――渋いナレーションもかっこいいですし、CMの坂本龍馬の台詞はとても自然な仕上がりになっています。作中の台詞はどのように吹き込んだのですか?
鶴口「これは、声優さんにセリフを吹き込んでもらって、その音声を、生成した坂本龍馬の声に変換するという手法を使っています。AI音声に変換すると、抑揚がやや落ち着く傾向にあるので、強く抑揚をつけて読んでもらったり、土佐弁のニュアンスにこだわってもらったりなど、ここにも工夫があります」
――完成したCMを制作者の立場から見た感想も知りたいです。
鶴口「率直に、うまくできたし、カッコよく仕上がったなと感じました。楽しい仕事でしたね」
長谷川「骨格からの再現ということに加えて、ワード数が多いことが、今回の挑戦のひとつだったと思います。弊社は以前、松田優作さんの声を復元するプロジェクトに参加していますが、当時から2年経って、長いセリフを映像に組み合わせて使っても、違和感がないくらいに技術が進歩していることを感じられました」
――確かに、近頃は生成AI関連のニュースが目立ちますよね。音声のAIは、今後どのように発展していきそうでしょう。
長谷川「まずは、コンテンツを生産するスピードが高まっていくフェーズが訪れると予想しています。音声に限らず、AIを活用したサービスを提供する企業が増えてきていますが、UIやUXをよく作り込んでいる会社が多いと感じています。より直感的に、より狙ったものを生み出しやすいシステムやサービスが増え、結果的に、コンテンツが生み出される速度が上がっていくのが、まず予想できるところかなと」