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「第97回アカデミー賞授賞式」目前! まだ観ていないという作品は!? 1970年代以降の各時代を代表する受賞作をチェック!

2025年02月19日 12時00分更新

文● 田中隆信

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 映画界最高の栄誉といわれている「第97回アカデミー賞」の授賞式が3月2日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビーシアターで開催される。第1回授賞式は1929年5月に行われた。歴史があり、世界中の映画ファンが注目する授賞式に先駆けて、1970年代以降の「アカデミー賞」受賞作をピックアップして紹介する。まだ観ていない、観たことがないという人はぜひチェックしてもらいたい。

1970年代
ゴッドファーザー

 マリオ・プーゾのベストセラー小説を当時32歳のフランシス・F・コッポラ監督が映像化。イタリアからアメリカに移住して巨万の富を築いたマフィア、ビト・コルレオーネのファミリーの“跡目相続”や“世代交代”など壮絶な抗争と“家族の絆”が描かれている。「第45回アカデミー賞」で作品賞を受賞したほか、ビト役のマーロン・ブランドはこの作品で再評価され主演男優賞を獲得し、俳優としての大きな起点となった。そして、まだキャリアが浅かったアル・パチーノはビトの三男マイケルを演じたことで注目され、出世作に。1974年公開の『ゴッドファーザー2』では、ビトの青年時代(ロバート・デ・ニーロ)、マイケルのその後という2つの異なる物語を並行させながら描き、こちらも作品賞などを受賞した。

1980年代
ガンジー

 インド、イギリスによる合作映画として1982年に公開された『ガンジー』は、“非暴力・非服従”で世界の歴史を変えたマハトマ・ガンジーを描いた作品。監督は、のちにチャップリンの伝記映画『チャーリー』を手がけるリチャード・アッテンボローで、主演はベン・キングスレー。1894年、青年ガンジーは大英帝国支配下の南アフリカにおける人種差別政策に怒りを覚え、“民族抵抗運動”を起こした。これをきっかけにガンジーは人種差別撤廃の理想に燃え、祖国インドでの反英不服従運動の指揮を執ることになる。歴史的な描写の正確さや、キングスレーの演技や衣装などが高く評価され、「第55回アカデミー賞」で作品賞、主演男優賞など8部門を受賞した。いまだ世界で紛争が起こっている現代にも通じるテーマを秘めた作品と言えるだろう。

1990年代
タイタニック

 1912年に沈没した豪華客船タイタニック号を舞台に、ラブストーリーが展開する作品で、監督はジェームズ・キャメロン、主人公ジャックをレオナルド・ディカプリオ、ヒロインのローズをケイト・ウィンスレットが演じた。17歳のローズはフィアンセの大資産家キャルと乗船したが心はうつろ。画家志望のジャックは賭けに勝って三等切符を手に入れ、憧れのアメリカに渡れる喜びに酔っていた。甲板でスケッチをしている時に出会ったローズの美しさに心引かれ…というストーリー。細部にまでこだわることで有名なキャメロン監督だけに、徹底した時代考証によりタイタニック号の様子をほぼ完全に再現。当時、歴代最高額の2億ドルの制作費が投じられた。「第70回アカデミー賞」で作品賞など11部門を受賞。

2000年代
ミリオンダラー・ベイビー

 名優クリント・イーストウッドが監督・共同製作・音楽・主演を務め、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞の4部門を受賞。ロサンゼルスのダウンタウンにある小さなボクシング・ジムを営む老トレーナーのフランキー(イーストウッド)のところに、ある日、31歳の女性マギー(ヒラリー・スワンク)が弟子入りを志願。最初は断ったが旧友で事務の雑用係をしている元ボクサーのエディ・“スクラップ・アイアン”デュプリスが彼女の素質を見抜いたこともあり、毎日通い続けたマギーをコーチし始めた。ボクシングを通じて知り合った2人。マギーは亡くなった父親の姿をフランキーに重ね、フランキーは疎遠になっている娘の姿を重ねた。師弟関係というだけでなく“家族”のような絆を見いだし、その絆が強くなるほど、苦しみも増幅していく…。まさに“崇高な愛”の物語とも言えるだろう。

2010年代
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

 第87回(2015年)、作品賞など4部門を受賞。かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自身が脚本を手がけた舞台で再起に懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやってきたマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込んでいく。「レヴェナント:蘇りし者」など、シリアスな人間ドラマを描く作品が多いアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、この作品ではブラックコメディ要素の強い作品に挑戦。トムソンの娘を、『哀れなるものたち』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーンが演じており、いいキャラを出してくれている。また、この作品の大きな特徴と言えるのが、ほぼワンカット(に見える)撮影方法。それによって“流れるような”テンポ感を生み、観るものをグイグイと引き込むため、ぜひ体感してほしい。

2020年代
ファーザー

 2021年、「第93回アカデミー賞」でアンソニー・ホプキンスが1992年の『羊たちの沈黙』以来、29年ぶりに主演男優賞を受賞。29年ぶり2度目、そして83歳での受賞はアカデミー賞の最高齢受賞の記録を塗り替えることとなった。ロンドンでひとり暮らしをしている81歳のアンソニー(ホプキンス)は記憶が薄れ始めていた。娘のアン(オリヴィア・コールマン)が手配した介護人を拒否し、「時計を盗んだ」と言い張る始末。アンに指摘され、時計が見つかったが悪びれる様子もない。そんな頑固なアンソニーだが、アンに「新しい恋人とパリで暮らす」と言われ、ショックを受けてしまう。しかし、家の中に見知らぬ男が現れる。「お前は誰だ?」とぶしつけに聞くと「ポール」と名乗った。彼はアンの夫で結婚して10年になるという。ポールが言うには、アンはパリではなく、近くに買い物に出掛けているだけですぐに戻ってくるらしい。その言葉通り、まもなくアンが帰ってきたが、それはアンソニーの知っているアンではなかった。何やらミステリーやホラーの様相を呈しているが、これは認知症の症状が出始めたアンソニー目線で描かれているからである。身内でさえ忘れてしまうという症状を描き、観る人が認知症を擬似体験している感覚になり、それが“恐怖”に繋がっている。ホプキンスやコールマンの演技、そして脚本の妙を味わってもらいたい。

(c) 1997 Twentieth Century Fox Film Corporation and Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

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