国土交通省は9月30日、全国の鉄軌道事業者に指示していた車輪(輪軸)の緊急点検に関する結果の速報を公開。JR東日本や京王重機整備など複数の事業者やその業務委託先で、不適切行為やデータの改ざんが確認されたことを明らかにした。
半数以上の事業者で社内規定違反などの不適切事案を確認
今回の緊急点検は、JR貨物の社内調査で輪軸組立時のデータ改ざん行為が発覚したことを受け、9月12日付けで国交省が全国の鉄軌道事業者へ指示したものだ。
同省によると、対象となった156社局のうち、全体の約6割(91社局)で、部品組立時の圧入力値が社内規定から逸脱しているといった不適切行為を確認。データの改ざんについても、すでに判明しているJR貨物に加え、JR東日本や、車両整備事業を営むメトロ車両、京王重機整備、総合車両製作所でも確認された。メトロ車両、京王重機整備、総合車両製作所の3社については、私鉄を中心に複数の事業者から車両整備を請け負っていたため、委託元の鉄軌道事業者にも影響が拡大。先述のJR貨物、JR東日本のケースも含めると、全国の50事業者でデータ改ざんを受けた部品が使われていたという。
本件について国交省は「鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾です」と述べ、監督省庁として、引き続き安全性向上に向けた取り組みをしっかり講じていく方針を示した。
なお、国交省は9月30日時点で、すでにJR貨物、JR東日本、メトロ車両、京王重機整備、総合車両製作所に加え、東京メトロ、京王電鉄、東急電鉄に対しても特別保安監査を実施している。