東北大学、熊本大学、東京大学、東京医科歯科大学の共同研究チームは、ヒト子宮内膜細胞を用いて作製した子宮内膜オルガノイド・モデルとヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いて、胚着床の各段階を培養皿上で再現することに成功した。着床の瞬間を視覚化する新たなモデルとして、着床機序の解明や不妊治療法の開発のための有用なプラットフォームとなり、着床不全、周産期疾患、子宮内膜症や子宮体癌の病態解明や予防・治療法の開発への応用が期待される。
東北大学、熊本大学、東京大学、東京医科歯科大学の共同研究チームは、ヒト子宮内膜細胞を用いて作製した子宮内膜オルガノイド・モデルとヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いて、胚着床の各段階を培養皿上で再現することに成功した。着床の瞬間を視覚化する新たなモデルとして、着床機序の解明や不妊治療法の開発のための有用なプラットフォームとなり、着床不全、周産期疾患、子宮内膜症や子宮体癌の病態解明や予防・治療法の開発への応用が期待される。 研究チームは今回、子宮内膜上皮と間質細胞、血管内皮細胞を混合培養することにより、子宮内膜上皮の頂端面が外側に露出し、間質細胞と血管網を内包する子宮内膜オルガノイドモデルを作製。ES細胞より誘導した胚盤胞様構造を同モデルに加えることで、胚着床を再現する「胎児-母体アセンブロイド(胚盤胞様構造物と子宮内膜オルガノイドの集合体モデル)」を作製した。 同チームは、この胎児-母体アセンブロイドが、対位・接着・浸潤とよばれる過程を含む着床の各段階を再現し、胚から派生した胎盤細胞の一種である合胞体栄養膜細胞によって子宮内膜上皮細胞が破られることを確認。合胞体栄養膜細胞は、子宮内膜間質細胞に向かい浸潤し、最終的は子宮内膜間質細胞と融合することを明らかにした。 研究論文は、サイエンス・アドバンシス(Science Advances)に2024年2月23日付けで掲載された。(中條)