丸の内エリアの古き良き昭和レトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。今回から、スギハラさんに代わり、わたくしオカダが担当いたします。昭和レトロなスポットをどんどん巡っていきたいと思います!
ということで、15回目となる今回訪れたのは、丸の内の老舗喫茶店「喫茶フジ」さんです。JR線と新幹線の高架の間にある小道を少し入ると、「コーヒー&ランチ FUJI」の看板が見えてきました。
え、こんなところに!? この界隈で戸建ての喫茶店って珍しいですよね! 建物の前にはメニューの看板も並んでいて、ドリンクだけでなく、食事も充実しているみたい。さっそく中へ入ってみました。
店内は、入口からは想像できないくらい奥行きがあってゆったり。昔ながらの「ザ・喫茶店」といった空間が広がっています。客席スペースは新幹線の高架下にあるので、ときおり車両が走る音も聞こえてきて、それもまたノスタルジックな雰囲気です。
窓際の席に座って、さっそくメニューをチェックします。コーヒーやフロートなど喫茶店の定番ドリンクもありますが、気になったのが食事メニューの数々。生姜焼きセット、ハンバーグセット、焼きカレーセットといったがっつり系のほか、オムライスやスパゲティ、ピラフ、サンドイッチなどまでそろっていて、どれも魅力的です。
う~ん、これは悩む! 何分もメニューとにらめっこして、今回はポークソテーを注文することにしました。
お料理を待っている間に、ちょうどお店にいたオーナーの藤田桂子さんにお話をお聞きすることができました。藤田さんは週3日だけお店に出ているそうなので、これはラッキーでした!
「喫茶フジ」さんは、約66年前に現在のお店のすぐ近くで創業。1986(昭和61)年に今の場所に移って来たそうです。初代のオーナーは、藤田さんのご主人のお父さまで、最初はドリンクを出す程度の喫茶店だったとか。その後、お店を継いだご主人は藤田さんが45歳のときに亡くなり、それまで専業主婦だった藤田さんが急遽オーナーに。以来約40年間、お店を切り盛りしてきたと言います。
そこからメニューも少しずつ増やして、現在のスタイルに。東京都庁が丸の内にあったころは、都庁に出入りする入札業者の人たちなどが多く通って来て、公衆電話を何台も設置した店内はまるで彼らの事務所のように使われていたのだそうです。まだインターネットやスマホもない時代ですものね! 年季の入った店内を見ていると、にぎやかな当時の様子が思い浮かぶようです。
藤田さんのやさしい笑顔に癒されながらおしゃべりをしていたら、ポークソテーが運ばれてきました。これは…、すごいボリュームです。豚のロース肉はなんと250gほどもあるそう! 付け合わせのサラダも、付け合わせとは思えないくらいたっぷりで、これはうれしい~。
お肉にかかっているのは特製のデミグラスソースで、上には粉チーズと生クリームもかけられています。濃厚でまろやかな味わいのソースはお肉に合うのはもちろん、白いご飯にもまぁよく合うこと! 喫茶店の味わいとは思えないクオリティなので、気になって聞いてみると、厨房で調理を担っているのは洋食やイタリアンなどのお店で腕を磨いたシェフだそうです。どおりで本格的な味なわけです!
約250gのお肉を完食してすでにおなかははちきれそうでしたが、「9種類のスパゲティも、みなさんよく頼まれるのよ」と藤田さんに聞いて、思わず一番人気だというカルボナーラも注文してしまいました!
生クリームでコクを出しているソースはとってもクリーミーで、こちらも濃厚。塊のベーコンを厚く切って使っているのがシェフのこだわりだそうで、ベーコンのスモークされた香りと、まるでお肉を食べているような満足感がたまりません。
スパゲティの麺は乾麺を150gも使っているとのこと。喫茶店の食事って少し物足りないときもありますよね。でも、こちらでは男性でもおなかいっぱいになるように、どのメニューも昔からボリューム多めなんだそうです。それで、コーヒーまで付いてこのお値段! 都心とは思えないサービス精神に、うれしくなっちゃいます。
実は、さっきからもう一つ、気になるメニューが…。それは、チョコレートパフェ! 喫茶店に来たら、やっぱり食べたくなっちゃいますよね~。よくある縦長のグラスに入ったパフェをイメージして注文したら、なんと、斜め上を行く形で登場しました!
