丸の内初心者がエモいセンサーで巡る!「昭和レトロさんぽ」 第15回

丸の内にこんなレトロなお店が!? 60年以上続くエモい戸建ての喫茶店の本格料理にやられた!

文●岡田知子(BLOOM)

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 丸の内エリアの古き良き昭和レトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。今回から、スギハラさんに代わり、わたくしオカダが担当いたします。昭和レトロなスポットをどんどん巡っていきたいと思います!

 

 ということで、15回目となる今回訪れたのは、丸の内の老舗喫茶店「喫茶フジ」さんです。JR線と新幹線の高架の間にある小道を少し入ると、「コーヒー&ランチ FUJI」の看板が見えてきました。

東京駅丸の内南口から徒歩7分ほど。一軒家の1階が「喫茶フジ」。2階は雀荘です

 え、こんなところに!? この界隈で戸建ての喫茶店って珍しいですよね! 建物の前にはメニューの看板も並んでいて、ドリンクだけでなく、食事も充実しているみたい。さっそく中へ入ってみました。

メニューの看板にワクワクが止まりません!

 店内は、入口からは想像できないくらい奥行きがあってゆったり。昔ながらの「ザ・喫茶店」といった空間が広がっています。客席スペースは新幹線の高架下にあるので、ときおり車両が走る音も聞こえてきて、それもまたノスタルジックな雰囲気です。

最近は、外国人や、若いカップルや女性1人のお客さんも多いとか

 窓際の席に座って、さっそくメニューをチェックします。コーヒーやフロートなど喫茶店の定番ドリンクもありますが、気になったのが食事メニューの数々。生姜焼きセット、ハンバーグセット、焼きカレーセットといったがっつり系のほか、オムライスやスパゲティ、ピラフ、サンドイッチなどまでそろっていて、どれも魅力的です。

日替わりのランチ4種類もあり、毎日11時から終日注文OK。お昼を食べそびれてしまったときなどにもうれしい!

 う~ん、これは悩む! 何分もメニューとにらめっこして、今回はポークソテーを注文することにしました。

 お料理を待っている間に、ちょうどお店にいたオーナーの藤田桂子さんにお話をお聞きすることができました。藤田さんは週3日だけお店に出ているそうなので、これはラッキーでした!

 「喫茶フジ」さんは、約66年前に現在のお店のすぐ近くで創業。1986(昭和61)年に今の場所に移って来たそうです。初代のオーナーは、藤田さんのご主人のお父さまで、最初はドリンクを出す程度の喫茶店だったとか。その後、お店を継いだご主人は藤田さんが45歳のときに亡くなり、それまで専業主婦だった藤田さんが急遽オーナーに。以来約40年間、お店を切り盛りしてきたと言います。

 

 そこからメニューも少しずつ増やして、現在のスタイルに。東京都庁が丸の内にあったころは、都庁に出入りする入札業者の人たちなどが多く通って来て、公衆電話を何台も設置した店内はまるで彼らの事務所のように使われていたのだそうです。まだインターネットやスマホもない時代ですものね! 年季の入った店内を見ていると、にぎやかな当時の様子が思い浮かぶようです。

 

窓の外に見えるのは大きなサザンカの木。かつて丸の内にあった旧都庁周辺の通りに植えられていた木を移植したのだそう

 藤田さんのやさしい笑顔に癒されながらおしゃべりをしていたら、ポークソテーが運ばれてきました。これは…、すごいボリュームです。豚のロース肉はなんと250gほどもあるそう! 付け合わせのサラダも、付け合わせとは思えないくらいたっぷりで、これはうれしい~。

ポークソテー1180円(スープ、ライス付き)

 お肉にかかっているのは特製のデミグラスソースで、上には粉チーズと生クリームもかけられています。濃厚でまろやかな味わいのソースはお肉に合うのはもちろん、白いご飯にもまぁよく合うこと! 喫茶店の味わいとは思えないクオリティなので、気になって聞いてみると、厨房で調理を担っているのは洋食やイタリアンなどのお店で腕を磨いたシェフだそうです。どおりで本格的な味なわけです! 

見てください、このお肉の厚さ!

 約250gのお肉を完食してすでにおなかははちきれそうでしたが、「9種類のスパゲティも、みなさんよく頼まれるのよ」と藤田さんに聞いて、思わず一番人気だというカルボナーラも注文してしまいました!

カルボナーラ1250円(サラダ、スープ、コーヒーまたは紅茶付き)

 生クリームでコクを出しているソースはとってもクリーミーで、こちらも濃厚。塊のベーコンを厚く切って使っているのがシェフのこだわりだそうで、ベーコンのスモークされた香りと、まるでお肉を食べているような満足感がたまりません。

厚切りで大きなベーコンがたっぷり

 スパゲティの麺は乾麺を150gも使っているとのこと。喫茶店の食事って少し物足りないときもありますよね。でも、こちらでは男性でもおなかいっぱいになるように、どのメニューも昔からボリューム多めなんだそうです。それで、コーヒーまで付いてこのお値段! 都心とは思えないサービス精神に、うれしくなっちゃいます。

 実は、さっきからもう一つ、気になるメニューが…。それは、チョコレートパフェ! 喫茶店に来たら、やっぱり食べたくなっちゃいますよね~。よくある縦長のグラスに入ったパフェをイメージして注文したら、なんと、斜め上を行く形で登場しました!

チョコレートパフェ950円、コーヒー(ホット)500円

 山盛りのバニラアイスを3枚のパンケーキで覆って、上に生クリームをたっぷりトッピングしてあります。凍らせたいちご、ラズベリー、ブルーベリーなどもどっさりで、仕上げにチョコレートソースがかかった、シェフのアイディアが光る一品です。

 冷たいベリー類はシャリシャリのシャーベットのようで、アイスや生クリーム、チョコと合わないわけがない! パンケーキも楽しめちゃう、とってもお得なパフェでした。こちらも特大サイズなので、2人くらいでシェアするとちょうどいいかもしれませんね!

 

 昔ながらのレトロで落ち着く雰囲気と、洋食屋さんのような本格的なお料理、そして量も値段もサービス精神満点で、たくさんの人に愛されている「喫茶フジ」さん。私も食事とコーヒーをゆっくり楽しんで、すっかり長居してしまいました。

 オーナーの藤田さんにもまた会いたいなぁ。丸の内でいつまでも続いてほしい喫茶店です。

お会計は現金のみなのでご注意を!

 ということで、第15回の「喫茶フジ」のレポートはおしまい! 次はどんな「昭和レトロ」に出合いに行こうかな~。

横浜生まれ、横浜育ち。おいしいものと旅が大好きなオカダです!

喫茶フジ
住所 東京都千代田区丸の内3-7-2
営業時間 11:00~18:00(食事は~17:00ころまでに注文)
定休日 土・日曜、祝日
電話 03-3216-9581

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