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【ラーメンライターが実食リポート! そば店の名物おばちゃんが作るラーメンが旨すぎた件】諭吉そば(千葉・松戸)

2024年12月20日 11時00分更新

文● 河合哲治郎 撮影●岩堀和彦

提供: 諭吉そば

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 現在好評発売中の「ラーメンWalker千葉2025」に掲載されている気になる店を、ラーメンライターが実食リポート。ライター歴20年、これまで3,000軒以上ものラーメン店を取材してきたベテランライターKが、千葉・松戸にある「諭吉そば」を訪れ、その味をガチで調査してきた!

松戸駅東口から徒歩8分。松戸市役所のそばにある「諭吉そば」

人気そば店がラーメンを看板メニューにリニューアル!

 松戸で10年以上愛されてきた立ち食いそば店「自家製麺 そばっちゃん」がリニューアルする形で、2024年8月28日にオープンした「諭吉そば」。ランチタイムは早くも行列が出来る人気店だ。

 重厚感ある格子戸を開けて店内に入ると「いらっしゃい!」という元気な声が出迎えてくれた。声の主は店主の石川啓子さん。御年74歳で「そばっちゃん」時代から“おばちゃん”の愛称で客に愛されている名物店主だ。「今日は寒いわねえ。風邪ひかないように気を付けてね」と、常連・一見客とも隔たりなく、温かい声を掛けてくれるおばちゃん。その姿に故郷の母を重ね、「そういえば最近帰省できていないな。元気かな?」と思わず感傷に浸るライターK。この時点ではい、合格! 絶対にいい店フラグが秒速で立った。

 いやいや、肝心なのは味!と我に返り、気を取り直して券売機とにらめっこ。入口横にあるそれは最新のタッチパネル式で、現金はもちろん、クレジットカード、交通系ICカード、電子マネーとすべて使えるのがありがたい。そばやうどんなど多彩なメニューがズラリと並ぶなか、お目当ての諭吉ラーメン¥800を発見。ポチリとボタンを押し、さらにこちらも人気だという自家製カレーライス ミニ¥380も一緒に注文した。

おばちゃんこと、名物店主の石川啓子さん

 「はい、ラーメン一丁! それとミニカレー入りました!」と威勢のよい掛け声を上げ、自ら作業に入るおばちゃん。店を開く前は、東京・蒲田のそば店に長らく勤務していて、そば職人としてのキャリアは25年以上を数える。もちろんラーメンの調理も慣れた手つきで、麺を茹で、丼にスープを注ぎ、テキパキと具を盛り付け。「おまちどう!」と出来上がったラーメンをサーブしてくれた。

諭吉ラーメンを笑顔で差し出すおばちゃん

ネギとチャーシューがたっぷりの諭吉ラーメン¥800

キレッキレの醤油スープとツルツル&モチモチの太麺がマッチ♪

 着丼した諭吉ラーメンは、まず見た目のインパクトが抜群。大きくカットした青ネギがどっさりで、チャーシューや麺が見えないほどだ。聞くと、地元・松戸産のあじさいねぎというブランドネギだそうで、「なるべく地元の食材を使うようにしているの。その方が安心だし、何より新鮮でおいしいのよ!」とおばちゃん。

 熱々の湯気とともに、醤油の芳醇な香りが立ち上る丼にレンゲをくぐらせ、早速スープからいただきま~す! 色が黒く、味が濃そうだが、一口飲むと豚のクリアな旨味がじんわりと広がる。見た目とは裏腹の優しい味ながら、それでいて醤油がキレッキレ! もう一口、二口とレンゲが止まらなくなった。まさにおばちゃん、…いやいやスープに一目惚れだ。

 ふと冷静になり、プロのライターとしての五感を研ぎ澄ます。果たして、この旨さの秘密は何だろう? 醤油ダレが味の決め手であることは間違いないが、スープ自体のダシがとんでもなく旨いことに気づいたのだ。豚だけでなく、何かはわからないがいろいろな素材がいくつも重なり合い、奥深い味わいを作り出している。

 それが気になり、「スープは豚のほかに何が入っているんですか?」と質問。しかし「秘密!」と笑顔で取材拒否するおばちゃん。スタッフにも目で訴えてみたが「おばちゃん以外、誰も知らないんですよ。僕らも教えてもらえないんです」と結局煙に巻かれてしまった。

毎日店で炊いているスープ。豚が主体だが詳細はおばちゃんのみぞ知る

 気を取り直して次は麺へ。醤油ラーメンでは珍しい、太平打ちストレートタイプだ。知り合いの製麺所に特注したオリジナルだそうで、表面がなめらか。讃岐うどんのようにツルツルと喉を通っていく。それでいて噛むとモッチリ。小麦の味が濃く、キレッキレのスープに負けない力強い味わいだ。

ツルモチの太平打ちストレート麺。茹で前200ℊで食べ応えもある

肉々しいチャーシュー、柔らかなメンマもたまらない!