山盛りのバニラアイスを3枚のパンケーキで覆って、上に生クリームをたっぷりトッピングしてあります。凍らせたいちご、ラズベリー、ブルーベリーなどもどっさりで、仕上げにチョコレートソースがかかった、シェフのアイディアが光る一品です。
冷たいベリー類はシャリシャリのシャーベットのようで、アイスや生クリーム、チョコと合わないわけがない! パンケーキも楽しめちゃう、とってもお得なパフェでした。こちらも特大サイズなので、2人くらいでシェアするとちょうどいいかもしれませんね!
昔ながらのレトロで落ち着く雰囲気と、洋食屋さんのような本格的なお料理、そして量も値段もサービス精神満点で、たくさんの人に愛されている「喫茶フジ」さん。私も食事とコーヒーをゆっくり楽しんで、すっかり長居してしまいました。
オーナーの藤田さんにもまた会いたいなぁ。丸の内でいつまでも続いてほしい喫茶店です。
ということで、第15回の「喫茶フジ」のレポートはおしまい! 次はどんな「昭和レトロ」に出合いに行こうかな~。
喫茶フジ
住所 東京都千代田区丸の内3-7-2
営業時間 11:00~18:00(食事は~17:00ころまでに注文)
定休日 土・日曜、祝日
電話 03-3216-9581
この連載の記事
- 第17回
地方活性
「ちゃんと儲かってますか?」丸の内でこの価格はうれしい! 50年以上愛される「ザ・町中華」の肉が多すぎる肉野菜炒めが大正解! - 第16回
地方活性
なにやら不思議なネオンとのれん! 昭和感漂う「歌える居酒屋 本日開店」で取材中にみんなと大合唱! - 第14回
地方活性
東京駅高架下にあるおしゃれな昭和レトロなサンドイッチ店「KOKO」 やみつきになる「からあげドッグ」は超ボリューミーで男性でも大満足! - 第13回
地方活性
70年以上続く老舗「菊亭」の天ぷらがめちゃくちゃおいしいのにかなりリーズナブルで助かる! - 第12回
地方活性
今も昔も有楽町の甘味といえばココ! 名物“蔵王あんみつ”が気になり過ぎた - 第11回
地方活性
見よ!このおいしそうなカレーの盛り付け!長い修業を経て会得した職人技が光るインデアンカレー - 第10回
地方活性
元々のお客さんが喫茶店のママに? 素敵な縁でつながる交通会館のレトロ喫茶「阿蘇」が居心地よすぎる! - 第9回
地方活性
有楽町で50年以上!都庁の職員にも愛されたノスタルジックなザ・東京ラーメン! - 第8回
地方活性
メニュー40種!えー、これは全部食べたい! 有楽町駅前のランドマーク的な町中華の名店! - 第7回
地方活性
東京駅徒歩1分! 東京ビル TOKIAの地下で見つけた毎日通えるレトロ居酒屋「食堂チャチャチャ」
この記事の編集者は以下の記事もオススメしています
地方活性
【メゾンカカオ】スポーツの秋の生チョコはゴルフボール柄のオシャレな新パケ♪地方活性
【東京駅】並んでるのを見るだけで「うまそー!」ってなる8種類のフィナンシェ【300円~】地方活性
「今日、4000円のパフェを食べたんだけど…」という話のネタにもできそうな秋の贅沢ぶどうパフェ地方活性
【今日から】フィナンシェが人気の兜町パティスリー「ease」の3号店オープン【東京駅】地方活性
【今日から】日本全国の選りすぐりのおいしいを集めたイベント「全国物産展 JAPAN SELECT 推しうまーけっと2024」【KITTE丸の内】地方活性
氷が溶けても薄まらないロクメイコーヒーの「ダブルオリジンアイスコーヒー」、本当に薄まらないのか記者が実際に飲んできた