グーグルは3月18日、視覚障がいをもったランナーの支援プロジェクト「Project Guideline」の最新情報を公開。AR技術の導入や日本語への対応、日本国内で定期走行会を開催することなどを明らかにした。
AR技術の活用で進路上のカーブも検知可能に
Project Guidelineは、視覚障がいをもったランナーがAIを活用し、伴走者の補助なしで自由に走れるようになることを目指す、同社の研究開発プロジェクト。
基本的な仕組みは、ランナーの腰に装着されたAndroidスマートフォンが、画像認識AIを活用して地面に引かれた色付きの線とランナーとの位置関係を瞬時に判断、ヘッドホンから音声シグナルを出すことで、ランナーが線から逸れないように誘導するというものだ。
今回のアップデートでは新たに、進路上にあるカーブを事前に認識し、高い精度でランナーへ通知する機能を追加。同機能はグーグルの拡張現実プラットフォーム「ARCore」の技術を活用し、Project Guidelineの空間認識能力を向上させることで実現したという。
アプリ内の表示言語も従来の英語にくわえ、新たに日本語に対応。こちらは今後、日本で幅広く活用されることを見越したものとなっている。
横浜市内で定期走行会も実施
同社はより多くの視覚障がいランナーにProject Guidelineを体験してもらうため、神奈川県横浜市で定期走行会も開催する。
会場は「障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール」(横浜市港北区)。4月13日から7月13日まで、毎月第2土曜日の15時より、同施設の地下陸上トラックに特設した専用レーンで実施予定だ。
料金は無料で定員は各回4人。申し込み方法などの詳細は、横浜ラポールのウェブサイト(関連サイト掲載)にて確認できる。
2019年開始のプロジェクト、成果はオープンソースで公開
Project Guidelineは2019年、「視覚障がいのあるランナーが1人で走るために、グーグルのテクノロジーを使ってできることはないだろうか?」という、盲目のランナーThomas Panek氏の問いをきっかけに米国で始まったプロジェクト。
日本では2021年にスタートし、全盲のランナー御園政光氏がProject Guidelineの補助だけで10kmを走破することに成功している。
同プロジェクトの成果はオープンソースで公開されており、基幹技術のソースコードや学習済みの画像認識モデルなどを、誰でも無料で利用可能だ。