レンズキット付属のレンズは性能がイマイチ
そんなイメージは今すぐ改めるべし!
キヤノン「EOS R7」は、ASCII.jpでも何度も紹介されているAPS-Cミラーレスカメラです。しかし、多くの記事ではAPS-Cミラーレスの焦点距離が1.6倍換算になる利点に注目が集まっています。組み合わせられるレンズも望遠レンズがほとんど。筆者が過去に掲載した記事でもマウントアダプター「EF-EOS R」を介して「EF 100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」を装着したものでした(キヤノン「EOS R7」を実機も見ずに買ったら、予想以上のスゴさに驚いた!)。
今回紹介したいのは、キヤノンの資産(レンズなど)が何もない人がEOS R7を買う場合の「レンズキット」です。
EOS R7のレンズキットは、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMという高倍率ズームとの組み合わせです。実はこのレンズがとんでもなく神レンズなのではないか? というのが本稿のテーマなのです。発売から2年経った今でも、改めて紹介するに足るレンズです。
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMってどんなレンズ?
EOS R7のレンズキットに組み合わされる「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」がどういったレンズかというと、焦点距離が35mmフルサイズ換算で28.8mmから240mmという8.3倍の倍率を持ったズームレンズです。デジタル一眼レフ時代にあった、2012年発売の「EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM」の後継レンズであり、2008年発売の「EF-S18-200mm F3.5-5.6 IS」の需要も取り込むものです。
基本的な設計は、初代レンズ交換式ミラーレスシステムであるEOS Mシステムの「EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM」から受け継がれるものですが、レンズ内光学式手ブレ補正機構(OIS)が4.5段になって0.5段分が改善され、最短撮影距離が25cmから17cm(AF、18~35mm時)となり、マクロ撮影にも使えるハーフマクロレンズとなっているのが進化点です。
STMとはステッピングモーターのことで、フォーカスを合わせるためにレンズを駆動させるモーターなのですが、これが静音化、高速化されている点も見過ごせません。特にEOS R7ではトラッキングという、フォーカスした対象を追い続ける機能が充実していますが、このSTMはそのトラッキングにフル対応できるフォーカススピードを持っています。
つまり、広角から中望遠程度の焦点距離範囲で、ガッチリと素早くピントが合うレンズなのです。ちなみに筆者はEF-S18-200mm F3.5-5.6 ISの代替としてこのRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMを購入したのですが、図らずもレンズキットと同じ構成となってしまったというわけなのです。
筑波サーキットならこれ一本ですべてが撮れる!?
RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMがどれくらい神レンズなのか? ここからは作例を見ながら具体的に説明しましょう。
作例の撮影をしたのは、2月17日に筑波サーキットで開催された「Attack筑波」というタイムトライアルイベントで、筑波サーキットの最速ラップを競うものです。多種多様なクルマが参加する日本最大級のタイムトライアルイベントと言えます。
ヘアピンを立ち上がるコルベットはEOS R7+RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMのレンズキットで撮影したもので、撮って出しのJPEG画像となっています。筑波サーキットの場合は、メディアの撮影ポイントとコースの距離が近いこともあって、焦点距離だけで考えるならEOS R7と2012年発売のEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMの組み合わせでも十分でしたが、高速で走り去るレーシングマシンにレンズのフォーカス追従が追いついていませんでした。
ところが、EOS R7+RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMのレンズキットであればEOS R7のフォーカストラッキングで、秒間15コマの連写スピードでもフォーカスがピッタリと追従してくれます。ローリング歪みを気にしないなら電子シャッターの30コマ連写でもフォーカス追従してくれますが、歪みを出したくないので30コマ連写の作例は載せていません。
また、18mm(35mmフルサイズ換算で28.8mm)のワイドな画角が使えるため、パドックなどでの撮影にも困りません。
筑波サーキットなら、本当にこのレンズキットだけですべてを撮り切れるという実力を持っています。