 スープ、麺ともにかなりの完成度だが、さらに具だくさんなのも高ポイント。噛むほどに甘味が増幅するあじさいねぎの下には、チャーシュー、メンマがたっぷり隠れている。

 チャーシューは、赤身の旨味が強い豚ウデ肉を自家製ダレでじっくりと煮込んでいて、弾力があり、肉々しい旨さが口いっぱいに広がっていく。さらに適度に甘い脂身も付いていて、こってり感もある。

チャーシューは豚ウデ肉。噛むほどに旨味が広がる

 そして名脇役と言えるのが、柔らかなメンマ。丁寧に水で戻し、甘辛ダレで味付け。1本1本手でちぎっているのもこだわりで太さが異なり、いろいろな食感が楽しめる。

自家製メンマは食感がよくなるよう、1本1本手で割いている

 麺の量は200gと通常のラーメンより多めで、ボリューム満点。途中で卓上の七味せんべい(2枚まで無料)をスープに入れるのもオススメ。ピリッと味が引き締まり、最後まで飽きずに食べられる。

オリジナルの七味せんべい。スープに溶かすと味が締まる

ラーメンに合うよう考案した自家製カレーライスも必食

 ラーメンだけでかなりの満足度だが、自家製カレーライス ミニも忘れてはいけない。どこか懐かしい黄色のカレーで、辛さはなく、マイルドな味わいが味覚中枢に「旨い!」と瞬時に通報してくれた。

 「ラーメンに合うように考えて作ったオリジナルカレーよ。辛さは抑えていて、タマネギの甘味が感じられるでしょ?」とおばちゃん。エッジの効いたラーメンの醤油スープを、まろやかなカレーが中和してくれ、ラーメン→カレー→ラーメン→カレー…の無限ループが永遠に続いていくかのように、箸とスプーンが止まらなくなる。ハラペーニョのピクルスが添えられていて、その刺激的な辛さもよい箸休めになっている。

自家製カレーライス ミニ¥380。超ミニミニカレー¥180もあり

 あっという間にラーメンとミニカレーを完食。どちらも専門店に負けず、劣らない本格的な味わい。「いや~、めちゃくちゃ旨かったです! 立ち食いそば店のレベルを遥かに超えてて、恐れ入りました」と素直な感想を述べると、うれしそうに笑うおばちゃん。最後にとっておきの話を聞かせてくれた。

 「諭吉ラーメンは、昔からまかないで食べてきたオリジナルなの。だから私にとっては何てことのない一杯なんだけど、海外でラーメン店を経営しているおいっ子がいて、この前日本に帰ってきた時に食べさせたのよ。そうしたらえらく気に入ってくれてね。『おばちゃん、これをメニューにしないのはもったいない!』って。それで店をリニューアルして、メニュー化することにしたの。おいっ子のように、このラーメンを食べて、笑顔になってくれるお客さんが見たくてね」。

 そんな素敵なエピソードがあったのか。そば職人であるおばちゃんが長年の経験を生かし、作り上げた諭吉ラーメン。なるほど、そう聞くと、確かに醤油スープにはどこかそばつゆに近いものが感じられた。しかしそれだけではない。おばちゃんの“愛情”こそが最高の隠し味なのだと気付く、ライターKであった。

店内も全面リニューアル。白を基調とした清潔感ある空間が広がる

【諭吉そば】

住所:千葉県松戸市小根本51-9

電話:047-710-2010

時間:11時30分~14時(LO)、15時~20時(LO19時30分)

休み:土・日曜、祝日

席数:8席(カウンター8)

駐車場:なし

交通アクセス:JR線・新京成線松戸駅東口より徒歩8分

※最新情報は公式X、Instagram、Facebook、HPでご確認ください

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