丸の内LOVEWalker総編集長・玉置泰紀の「丸の内びとに会ってみた」 第22回
丸の内仲通りのカフェ、気になってた人も多いのでは?
1万人以上が来場する丸の内アンティークマーケットを仕掛けた丸の内びと― 大西彩加さん
丸の内LOVEWalker総編集長の玉置泰紀が、丸の内エリアのキーパーソンに会いに行き、現在のプロジェクトや取り組みなどのエピソードを聞いていく本連載。第22回は、丸の内仲通りにあるカフェスタンド「Marunouchi Happ. Stand & Gallery」を運営されているグッドモーニングス・大西彩加さんにお話を伺った。
丸の内の賑わい創出を目指して誕生したMarunouchi Happ. Stand & Gallery
──2018年5月に誕生したMarunouchi Happ. Stand & Galleryですが、この施設を丸の内仲通りに作られた狙いを教えてください。
大西「元々、この施設は三菱地所・三菱地所プロパティマネジメントさんが企画した施設なんです。一緒にコンセプト決めから始まり、その後店舗を開業したのちに、弊社で運営を受託する形になりました。
丸の内仲通り沿いかつ丸の内の中心地という好立地を生かし、さまざまな可変性ある取り組みを通じて、丸の内の新たな賑わい創造拠点にしようという狙いで、この施設が誕生しました。小さなカフェスタンドですが、カフェ空間にPOPUPギャラリーを併設することで、エリアワーカーの日常に寄り添いつつ、新たな発見・刺激を体感いただくことを目指した店舗づくりをしています」
──2024年にはKITTE向かいの三菱ビル1階にMarunouchi Happ. STOREもオープンしていますよね。人が行き来するような場所にしたかったということでしょうか?
大西「そうですね。どちらも丸の内ワーカーさんに来ていただいて、丸の内(まち)との結節点となる店舗、さらにはそこから派生してコミュニティを作ろうというのがスペースを運営する目的です」
──まずカフェについてなんですが、ただの喫茶店ではないんですよね。Stand & Galleryということで、運営するにあたって心がけていることはありますか?
大西「オープン当初は独特な店舗なので、お店のコンセプトがあまり皆さんに理解されなかったんです。街のコミュニティ拠点になりたかったので、カフェの要素をベースに備えつつも、プラスアルファでイベントやワークショップを並行してやっています。丸の内って、お仕事をするために来る場所という認識が強いと思うんですが、その道中で思わず心踊るような出会いや驚きを与えられたらと思っています。Happには、“HAPPENING IS HAPPY”という意味が込められているんです」
──実は先ほどカフェでプリンとコーヒーをいただきました。僕の好きな固いプリンで、コーヒーもとても美味しくて感動しました!
大西「コーヒーは静岡県にあるロースタリー・IFNi ROASTING & COで焙煎されたものです。オープン当初からお店オリジナルのコーヒーを作っていただいています。コーヒーはお客様が仕事に行く前や、仕事合間に買っていただくことが多いので、ちょっとガツンとくるような味わいになるように焙煎していただいて、季節によって焙煎も変えています。
クラフトビールもありまして、国内外に熱狂的なファンを持ち、世界中のビールコンペティションで金賞の常連である三重県の伊勢角屋麦酒のビールもご用意しています。最近、丸ビルにクラフトビール居酒屋をオープンされましたね。
食事メニューも朝から夜まで楽しめるメニューをご用意しています。旬な食材や、じっくりと時間をかけたハンドメイドなもの、身体に優しいものにこだわったメニューを数多く展開しているので、ぜひ食べに来ていただきたいです。特にランチで提供している人気メニューのスパイスカレーは、本社のセントラルキッチンでスパイスを調合して1からこだわって作っています」
──STOREにもコーヒーを飲めるスタンドがありますよね。
大西「よくご存知ですね! STOREはコーヒーと本とビールという3つの商品軸があり、デイリー使いできるコンビニのような場所になっています。なので、コーヒーも自分で好きなドリップバッグを選んで購入した後に、店舗に常設されたケトルでお湯を注いで作っていただくんですが、たまに気まぐれで店舗で淹れたドリップコーヒーもお出ししています」
大反響のアンティークマーケットは開催頻度が上がるかも?
