一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、新4K8K衛星放送の視聴可能台数が2024年7月末までの集計値で累計2028万台となり、2000万台を突破したことを発表した。
テレビ放送の新しい面白さを体験できる世界が広がる
2018年12月1日に新4K8K衛星放送が開始されて以来、A-PABは、新4K8K衛星放送受信可能機器の普及を進めてきた。
A-PAB理事長の加増良弘氏は「関連機器メーカー、放送事業者など関係各所の皆さまのご尽力、そして視聴者の皆さまのコンテンツへの厚い支持なしには成し得なかった」と、放送開始から5年8カ月での2000万台達成を振り返り感謝の意を表した。また「2000万台突破はテレビ放送の新しい面白さを体験できる世界が順調に広がっている証し。A-PABは引き続き高画質の4K8Kコンテンツを強化するお手伝いをしながら、さらなる普及・広報活動に力を入れていきたい」と語った。
さらにA-PABでは、2028年ロサンゼルスオリンピック・パラリンピック開催の頃に4000万台の普及を目指しており、放送事業者をはじめ各方面の協力を仰ぎながらさまざまな施策を検討していく予定だ。
続いて、A-PAB常務理事の江頭孝之氏が、これまでにA-PABが行ってきた「4K番組アワード」などの広報施策を紹介。
その後、NHKコンテンツ戦略局企画管理センター専任部長・下要氏が、4K8Kの普及・促進を目指したNHKの取り組みを説明。現在、NHKでは「すぐそこの別世界!NHK BS4K・BS8K」と題したキャンペーンを展開し、見ごたえある番組の充実と、4K8K視聴方法の周知に取り組んでいる。さらに今後のおすすめ番組として「岩合光昭の世界ネコ歩き 4Kスペシャル 三八上北~青森」(9/21土曜午後7:30)と、「行くぞ!最果て!秘境×鉄道~ガボン・トランスガボン鉄道」(10/5土曜午後5:30)の2番組を紹介した。
続いて、(株)ビーエスフジ常務取締役でBS編成担当者会議主査の荒井昭博氏が登壇し、BS民放5社の取り組みについて説明。BS放送と地上波放送の差別化、価値の明確化が成される中で各局の4K化が進み、スポーツ中継、時代劇、紀行番組、討論番組などが高画質の特徴を生かして好評を博しているとのこと。そして「2028年ロサンゼルスオリンピック開催時の視聴可能台数4000万台突破にむかって、BS民放5社で力を合わせて頑張っていきたい」と抱負を述べた。
そして総務省情報流通行政局長の豊嶋基暢氏は、4K8K放送発展に取り組む関係各方面への謝辞を述べ、「視聴環境のさらなる拡大、普及のために関係各所がビジョンを共有しながら連動していくことが不可欠。総務省としても活発な意見交換を通じて発展に取り組んでいきたい」と話した。
ヨンハチさんと一緒に4K8Kのさらなる普及を目指す
その後、再度登壇した加増氏と4K8Kキャラクターの「ヨンハチさん」がトークセッションを展開。加増氏は「視聴機器を持っていても利用していない方に、まずは“4Kボタン”を押してもらい、4K8K放送の魅力を知ってもらう必要がある」と目下の課題を解消すべく、「ヨンハチさんと一緒に全国各地で開催されるイベントなどを回っていきたい」と意欲を述べた。
トークセッション後は質疑応答の時間となった。
「今後4Kコンテンツを充実させていくためのA-PABの施策とは?」という質問には、加増氏が「良質なコンテンツの充実にむけた機運を醸成するため、関係各局合同でキャンペーン、イベントを実施していきたい」と回答。
「昨年12月からNHKのBS放送がNHK BSとNHK BSP4Kの2波に再編されたが、9カ月間放送した現時点でNHKの中ではどのような評価となっているか?」という質問には、NHK下氏が「再編前よりもNHK BSとNHK BSP4Kともに視聴が増えている(ため、一定の評価が得られている)」と答えた。
「NHKとBS民放5社で今後どのような企画を考えているか」という質問には、ビーエスフジ荒井氏が「ヨンハチさんがNHKと民放5社に同時に登場するとか、垣根を超えて協力していきたい。また、年末にむかって強力なキャンペーンを張るべく検討を進めている」と述べた。