昨年の11月、Roonがハーマンに買収されたという記事を書いたが、その影響が現れてきたようだ。この記事でハーマンの主要な製品分野にカーオーディオがあり、最新のRoonの成果である「Roon ARC」がカーオーディオのキーになるのではないかということを述べた。RoonARCはインターネットを通じて車の中からでも家にあるRoonの音楽ライブラリーを再生できるという仕組みであり、これはカーオーディオにとっては一つの革新となりうるからだ。
そしてその指摘はどうやら的を射ていたらしい。
車載機器の音声操作でもRoonが活躍
Roonは最近、ARCソフトウェアをアップデートした。このアップデートで「ARC Voice Control for Android Auto and CarPlay」の機能が使用できるようになった。日本語に直すとAndroid AutoとCarPlayのためのARC音声コントロール機能となる。その名の通り、車載のARCソフトウェアをCarPlayのSiriやAndroid AutoのGoogle アシスタントを用い、音声制御できるという機能だ。運転中でも、好きな音楽をハンズフリーで、指示を出して楽しめる。ちなみにこの更新で、ARCの画面やインターネット使用におけるいくつかの改良も施されているようだ。
この音声コマンドを使用する際には、具体性が高ければ高いほどいい結果が得られるとRoonは述べている。具体的には、曲名、アルバム名、アーティスト名、ジャンルなどを含めて指示するということになる。これは「Play the album, "Blonde on Blonde" by Bob Dylan」(ボブ・ディランのアルバム『ブロンド・オン・ブロンド』を再生して)といった指示だ。
他にもいくつかの実例がRoonフォーラムに示されている。
“Play me some indie rock” (インディー・ロックを聴かせてくれ)
“Play Bill Evans” (ビル・エヴァンスを再生して)
“Play Don’t Speak by No Doubt” (ノー・ダウトのドント・スピークを再生して)
“Play my Summer playlist” (私の夏のプレイリストをかけて)
“Play The Wall by Pink Floyd” (ピンク・フロイドのザ・ウォールをかけてくれ)
この機能は、Roon ARCユーザーの65%が車載でARCを使用していて、そのユーザーの「ボイスアシスタントを使用したい」という声に応えたためだとRoonは述べている。もちろんこれは、車社会アメリカでの回答者が主だということにも関係するだろうが、先に述べたハーマンのカーオーディオ戦略にも適合している。こうしたユーザーにとって歓迎できる改良がなされることは、買収の成果がうまく働いていると言えるだろう。
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