5月9日から12日まで、恒例の「HIGH END Munich 2024」が開催された。たくさんの新製品の中から国内でも販売が期待できる低価格オーディオ製品を3つ紹介する。
Astell&KernのエントリーラインとしてACTIVOが再始動?
初めに「ACTIVO P1」だ。5年ほど前にハイレゾ配信サイトのgroovers Japanが「ACTIVO CT10」という廉価版のDAPを発売したことがある。ACTIVO CT10はコンパクトなデジタルオーディオプレーヤー(DAP)で、Astell & Kernの「AK70」をさらに廉価にした製品としいう受け止めもあった。Astell & Kernの開発支援も受けており、同時期にAstell & Kernは自社技術を表すブランドとして「TERATON」という言葉を使用し始めた。
ミュンヘンで発表された製品は、ACTIVOをAstell & Kernがサブブランドとして再始動したもの。4.1インチの液晶ディスプレーを備え、DACチップとしてESS TechnologyのES9219Qをデュアル搭載しているようなので、音質も高いだろう。もちろん4.4mmのバランス駆動用端子を搭載している。内蔵メモリーは64GBで、microSDカードスロットによる拡張ができる。ストリーミング再生機能を持ち、最大384kHz/32bitのPCMとDSD 256の再生が可能。バッテリー駆動時間は20時間とのこと。ボディ材質はアルミとポリカーボネイトの混合素材となっている。
写真を見る限りACTIVO CT10をさらにグレードアップしたデザインだ。価格や発売日は未定だが、「A&norma SR35」のさらに下位を埋めるラインナップとして期待できる。
Meze Audioのエントリー機種となるALBA
Meze Audioは「ADVAR」の下位モデルとなる「ALBA」を発表した。ルーマニア語で最初の光を意味するようで、文字通りのエントリー機種だ。価格は150ユーロ程度と案内されたようだ。10.8mmのダイナミックドライバーを採用し、周波数特性は15Hz~25kHz、インピーダンスは32Ω、感度は109dB。
デザイン面ではADVARに似た点もあるが、大きな変化はケーブル端子がMMCXではなく2pinに変更となったことだ。外観のカラーも異なっている。亜鉛合金や陽極酸化アルミニウムなどの新しい材料を使用しているという。
DACを内蔵した独自のUSB-Cアダプターが同梱されるようなのも面白い。Meze Audioはもともとコストパフォーマンスの高い製品で知られているメーカーなのでALBAの音も期待できるだろう。
FiiOのアナログレコードプレーヤー
FiiOは今の時代ではユニークなアナログカセットテーププレーヤー「CP13」を発表したばかりだが、アナログのレコードプレーヤー「TT13」も発表した。CP13は限りなくシンプルにカセットテープの操作を楽しむ製品だが、TT13はオート機能が搭載されており、ボタン操作で再生・停止、繰り返しなどができる。製品版では回転速度の調整も可能となるようだ。
CP13はBluetooth機能を潔く省いていたが、TT13ではaptX HDをサポートするという。おそらくはBluetooth搭載のアクティブスピーカー「SP3 BT」とシステムを組むためだと考えられる。価格はおよそ300ユーロとのこと。「いまどきの」アナログオーディオ製品としてはCP13ともまた異なった狙いが感じられる意欲的な新製品である。

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