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【ピラティスインストラクターの健康的ラーメンライフ♪】第31回

北海道帯広市・老舗中華店の名物ホルモンラーメンを継ぐ『麺屋こたろう』自慢の極味噌ラーメンに人気殺到!

2024年07月19日 12時00分更新

文● 大熊美智代 編集● ラーメンWalker

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 今回は、筆者の故郷・北海道帯広市のラーメン店第2弾『麺屋こたろう』! 店主の髙橋卓也さんは、地元の中華ラーメンの名店『上海』で長年修業を積んできた。名店の味を受け継ぎ、さらにオリジナリティあふれるラーメンを創りあげて、2023年8月4日に独立。オープンから瞬く間に大勢の人で賑わう『麺屋こたろう』の人気メニューと、できたてほやほやの新味、そして店主のラーメン人生のルーツなど…気になること盛りだくさんの新店だ。

中華料理の名店の味を受け継ぐ、いま一番人気の帯広ラーメン

 連日オープンとともに駐車場は満杯に、空き待ちの車が並ぶ店前。新店ながら風格ある佇まいの『麺屋こたろう』の暖簾をくぐると、厨房には中華鍋をふるいラーメンを作る店主の姿。髙橋卓也さんは、もともと名店『上海』と深いつながりがあった。「お袋が『上海』の立ち上げまもなくから30年以上働いてて、自分も小学生の頃から店に食べにいって、高校生くらいからバイトしてました」。料理に興味があったものの、結局、帯広の製薬会社に就職。しかし、ずっと懇意にしてきた『上海』のマスターに「料理の才能あるからやってみろよ」と誘われ、2011年に28歳で『上海』柏林台店の立ち上げを任されることになる。

 店長として順調に店を切り盛りする中、コロナ禍に本店のメインスタッフが辞めることになった。マスターも無理のできない年齢になり、柏林台店を閉めて本店に戻ることに。

 いずれは店を譲りたいとマスターから頼りにされていたが、13年ほど修業を重ねた40歳を目前に将来の伴侶と出会う。「ちょうど彼女が『上海』で働き始めて、仕事デキルなと思ったんです。独立して一緒に店をやろうって、結婚もそのタイミングで(笑)」と、髙橋さんが女将の由佳さんとの馴れ初めを照れくさそうに話してくれた。

『上海』時代から仲睦まじい、『麺屋こたろう』店主の髙橋卓也さんと、女将の由佳さん

 2023年8月4日、亡き愛犬の名を掲げた『麺屋こたろう』がオープンした。コロナ明けで開業する人が多く、やっと決まった場所は『上海』のすぐ近くだった。

弥生通り沿い、元精肉店をリフォームした店舗。帯広駅から車で7分(帯広空港から24分)

 築40~50年の建物を一目見た時、木のイメージが思い浮かんだという髙橋さん。壁を木目調にリフォームした店内は、居心地の良いあったかい雰囲気。家族連れも訪れやすいよう子供用のイスや食器なども用意され、いろいろな工夫が施されている。

木の温もりあふれる広々とした店内に、カウンター4席、テーブル4人掛け4卓、2人掛1卓

フレッシュな豚骨スープに西山製麺の縮れ麺が絡む「極味噌ラーメン」

 独立前からこれまでの味とは、すべて変えて自分のオリジナルでやろうと、試作を重ねてきた髙橋さん。まずは、最初にできたという自信作「極味噌ラーメン」をお願いした。

中華鍋で煽り仕上げていくスープは、野菜や肉、味噌の旨味たっぷり

 『上海』では鶏ガラベースの丼の底が透けるくらい透明な清湯スープだったが、『麺屋こたろう』では豚骨メインのやや濁ったスープ。「油多めのこってりしたものにしたかった」と、寸胴を見せてくれた。

豚骨、鶏ガラ、背ガラ、野菜等を煮込んだ甘みあるスープは、寸胴2本で一日分

 前日から10時間ほど炊いて一日寝かせ、その日のうちに使い切る取りきりスープは、フレッシュな味わい。その自慢のスープと野菜や味噌ダレなどを、炎立ち上る中華鍋で仕上げ、丼の中に麺と具材を端然と盛りつけていく。完成したラーメンがこちらだ。

「極味噌ラーメン」900円。炒め野菜・挽肉の上に、炙りチャーシュー、生姜、メンマ、ネギ

 豚骨・鶏ガラ・背ガラのほかに、ニンジン・ネギ・玉ネギなど野菜をたっぷり入れて煮込むことで甘みあるスープに仕上がる。さらにカエシには八丁味噌と、リンゴやニンジン、玉ネギを使っているので、こちらも甘みが強い。熱々の味噌スープは、濃厚な味噌ダレの奥に、修業元のルーツを感じる甘みある味わい。試作の段階で、油が浮いてこってりした仕上がりになり、生姜を入れてみたらいいんじゃないかということで、最後におろし生姜がトッピングされたそう。「生姜がのってるラーメンって、それではじめて食べたんで、知らなかったんです。味が決まってから、帯広で仲の良い『胡風』さんとか、いろんなラーメン店に行ったら、生姜がのってるラーメンがあって、もともとあるんだなって(笑)」と、髙橋さん。

