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このマンガが(俺にとって)すごい! 第2回

俺にもそんな時代がありました

青臭いことがアツいことだったんだと振り返る『ブルーピリオド』が刺さって刺さってもう…

2024年12月29日 15時00分更新

文● イチ/ASCII 編集⚫︎ASCII

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 大人になってしまったみなさん、最近なにかに「熱中」してますか?

 たとえば子どもの頃、野球少年だった人は上手くなるために何時間でも熱中して練習できたのではないでしょうか。

 漫画・『ブルーピリオド』はそんな何かに熱中していたときの気持ちを思い出させてくれる作品です。アニメ化、実写映画化もされたのでご存じの人も多いかと思いますが、物語前半は美大受験に挑む主人公の青春物語です。

あの頃の自分に刺さる名言のオンパレード

 とくになんの目標もなくダラダラと高校生活を送っている主人公・矢虎が、ある“絵”を見たことがキッカケで、国内最難関の東京藝術大学を目指すという物語です。

 実をいうと自分は昔、漫画家になりたいと思っていて、絵もそれなりに描けたほうの人間だったと思います。でも大学卒業と同時になんだか熱が冷めて、その夢も諦めてしまったんですね。

 それから数年後、このマンガを見つけて読んだとき、衝撃を受けました。

── やべぇ。またマンガ書きたい ──って。

 そう思ったのには理由があって、このマンガ、第1巻からとにかくポジティブになれる名言のオンパレードなんです。

好きなことは趣味でいい
 これは大人の発想だと思いますよ
」(第1巻より)

 絵なんかで食っていけるわけないじゃんと思う矢虎に対して、美術部の佐伯先生がいった言葉です。

 大学を卒業して社会に出ていく自分は、絵は趣味でいいやって諦めてしまったんでしょうね。もちろん夢を追うことは大変ですが、やっている最中は楽しいんですよね。

俺の心臓は今 動き出したみたいだ」(第1巻より)

 これも1巻の1シーンですが、このシーンがいいんです。退屈な日々を送っていた矢虎の時計が動き出したような名場面です。漫画を描き始めたときの自分ももしかしたら、こんな気持ちだったのかもしれないなぁ、なんて思いながら読みました。自分も心臓を動かしたいです、もう一度。

 ちなみにタイトルの”ブルーピリオド”は、ピカソの20代前半の画風を指す言葉で、俗に”青の時代”と呼ばれる作品群のこと。転じて、孤独で不安な青年期を表す言葉として使われます。あの頃、なにかに熱中していた自分を思い出せる、そんな名作なのです。

Image from Amazon.co.jp
ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド
山口つばさ (著)
全16巻(続巻)

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