Happで人気のイベントがアンティークマーケット。約1週間開催され、週末は丸の内仲通りまでエリアを広げて開催されるほどの人気を博している。実はこのイベントを仕掛けているのもMarunouchi Happ. Stand & Galleryだ。
──イベントも2週間に一度くらい行われていますよね?
大西「そうですね。いろいろやらせていただいていますが、その中でも2022年3月からスタートしたアンティークマーケットは、恒例行事になることを目指して三菱地所・三菱地所プロパティマネジメントさんと一緒に企画しました。今は年に2回開催していて、約一万人以上の方にお越しいただいています。25店舗ほどにご出店いただいていて、扱っているアイテムはヨーロッパや西洋のものが多いですね。
もともと丸の内はお目が高い方が多くいらっしゃるので、アンティークマーケットの出店者の方からもこのエリアは雰囲気もお客様の反響もいいとおっしゃっていただけました。出店者の方にも喜んでいただけているので、私たちもうれしいです。今後の目標としては、頻度を上げて開催できたらいいなと思っています」
──アンティークマーケット期間中は、カフェでのメニューも変わるんですか?
大西「まず、大きなところで言うと、BROWN ANTIQUESのアンティーク食器でスイーツメニューを提供しています。昨年12月にはシュトーレンをご提供させていただきました。本来シュトーレンは1本買って、毎日ちょっとずつ切り分けてクリスマスまでに食べるというのが本場の食べ方なんですが、1人だとなかなか食べられないかなと思うので、薄くカットしたものを提供したら、すごく反響がありました」
──空港関連のイベントもありましたよね?
大西「あのイベントは三菱地所さんと一緒に開催したんですが、三菱地所さんに空港事業部があって、香川、沖縄、北海道、静岡の空港の運営をされているんですね。なので、その空港とコラボして地方の名産品が買えたり、ご当地食材を使ったメニューを提供させていただきました。
そのほかのイベントでは、栃木の四代目徳次郎さんの天然氷を使った、かき氷も人気です。天然氷なので、季節によって切り出しができないと提供数が限られてしまうのですが、2022年7月から行っていて例年人気なので、また今年もやりたいなと思っています」
──本当にたくさんのイベントを企画されていますね。ちなみに、今後の予定は何かありますでしょうか?
大西「2月1日(土)から丸の内エリアでバレンタインが始まりますが、Marunouchi Happ. Stand & Galleryでは日本橋浜町にある『nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO』のチョコレートを販売します。ボンボンショコラや焼き菓子など、毎年人気のラインアップで今年も販売します。またHapp.のアイスパフェとコラボして、nel CRAFT CHOCOLATE TOKYOさんが今回のために作ってくださった、キャラメリゼしたカカオニブをふんだんに使ったスイーツも提供予定ですので、ぜひ召し上がっていただきたいですね。
また、バレンタインとは別になりますが、夜にカフェとして利用していただくことも多いので、『大人のための締めパフェ』も考えているところです。あとは、このエリアの特性で仕事の合間にご飯を食べられる場所が少ないので、今思考中ですが“残業飯”というこだわりのどんぶりも提供できたらなと思っています」
──丸の内エリアの中で、Happはどんな役割をしていると思いますか?