西山製麺の中太縮れ麺。ほどよい噛み応えで、麺も美味しい

 スープから麺を引き出すと、濃厚味噌にぴったりな黄色い縮れ麺だ。西山製麺のオーソドックスな熟成麺かと思いきや、「作り立てなんだけど、熟成されたような茹で上がりになる麺なんですよ。もともと西山の麺が好きで、上海柏林台店のときに使ってたんですね。独立するときはこの麺を使おうとずっと思ってました」。フレッシュなスープに合わせて、麺もフレッシュにこだわった。

「小カレー」350円。帯広特有の甘いカレーの秘訣は、ラーメンスープで作ること

 ラーメンに合わせて、ぜひ食べてほしいのがカレーだ。一口いただいてみると、帯広のソウルフード『インディアン』を彷彿とさせる甘めの味わい。通常、カレーを作るには水から炊くところ、ラーメンスープで炊くという。「カレーに合うような野菜を入れて煮込むんで、砂糖とか入れなくても自然な甘みが出るんです」。カレーとスープを交互に食べ進めると、確かにラーメンに合うカレーだ。

新メニューは店名を冠した「こたろうラーメン」。長く愛される味を目指して

 6月からの新メニュー「こたろうラーメン」は、早くも人気急上昇中。一日20食限定の狭き門をくぐり抜け、いただいたのがこちら。

「こたろうラーメン 醤油」950円。オススメの醤油のほか、味噌980円、塩950円の3種類

 スープのベースは、通常の醤油・味噌・塩ラーメンと同じで、特製のタレとオイスターソースが味の決め手。中華鍋で炒めて味付けしたもやし・ニラ・ほうれん草などの野菜、チャーシュー、ニンニクチップ、フライドオニオン、最後に特製のマー油をひと回しと、ボリューム満点。この新メニュー、「帯広は、ラーメンに生姜がのる文化があまりないから、先入観で嫌だって言う人が結構いたんです」と、イチオシの極味噌ラーメンの生姜が苦手な人のために、ニンニクを使ったメニューをと、上海時代の賄いからヒントを得て創りあげた一杯だという。

「醤油ラーメン」850円。スープの濃さを調整できる割りスープ(奥)のサービスもあり

 通常の醤油ラーメンとベースは同じだが、食べ比べるとまったく違う味わいなのがわかる。

 ちなみに、初めは新メニューを出す予定はなかったが、オープンからずっと来てくれてるお客さんが、「新しいメニューできるの楽しみだ」「できたらすぐいくからね」といった声に応えての提供となった。さらに7月からは限定の「冷やし中華」が登場。こたろうファンの嬉しい悲鳴が聞こえそうだ。

7~8月限定「冷やし中華」1000円。『上海』で封印されたレシピをベースにした髙橋店主オリジナルの新作

 もちろん、師から受け継いだ「ホルモンラーメン」も忘れてはならない。

「ホルモンラーメン」1000円。極味噌と同じスープにホルモンの旨味がとけて極上の一杯

 「スープは自分のオリジナルですが、上にのってるホルモンなどの具材の味付けは、もともとマスターが考えたものをそのまま持ってきてます。マスターが、ホルモンだけはやったほうがいいよねって」と、高橋さんが師匠のことを語るやさしい顔に、こちらもほっこり和む。

味付けしたホルモンがたっぷり! ライス必須の濃厚な一杯

 受け継いだものはそれだけではない。車の番号と人数を記帳して車待ちで女将が呼びにいくのは、上海スタイル。雨の日や雪の日に並んで待ってもらうのは大変だからと、お客さんの負担にならないようやさしい心遣い。行き届いた接客は、ラーメンをもっと美味しくする最高のスパイスだ。

 「来てもらったお客さんが、美味しかったって言って帰ってくれればいい。そういう人が2回、3回と来てくれるようなお店を、末永く続けていきたい」。40年間、ずっと帯広で地道にがんばってきた髙橋さん。ラーメンの見た目などから札幌系と言われがちだが、帯広の老舗の味を受け継いできた、まごうことなき“帯広上海系”だ。

厨房から渾身のラーメンを届ける髙橋店主。名店『上海』で13年修業を積んだ確かな腕前

麺屋こたろう
北海道帯広市西3条南28丁目20
11:00~14:30、17:00~19:30(スープなくなり次第終了)
月曜・火曜休
※修業元「上海」閉業のため、「麺屋こたろう」は9月から休業し、「上海」跡地へ10
月頭から中旬頃に移転予定

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式SNSをご確認ください。

大熊美智代 Michiyo Okuma

ラーメン大好きなフリーランス編集者・ライター。ピラティスやヨガのインストラクター、ヤムナ認定プラクティショナー、パーソナルトレーナーとして指導も行なっており、美容と健康を心がけながらラーメンを食べ歩く日々。ラーメンの他には、かき氷、太巻き祭りずし、猫が好き。

本人Twitter @kuma_48_kuma
Instagram @kuma_48anna

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