2024年7月3日、新しい一万円札、五千円札、千円札の発行が始まった。新紙幣は日本銀行から各銀行へと順次支払われ、窓口やATMで入手できるようになる。
財務省は「現行の日本銀行券は、新しい日本銀行券が発行されたあとも、引き続き通用する」と強調。「現行の紙幣が使えなくなる」などとかたる、新札発行に便乗した詐欺行為への注意を呼びかけている。
偽造対策とユニバーサルデザインが特徴
約20年ぶりの紙幣刷新となる今回の新札は、最新の偽造防止技術とユニバーサルデザインを取り入れている。
新紙幣の肖像は、一万円札が渋沢栄一、五千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎に変更された。裏面には、それぞれ東京駅丸の内駅舎、藤の花、富嶽三十六景・神奈川沖浪裏がデザインされている。
偽造対策として、世界初となる3Dホログラムや高精細すき入れを採用。ユニバーサルデザインの面では、識別マークの改良や額面数字の拡大などがされている。
鉄道券売機やATMは9割以上が対応も、自販機は約7割が未対応
新紙幣の対応状況は、設備の種類によって分かれている。
日本自動販売システム機械工業会によれば、新紙幣の対応状況は6月中旬時点で、金融機関ATMが9割以上、鉄道券売機やスーパーの釣り銭機が8〜9割と高い。一方で、食券機などの券売機や駐車場などの精算機(自動サービス機)は5割程度、飲料の自動販売機は2〜3割程度にとどまっている。
新紙幣対応か、キャッシュレス対応か
日本ではキャッシュレス化も進んでいる。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会によると、2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%に到達。政府は2025年までに40%到達を目指しており、その後も継続的な推進が必要とされている。
インバウンド需要などを考えると、券売機など設備更新の際には、新紙幣よりもキャッシュレス対応を優先するケースが出ることも考えられる。
日常生活で新札を目にする機会が増える一方、キャッシュレス化も進展する中、現金と電子決済の共存が今後の課題となりそうだ。