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今なら『ゴルゴ13』Kindle版が100円で買えるので100巻まで読んでみた

2024年07月10日 20時00分更新

文● ムラリン/編集 ASCII

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「ゴルゴ13」Kindle版

『ゴルゴ13』Kindle版の第1~100巻が1冊100円の大特価セール!

 いよいよ年に一度のお買い物の祭典、Amazonプライムデーが7月16日(火)・17日(水)に開催になりますが、その一大セールを前に、漫画『ゴルゴ13』Kindle版が1~100巻まで、1冊100円というセールが実施されています。100冊揃えても1万円です!

 私がアマゾンの売り出しセールで最も楽しみにしているもののひとつが、Kindle本の割引セールなのですが、本セールはプライムデーとは直接関係なく、最新213巻の発売を記念してのものとのこと。とはいえ、このセール自体も7月18日(木)までなので、実質プライムデーに合わせたセールと考えて良さそうです。

 ここで万が一『ゴルゴ13』をご存知ない方のために、どんな作品なのかを簡単にご紹介。

ゴルゴ13 とは

  さいとう・たかを/さいとう・プロダクションによるハードボイルド漫画。世界を股にかけて活躍する伝説的スナイパー・ゴルゴ13の活躍を描く。読み切り型の中編作品のオムニバスで構成され、各エピソードでは、国際的な陰謀や政治的な駆け引き、先端技術、歴史的な出来事などをテーマにしたストーリーが展開される。ゴルゴ13は、その名と容姿、暗殺術の評判以外の一切が謎に包まれた存在で、常に冷静沈着、引き受けた依頼はどんな困難な任務でも完璧にこなす能力を持つ。各巻では、現代社会の問題や技術の進歩、政治的な緊張関係などが描かれており、リアルタイムの世界情勢を反映していることが多い。


 で、せっかくなので買って読んでみましたよ、100冊。本来であればこの記事をご覧の皆さんにも「100冊買っちゃいなよ!」と、言いたいところなのですが、流石に全部は……という方のために、今回は第1巻から第100巻までの間で、おすすめのエピソード7話を厳選してご紹介。これだけなら7冊・700円、普通の単行本1冊分で買えちゃいます。その上で、ほかのエピソードも気になるようならぜひこの機会に。

おすすめエピソード収録巻の紹介

2万5千年の荒野 (第64巻収録)

 ロス五輪を前に、多大な電力供給を行うための原子炉の運転を、安全性を棚上げしてまで早めるという愚行の末、チャイナ・シンドロームの危機に! 原子炉が爆発すればロス市街一帯が2万5千年に渡って死の荒野と化す……というサブタイトルの意味づけが秀逸。これだけ聞くとどこに伝説のスナイパーの出番が? と思ってしまいますが、単なる殺し以外の依頼もこなすエピソードが割とあるのもゴルゴ13の面白い所(まあ、このエピソードではきっちり殺しもしますが)。1984年の作品ですが、チェルノブイリ原発事故(1986年)や福島第一原発事故(2011年)より前に、原発のあり方を問うた先見性がすごい。ベストエピソードに推す人が多い作品。

すべて人民のもの (第81巻収録)

 ゴルゴ13シリーズの人気ジャンルである、ゴルゴ13のルーツに迫るエピソード。本作はロシア最後の皇帝・ニコライ2世と側近であった怪僧ラスプーチンの末裔を巡るストーリー。ロマノフ王朝が残した莫大な財宝の継承者を追っていくうちに、ロシア革命で祖国を追われることになった王朝の末裔たちに起こった出来事が明かされていきます。かなり壮大なエピソードで、落ちも含めまるで映画みたいはお話。

芹沢家殺人事件 (第27巻収録)

 こちらもゴルゴ13のルーツもの。戦後間もない東京で起こった一家5人惨殺事件「芹沢家殺人事件」を捜査する2人の刑事の目線で、この事件の全容を追うミステリー作品になっています。実はこの話にはゴルゴ13自身が登場しない(登場はしないが狙撃はする)のですが、それがどうゴルゴ13の正体につながっていくのか、単なる事件ミステリーとしてだけでなく、二重のレトリックが楽しめる作品。

日本人・東研作 (第14巻収録)

 なんかゴルゴ13の正体追求シリーズの紹介になってしまって恐縮ですが、こちらもそんな一編。というか、こちらがゴルゴ13の正体に迫ろうというトピックを初めて扱った作品。ラスベガスで事故死した日本人女性の遺留品から発見された写真に写った若者の正体を世界的ジャーナリスト、マンディ・ワシントンが追うというストーリー。彼の見立てでは、これが若かりしころのゴルゴ13ではないかと踏み、訪日するのですが……。旧財閥家につながる血筋、特殊工作員養成機関であるI機関など、追いかける人物が単なる市井の人間ではないことが次々と発覚し、ますます確信を深めていきます。果たしてその結末は!?

海へ向かうエバ (第21巻収録)

 ゴルゴ13は、実際の歴史上の出来事などが描かれることも多く、現実と地続きなのでつい忘れがちになりますが、この作品世界には凄腕の殺し屋が多数存在します。このエピソードでもゴルゴ13のほかに、凄腕の女殺し屋・エバが登場し、その標的としてゴルゴ13を殺してくれと頼まれ……というストーリー。小編ですが、その結末もハードボイルドであるゴルゴ13シリーズに似つかわしい1950年代くらいのフィルム・ノワール的で、ファンからの支持も厚い作品です。

デバッグ (第63巻収録)

 天才的なハッキング能力を持った少年が米国防省のサーバーに侵入し、偶然、ゴルゴ13のデータを閲覧してしまい、その正体を追い始めるというストーリー。アスキーらしいというセレクトも入れてみました。近年のハッカー集団の目的は金目当てということが多いですが、ハッキングがまだマニアの腕試し的な描かれ方をしているという意味ではかなり隔絶の感がありますね。子供が主人公のこの手の話であれば、ちょっとハートウォーミングな結末に向かうのでは……との期待も見事に裏切ってくれるところがゴルゴ13がゴルゴ13なところでしょうか。

傑作・アサルトライフル (第100巻収録)

 ゴルゴ13のルーツや正体ではなく、その道具へのこだわりが描かれるという一編。銃開発の鬼才と言われた博士が、開発した新型アサルトライフルを傭兵兄弟に与え、偽のミッションでゴルゴ13をおびき出し、対決させるというストーリー。散々高性能を見せつけた新型ライフルにゴルゴ13がどう対抗していくのか。それと同時に、ゴルゴ13の使用するアサルトライフル、アーマライトM16が、M16A2へと進化を遂げるエピソードも平行して描かれています。

 そんなわけで作品名は知っているけどちゃんと読んだことはないという人も多そうな『ゴルゴ13』、過去の作品になると当時の世界情勢がわかっていないとやや読むのが辛いかも?といったエピソードもありますが、ちょっとした近代史のお勉強にもなりますので、まだ未読の方はぜひこの機会に読んでみてください。

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