピード感を持ってアプローチしていく

 すでにCohesity Japanも、旧Veritasと旧Cohesityのチームとオフィスを統合して“新生Cohesity Japan”の活動をスタートさせている。ビール氏は、金融、通信、製造といった業界のエンタープライズ顧客を多数抱える日本市場は「重要な市場のひとつ」だと説明する。

 金光氏は、新生Cohesityに対する日本の顧客、パートナー(SIerなど)の反応はおおむね「好意的」なものだと語る。特にパートナーは、“安心・安定”のVeritasと“先進性”のCohesityが統合したことが「新たなビジネス機会の創造」につながるのではないかと期待しているという。

 一方で、かつてのVeritasは“安心・安定”ではあるものの、スピード感を持って動くことが苦手なベンダーだった。そういう筆者の印象を率直にぶつけたところ、金光氏も「多くの顧客が新生Cohesityの『スピード感』に期待している」と認めた。日本市場に対してスピード感を持ったアプローチを進め、従来の「ゆっくり、ゆったりとしたVeritasのイメージを払拭していきたい」という。

 本記事の冒頭で挙げたコメントのとおり、ビール氏は新生Cohesityを「ビジネスレジリエンスを担保する、最良かつ最も信頼できるパートナー」「市場で最もイノベーティブなベンダー」として認知してもらいたいと語った。これに付け加えるかたちで、金光氏は「お客様にとって最初のチョイスでありたい」と抱負を述べた。

 「お客様に最初に選ばれる会社、データ保護やサイバーレジリエンスをやりたいというときに、一番最初に思い浮かぶ会社になりたいと思う。そのために日本市場でも『Cohesity』というブランドの認知度を高めて、グローバルのCohesityを日本が牽引するような役割を果たせたらいいと考えている」(金光氏)

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