大西「まずはエリアワーカーの方や来街者の方の憩いの場となるよう、スタッフ一同心からおもてなしできればと思っています。カフェなのでシーズナルメニューも積極的に展開していきたいですね。Happ.はPOPUP GALLERYの機能も有しているので、今後も丸の内にないモノ・コトの発信はもちろん、丸の内にある素敵なテナントさんたちと一緒にイベントをやっていけたらいいなと思っています。私自身も丸の内で働いていますが、意外と隣の店舗のスタッフのお顔を知らなかったりして。なので、まずは身近なところからコミュニティを作っていって、それを切り口にお互いの人脈を生かし新しい場所で繋がって、さらにそこからビジネスが生まれたりしたらおもしろいなと思いますね。その元には、やはり“丸の内にHappがある”というのが大きくて、場所があればそこに集まれますし、いろんな繋がりが広がっていく役割を担う、憩いの場になっていけたらいいなと思います。
私もアンテナ高く面白い取り組みをされている事業者さんを発見して、丸の内にイベント誘致できたらいいなと思っています。ここでの出会いがきっかけで、その後別の場所でもつながりが広がれば私たちがこの場所を作っている意味があると感じます」
人をつなぎ、食で街を作ることを目指して
──大西さんのことについてもお伺いしたいんですが、もともとどのようなお仕事をされていたんですか?
大西「実は金融関係の仕事をしていて、その後航空会社で働いていたんです。当時、この先のキャリアをどうしようか悩んでいたときに、いろんな会社を見てみようと思ったんですね。食べることが好きで、漠然と食に関わる仕事や、街づくりにも興味がありました。そんな時に、食を切り口に街を作っていく会社があることを知ったんです。
入社当初はHappの店舗スタッフとして1年半働いて、お客様といろんなお話をしてきました。それを活かして、今のイベント企画と運営サポートに回っています。未経験で入ったので最初こそ手探りなところも多かったですが、今はいろんなことに携わらせていただいています。
コラボメニューのアイデアを出したり、アンティークマーケットのようなイベントをゼロから作り上げたり、バイヤー業務をしたり、丸の内ポイントアプリの記事制作をさせていただいたり、丸の内ご当地グッズの制作をしたり……自分でもこんなにいろんなことに携われると思っていなかったので、いろんなことが広がっていくのが楽しいですね」
──全然違うお仕事をされていたんですね! 丸の内で働くようになって、大西さんの丸の内の印象は変わりましたか?
大西「カフェで働いていると、一見ビジネスライクでツンツンした方が多いのかな?と思いきや全然そんなことはなくて。少しお話しさせていただくととても話が弾んで、またお店に来てくださったりするんです。丸の内ってビジネス街ですし、人との繋がりもなかなかないイメージを持たれる方が多いと思うんですが、意外とそんなことはないんですよね。
ワーカーの方にも、来街者の方にも楽しんでいただけるイベントをしているので、ぜひHappに足を運んでくれたらうれしいですね」
──では最後に、大西さんが丸の内で好きな場所を教えてください。
大西「丸の内仲通りが好きですね。日本なんですけど、どこか日本じゃなく思える瞬間もあって。通り沿いにあるお店にもよく行きますし、気分転換に散歩にも行きます。店舗のテラス席で仕事をすることも多いですが、ふと仲通りを見上げると、素敵な雰囲気にポーッとしてしまったりすることもあって。よくないですね(笑)」──分かる気がします(笑)。
人と街と食をつなぐコミュニティを目指しているMarunouchi Happ. Stand & Gallery。街に賑わいを生むイベント企画だけでなく、締めパフェや残業メシなど丸の内で一日を過ごす人々のためのカフェとしての役割も果たしている。これからMarunouchi Happ. Stand & Galleryが丸の内にとってどんな存在になるのか、とても楽しみだ。
大西彩加(おおにし・あやか)
●1990年、東京生まれ。金融や航空関係の仕事を経て、good mornings株式会社に勤務。入社当初はMarunouchi Happ. Stand&Galleryのサブマネージャーとして接客に従事、その後キャリアチェンジし、現在の職に就く。
聞き手=玉置泰紀(たまき・やすのり)
●1961年生まれ、大阪府出身。株式会社角川アスキー総合研究所・戦略推進室。丸の内LOVEWalker総編集長。国際大学GLOCOM客員研究員。一般社団法人メタ観光推進機構理事。京都市埋蔵文化財研究所理事。産経新聞~福武書店~角川4誌編集長。
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