ファーウェイはクラウドで楽しめるサービスを展開
アカウントの勝手レンタル、無許可グッズまで
メーカー製PCではレノボからは黒神話コラボゲーミングノートがリリースされたほか、各メーカーのポータブルゲーミングPCも売れた。変わったところでは、ファーウェイからクラウドゲーミングで黒神話を快適にプレイするというソリューションも登場した。ただトラフィックが多い時間帯では、高解像度でのプレイ時にフリーズや遅延が発生するということで、安定して快適にプレイかというとまだまだというところ。
PS5も黒神話特需で中国で過去にないほど客が殺到し、在庫は一掃された模様。以前は安いもので2000元(約4万円)あまりで購入できたが、リリース後は3000元(約6万円)超は当たり前で、4000元(約8万円)を超える価格でも売られるように。転売目的で買われたケースも多くあった。
記念すべき黒神話を単に遊びたいというニーズもあるが、転売しかり、多くの人が注目するから稼ぎたいというニーズが発生するのはさすが中国といったところ。
これを機とばかりに何十時間と連続でプレイし、日本円で1000万円以上の荒稼ぎをするゲーム配信者や、ファミコン版黒神話を自作で作ってプレイする配信者、冒頭のわずかしか遊べない海賊版を勝手に販売に時間単位でアカウントをレンタル販売、無許可でグッズを作るなど、多くの人がこのビッグウェーブに乗った。
中国発のAAAタイトルは今後も続く予定だが
ここまでのブームになることは少々難しいか
SteamやPS5では、今後も中国から注目のAAAタイトルが予定されている。それが黒神話ほど人気になるかと言うと、中国を長く見ていた感覚で言えば、実際の内容が飛び抜けて面白いタイトルでない限りは難しい。
黒神話は中国人ゲーマーが耐えに耐えて20年それ以上鬱積したものがはじけたからこそのお祭りであり、特需中の特需といっていい。ゲームもいいが、数年に1度、やもすれば10年に1度レベルかもしれないゲーマー以外も巻き込んだ売り場のお祭りムードや中国のファンやビジネスの広がりもまた興味深く、面白いのだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」、「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)などを執筆。最新著作は「移民時代の異国飯」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)

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