印南敦史の「ベストセラーを読む」 第23回
『「親がしんどい」を解きほぐす』(寝子 著、KADOKAWA)を読む
母が亡くなったとき「やっと解放されたんだな……」という思いが頭をよぎった
2024年02月01日 07時00分更新
昨年の5月に母が亡くなったとき、「やっと解放されたんだな……」というような思いが頭をよぎった。悲しいわけでも、ましてやうれしいわけでもなかった。言ってみれば憑き物がとれたような感覚で、それはいまでも続いている。
不謹慎だといわれるかもしれないし、そもそも私はもはや「いい歳をして」とツッコミを入れられてもおかしくない年齢に達している。しかしそれでも、いまだにモヤモヤしたものを抱えていることを否定しきれないのである。だから困っているのだ。
詳しく書くと長くなるので簡略化するが、端的にいえば、物心ついたときからすでに、母親の価値観のなかだけで生きていくことを強要されているような状態だったのだ。ほめられたことはなく、なにがあっても「親に従え」とこちらの意見や考え方を否定されてきた。だから、「やっと」という思いを拭いきれなかったのである。
そして、そんな事情があったからこそ、『「親がしんどい」を解きほぐす』(寝子 著、KADOKAWA)の内容にも強く共感できたのだった。
Image from Amazon.co.jp |
「親がしんどい」を解きほぐす |
この連載の記事
-
最終回
トピックス
AI時代こそ“教養”が必要なワケ -
第30回
トピックス
「医者は儲かる」は本当か -
第29回
トピックス
『思考の整理学』売れ続ける理由 -
第28回
トピックス
樹木希林さんが亡くなった後、内田也哉子さんが考えたこと -
第27回
トピックス
親から受けた“毒”を子どもに与えないために -
第26回
トピックス
歳をとるほど“ゆるく生きる”ことが重要になるワケ -
第25回
トピックス
「カイジだったらこんなときどうする?」絶望的な状況を乗り越える“漫画思考”の仕事術 -
第24回
トピックス
辞書から消えたことばたち「MD」「コギャル」など -
第22回
トピックス
「少しでも自由になるお金を」年金もらって“ホームレス”に -
第21回
トピックス
「最近の若者」いない説。年齢による違いは消えていっている - この連載の一覧へ