海外からも多くのアニメファンが訪れ、インバウンドによっても賑わいを見せているアニメツーリズム。その国内外のファンの投票によって選ばれる「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の2024年版が決定し、オンラインにて発表会が開催された。
新たに認定されたアニメ聖地には
岩槻や月島、下北沢などが追加
今回の発表会もニッポン放送の吉田尚記さんがMCを務めたほか、アニメ聖地88大使も務めた私立恵比寿中学 真山りかさんも参加した。
発表会冒頭では後援している観光庁長官の髙橋一郎氏から「日本のアニメは見る人の心に響き、世界中の人々の心を動かしている。そしてアニメツーリズムが盛んに行われ、その地域の新たな魅力を発見した方もたくさんいらっしゃる。地域を幾度となく訪問されることで新しい交流が生まれ、にぎわいがもたらされているのがすばらしい」とメッセージが寄せられた。
2024年版のアニメ聖地88は、2023年6月1日から10月31日まで実施された世界中からのウェブ投票と、アニメ聖地やアニメ関連スポットに設置した投票箱への投票をもとに選定されている。新たに認定されたアニメ聖地は下記の通りだ。
・「その着せ替え人形は恋をする」(埼玉県さいたま市(岩槻)、東京都豊島区)
・「私に天使が舞い降りた! プレシャス・フレンズ」(埼玉県長瀞町)
・「江戸前エルフ」(東京都中央区)
・「ぼっち・ざ・ろっく!」(東京都世田谷区)
・「GAMERA -Rebirth-」(東京都福生市、長崎県対馬市)
・「Do It Youself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-」(新潟県三条市)
・「ブルバスター」(福岡県北九州市)
また、「アイドルマスター ミリオンライブ!」(東京都江東区(豊洲))が返り咲きしている。
施設・イベントとして、東京都豊島区の「アニメ東京ステーション」が追加され、87作品26施設2イベント、107自治体が「訪れてみたい日本のアニメ聖地88 2024年版」に選定された。
今回能登半島地震の対象地域の1作品・1施設が、現時点では訪れることを勧められないとの理由で保留となっている。地域の受け入れ体制が整った際にはアニメツーリズムがその復興支援の一助となることを願っている。
アニメツーリズムを利用して、全国各地を見ておいてほしい
若い人たちに開拓精神を育ててもらいたい(富野由悠季氏)
最後にアニメ聖地88 2024年版の総括して、アニメツーリズム協会会長の富野由悠季氏から投票者、アニメファンに向けてメッセージが送られた。
今回うれしかったのは、ファンのみなさんに地域的な幅を広げてくださったという印象があったこと。みなさんの向上心、好奇心が広がったことをうれしく思います。去年、一昨年くらいまで幅が狭いと思っていたので、それがほぐれきたと感じます。
コロナ禍が一段落し、海外のお客さんが戻ってきてくれて、国内的な恩恵みたいなものもいただいてるのでありがたい。しかし、オーバーツーリズムの懸念もありますし、能登半島の地震による深刻な被害も考えると、観光にうつつをぬかすのはどうなのかというふうにも思いますが、日本列島は地震・台風による災害がいつどこで起こっても不思議でない土地柄です。
そうした有事に備えるために、若い方々にはアニメツーリズムを利用して、全国各地を見ておいてほしい。そういう体験をしておくと、いざというときの救援に行くとか、脱出するときに役に立つからです。
また、オーバーツーリズムの問題は、ひとつの観光地に観光客がどんとくると、その土地の人々は日常の暮らしに本当に困ることがあります。それを避けるためにも有名な観光地の近く、アニメツーリズムで紹介した地域の先々に、別のポイントを探す作業というものもやっていただきたい。林野庁には森林資源を利用した体験プログラムの紹介ページがあったりします。そういうイベントに参加して視野を広げ、開拓精神を育ててもらったらうれしいです。
列島の地形を持つ意味を考えたり、忘れられている廃墟の意味を探っていけるのは、若いアニメのファンのみなさんの特権でもあるので、意識して活動の幅を広げていってください。もちろん、危険はおかしてはいけない。地域の規制もあります。そういうものを踏みにじるような理不尽な行動をせず、新しい発見にチャレンジしていただけるととてもうれしく思います。みなさんの行動力に期待します。
なお「訪れてみたい日本のアニメ聖地88 2024年版」の全作品一覧はアニメツーリズム協会公式サイト内で見ることができる(https://animetourism88.com/ja/news/882024)。