ファイルサーバーのクラウド全社移行、IT専任担当者もいない中でどうやって進めた?
使い方はさらに進化中! 総合建設コンサル・国建のDropbox導入が成功した理由
提供: Dropbox
Dropboxや付属ツールのメリットを生かし、使い方はさらに“進化中”
東江氏、星氏は「従来と使い勝手が変わらず、同じように使い続けられていること」が一番のメリットだったと口を揃えるが、Dropboxへの移行で得られたメリットはもちろんそれだけではない。たとえば「運用管理の簡素化」も大きなメリットだという。
従来のファイルサーバーでは、部署ごとに共有フォルダを作り、その部署の社員だけにアクセス権限を与えていた。日常業務のファイルは、ここに保存すればセキュリティが担保できる。ただし、部署横断型で進むプロジェクト用の共有フォルダは、このかたちには当てはまらない。
そこで、プロジェクトの共有フォルダはそのつど用意し、アクセス権限を個別に設定していた。このセットアップ作業は、委託先のサーバー管理者(国建システム)に依頼する必要があり、毎回、手間と時間がかかっていたという。
今回のDropboxへの移行によって、この「共有フォルダの作成」や「アクセス権限の設定」をユーザー(社員)自身が行えるようになった。共有フォルダの管理を現場に任せることができるので、記事冒頭のコメントにあったように管理コストも軽減される。
「さらに、管理コンソールからは『誰が、どんなフォルダを、誰に共有したのか』も簡単に確認できます。万が一リスクが高い共有状態になっていても、すぐに確認して修正できるので、セキュリティ面でも安心できます」(星氏)
また、ファイルやフォルダの検索が高速になったこともメリットだという。
「そもそもファイル数も多いので、ファイルサーバーの検索処理にはそれなりに時間がかかっていました。それが、Dropboxでは、検索キーワードを入力すればすぐにファイルの一覧が表示されます。たしかに速いですね」(東江氏)
高速な検索機能は、日常業務だけでなく「過去の技術継承」にも役立つはずだと、星氏は話す。国建ではこれまで、過去のプロジェクト資料の電子化を進めてきた。それをDropboxに移行し、高速に検索できるようになれば、活用がより一層進むはずだ。
そのほかにも、幅広いファイル形式に対応したDropboxのプレビュー機能や、PDFファイルの編集機能などは、現場のユーザーから好評だと話す。
Dropboxに付属するクラウドツール群も積極的に活用している。たとえば、社外の協力会社や取引先への大容量ファイルの送付には、「Dropbox Transfer(トランスファー)」が活躍しているという。
「これまで、メールに添付できない大容量ファイルを送る際は、無料のデータ転送サービスを使わざるを得ず、セキュリティやガバナンスの面で問題がありました。Transferならばセキュリティも担保できますし、誰に送ったのかもきちんと追跡できます。わたしのいるシビルデザイン部を含め、複数の部署ですでに使っています」(星氏)
社内ルール改定や取引先への利用拡大など、本格活用の基盤づくりも
2024年10月の導入からまだ数カ月、国建におけるDropbox活用は、いま少しずつ進み始めたところだ。さらなる本格活用を目指した取り組みも行っている。
ひとつは、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)への対応強化だ。これまでは「機密情報は社内のファイルサーバーに置き、クラウドストレージには置かない」という社内ルールで運用してきたが、Dropboxに移行したことでそのルール変更やマニュアルの修正が必要になった。「いまはその改定作業を進めているところです」と東江氏は説明する。
もっとも、この機会を利用して全社ルールを定めることで、ISMS認定の対象を一部の部署だけでなく全社に拡大していく方針だという。
もうひとつは、社外協力会社や取引先とのフォルダの共有だ。Transferによるファイル送付から一歩進めて、Dropboxの共有フォルダに社外関係者も招待して共同作業ができれば、プロジェクト内の業務効率化に役立つはずだ。
「業務で使うソフトやシステムはプロジェクトごとの要件で決まっているのですが、そこにDropboxも加えることができれば、かなり“使える”のではないでしょうか。現在は担当者レベルでDropboxを利用してみて、業務上での使い方や使える機能を把握している段階ですので、それが進めば効率化に生かしていけると思います」(東江氏)
共有フォルダへのアクセスにはDropboxアカウントが必要となるものの、無料版アカウントも利用可能なため、今後は協力会社や取引先にDropboxの利便性をアピールしながら導入を促していきたいと話した。
* * *
「建設業界全体の話として、『人手不足』はやはり大きな課題です。なり手がいなければ、業務の生産性を高めて少ない人数でも回るようにしなければなりません。そのためにデジタル化をどんどん進め、その先のDXにもつなげていく――。われわれと同じような規模の会社では、具体的にどう進めればよいのか、どこも迷っていると思います」(星氏)
そうした悩みを持つ会社でも、Dropboxならば導入しやすく、デジタル化を進めるきっかけになりやすいはずだ。
「われわれ国建も、コロナ禍を機にリモートワーク制度を整え、業務PCをノートPCに変え、インターネット回線や無線LAN環境を拡充してきました。そういう下地があったので、ファイルサーバーのクラウド化に舵が切れました。デジタル化は、少しずつですが進んでいますね」(東江氏)
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