4基のバーブラウン製DACを搭載
iFi audioがフラッグシップUSB DACを更新、K2HDやDSD1024に対応した「iDSD Valkirie」
2025年03月25日 23時59分更新
最新技術を詰め込んだフラッグシップUSB DACが誕生した
iFi audioはポータブルUSB DACのフラグシップモデル「iDSD Valkyrie」を発表した。国内価格は未定だが、米国での販売価格は1699ドルになる見込み。
JVCケンウッドのK2HDテクノロジーを採用。4基のバーブラウン製DACを搭載。DSD 1024のアップサンプリング機能や最大5700mWの高出力ヘッドホンアンプ機能も持つ。GryphonやDiabloを上回る性能をアピールしている。また、ロスレスのBluetooth伝送規格であるaptX Losslessへの対応や、xMEMSのMEMSスピーカーを駆動するための専用モード、急速充電に対応し、20,000mAhと大容量のバッテリーなどを装備。最長18時間のバッテリー駆動が可能となっている(2.5時間充電)。
特徴は音の調整機能が豊富な点だ。デジタルフィルターが豊富なことに加えて、オーバーサンプリング機能やK2HDのオン/オフ、あるいはiFi audio独自のXBassやXPresenseといった技術を通じて自分に合った音を追求できる。
デザインは伝説の偵察機SR-71ブラックバードとワルキューレの馬の堂々とした翼がモチーフ。精密さとパワーの象徴である両者からインスピレーションを得た。DSDリマスタリングはカスタムのFPGAを活用。
また、K2HDモードでは最大192kHz/24bitまで、K2モードではオリジナルのサンプリングレートを維持しながら音の余韻や空間表現を強化する補正を加えるという。プロのマスタリングエンジニアが使う技術をそのまま持ち運べるという触れ込みだ。
ストリーミング時代に再認識されるK2テクノロジーの価値
JVCケンウッドのK2推進/音質マイスターである秋元秀之氏によると、K2は複数の技術によって構成される集大成的なブランド名だが、iFi audioの製品にはこのうち音響機器におけるK2テクノロジーである「K2HD」と音楽制作におけるK2テクノロジーである「K2HD Processing」の2つが盛り込まれているという。
K2HD Processingは圧縮によって失われてしまう高域情報を補完してCDやマスター品質を取り戻そうとする技術だ。定額ストリーミング配信が音楽再生の主流になる中、高圧縮の音源を高品質に再生することが今まで以上に求められるようになっている。K2HD Processingではこれを計算結果(データ)によって検証するだけでなく、エンジニアの耳による確認を経て合格に値するものだけにライセンスしている。
iFi audio製品でのK2HDでは高精度にプログラム化された結果、K2HD動作や処理に誤差がないことが確認できたことに加え、K2パラメータ値をiFi audio用に改めて再設定し、製品自体の音質補正を含まないデフォルトとなるK2パラメータ値を算出する。本来の理想的なK2HD処理、すなわち、より自然なK2HD効果が得られるようになっているという。
多彩な音作りが楽しめるマニアックな製品
メディア向けには、日本が世界で初という試聴の場も設けられた。試聴した感想としては、DXDははっきり高解像度な音調、DSD512はアナログ的な滑らかなサウンド、そしてDSD1024になると空気感が付加され、空間がすっと自然に広がったような開放感が得られる。K2では説明だけ聞くと高域が立って、音がはっきりしそうだが、低域なども明瞭感が出てリズムや音階感が明瞭になる。なかなか面白い。すでに述べたように対応するフォーマットの多彩さに加えて、DXD、DSD512、DSD1024と異なるアップサンプリングによる音の変化、さらにはフィルターやK2HDの組み合わせによる違いなど、極めて多くの音質パターンを選べる。
その全てを試すことはできなかったが、ヘッドホン視聴だけでなく、LINE出力を用いて単品システムなどにも組み込めるため、使い込む楽しみがある製品であるのは確かだろう。特徴あるデザインに加えて、機能も豊富で、所有する喜びも感じさせる機種に仕上がっていた。日本投入も期待して待ちたい。
