eSports王者がリアルレースに挑戦! 冨林勇佑選手のSUPER GT参戦記 第8回
GT500はau TOM'Sが2連覇を決める
グランツーリスモ王者の冨林勇佑、SUPER GT最終戦鈴鹿は17位完走! 2024年は苦しいシーズンだった
2024年12月29日 12時00分更新
GT500クラスは36号車au TOM'Sが予選で2連覇を決める
GT500クラスでは36号車「au TOM'S GR Supra」がポール・トゥ・ウィンで今季3勝目を飾り、2024年のシリーズチャンピオンに輝いた。
前回の第8戦もてぎでシーズン2勝目を挙げた36号車auは、ライバルに対して18ポイントのリードを築いており、結果次第では予選でチャンピオンが決まる。
決勝レースを着実に戦い抜けば、優勝しなくてもチャンピオンが決まるというポイント差ではあるが、最後まで何が起こるか分からないのがSUPER GT。願わくば予選でチャンピオンを決めたいと、ドライバーの坪井 翔・山下健太ともにいつになく緊張した雰囲気がピット内にあった。
「土曜日の公式練習では、2人ともコメントがどこか焦っているような感じでした」と36号車の吉武 聡エンジニア。早く決めたいという気持ちをうまくコントロールしつつ予選に臨んだ。
SUPER GTでは今季から合算タイム方式の予選を導入。Q1とQ2のタイムを足して、その合計タイムでグリッドが決まる。今回36号車がポールポジションを獲得し、ランキング2番手の100号車「STANLEY CIVIC TYPE R-GT」が3位以下になれば、予選の時点でチャンピオンが確定する。
36号車はQ1で山下が乗り込みタイムアタックを開始。いつもより気温が低いこともあり、夏場と比べてタイムが一気に向上。このセッションでは上位5台がコースレコードを塗り替えるタイムを記録した。
そんな中、山下は1分43秒737で3番手タイムを記録。続く坪井にバトンを渡した。
シーズン後半戦から予選ルールが一部改定され、Q2でも新品タイヤを装着できるようになり、坪井もタイヤを履き替えてコースイン。トップタイムこそ奪えなかったが、0.128秒差で3番手につけた。これにより合算タイムで3分27秒008で、ライバルを逆転。100号車は5番手に終わったため、予選終了時点で36号車の2年連続チャンピオンが決まった。さらに、坪井はスーパーフォーミュラでもチャンピオンを決めており、国内二冠の快挙を達成した。
チャンピオンだけど最後は優勝で決めた
これで肩の荷が降りた2人は決勝でチャンピオンらしい力強さをみせる。序盤からFCYが導入されるなど波乱の展開となるなか、第1スティント担当の坪井はしっかりとトップを死守。ライバルの動きをみて、レースの3分の1を終えたところでピットストップを行ない、山下に交代した。
いつもなら、ここから引き離していく展開となるが、路面コンディションと各車が選んでいるタイヤの差が少しずつ現れ、後方から3号車「Niterra MOTUL Z」が迫り、一時はトップを奪われかけるも、ここか山下が冷静に判断して抜き返し、トップを死守した。
その後、トラブル車両がありFCYが導入され、3番手の17号車「Astemo CIVIC TYPE R-GT」も迫ってきて、36号車としてはピンチの状態となるも、FCY解除直後に3号車がスピンを喫して後退。17号車から猛攻をうけるも、最後はしっかりと守り切り、見事今季3勝目を果たして2024シーズンを終えた。
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