目的があれば、実に創造的に新しい技術を使いこなす子供たち
でもスマホを使わない空間や時間を持つことに意味があるのでは?
少し昔の話になるが、2010年代前半に英グリニッジにある中学校を訪問したことがある。ちょうど英国はプログラミング教育必須化が始まる段階で、その学校では電子ホワイトボードを導入し、学生にはタブレットを貸与するなどフル活用していた。
授業中、個人のスマホは許可されており、先生は、Twitter(当時)を使うことでシャイな子が発言するようになったと語っていた。新しい技術を受け入れるその潔さに驚いたものだ。
日本でも、通学時にスマホアプリで勉強する学生もいる。回答する前の問題集を写真に撮り、そこに解答を書くことで繰り返し勉強できるという話を聞いたこともある。なにかをやりたいと思った子供たちは、実に創造的にスマホやタブレットを使う。
一方で、年齢が低いとデメリットを指摘する声が聞かれる。知り合いの幼稚園の先生は、20年超のキャリアで子供の注意スパンが確実に短くなったと話す。スマホやタブレットが明らかに影響しているとみる。幼稚園児が持っているというより、親のスマホをよく使っているとこの先生は話してくれた。
すでに中学校でスマホを禁止しているオランダでは、授業中の集中、子供たち同士の会話の増加などの良い変化が見られるという。学校に持ってこないか、持ってきたら所定の場所に預けるということになっており、休憩時には使用が認められているそうだ。適度に使えばメリットも多いスマホだが、禁止の動きは負の面があまりに大きくなりすぎたということだろうか。
一方で、そうした生徒たちも自宅に帰れば、普通にスマホを使うことができる。懸念のすべてが払拭されるわけではないだろう。だとしても、スマホフリーの空間と時間を1日の中で作ることは意味があるのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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