日本電信電話株式会社(NTT)は7月18日、eスポーツの対戦直前の脳波から勝敗と強く関わるパターンを世界で初めて発見し、試合結果を高精度に予測することに成功したと発表した。
研究では、eスポーツの格闘ゲームを対象に、試合中の選手の脳波を計測。その結果、試合序盤では戦略判断に関わる脳波パターンが、終盤では感情制御に関わる脳波パターンが勝敗と強く関連していることが明らかになったという。
具体的には、第1ラウンド直前に戦略判断に関わる左前頭脳領域のγ波が増大しているとき、また第3ラウンド直前に感情制御に関わる左前頭脳領域のα波が増大しているときに、試合に勝ちやすいことが分かった。
この脳波データを用いて機械学習モデルを構築したところ、試合の勝敗を約80%の精度で予測できることが示された。さらに、従来の予測技術では難しかった「実力が拮抗した試合」や「番狂わせ」といった不確定要素の多い試合結果も、同程度の高い精度で予測できる可能性が示された。
NTTは、研究成果が将来的にスポーツや医療、教育など様々な分野で活用され、人々の脳状態の最適化によるパフォーマンス向上や、熟練者の高度なスキルを生み出す脳状態のデジタル化によるスキル伝承の実現につながることを期待しているという。