小道具制作ヘッド ピエール・ボハナ氏インタビュー&最新作「ファンタビ」地上波初放送
「ダンブルドアの校長室」に込めたこだわり&裏話を制作者に聞いてみた
2024年01月31日 19時00分更新
魔法の杖から個性が見える
制作者が語るデザインの裏話
登場人物がそれぞれに扱う魔法の杖は、どれも個性的で使用者によって形が異なる。そんな杖についてもピエール氏に質問してみた。
――主人公の3人、ハリー・ポッター(役者:ダニエル・ラドクリフ)、ロン・ウィーズリー(役者:ルパート・グリント)、ハーマイオニー・グレンジャー(役者:エマ・ワトソン)の杖は、どんな意図で制作しましたか?
ハリーの杖は、実は「アズカバンの囚人」(第3作)の時に一度作り直しています。第1作と第2作の時は、原作者のJ.K.ローリング氏の意見を聞いて「すごくシンプルなもの」を作成しましたが、第3作の監督が「見た目がダイナミックなもの」を求められて、何か個性を持っているような杖を作ろうと作り直しました。すごくハリーらしい自然な木の枝をベースにしています。杖の根本は素材の木の皮を残しつつ、先端にいくほど洗練されていく。そこに彼の「成長」を見ることもできるし、ハリー・ポッターの物語そのものを見ることもできる、そのようなデザインとなっています。
ハーマイオニーの杖は、とても芸術的なデザインです。蔦が少しずつ上に登っていくようなデザインになっていて、彼女の思慮深いところ、相手を思いやれるところ、持っている知性のようなものと、人生いろいろ経験していく中で成長していく過程を表現しています。
ロンの杖は、セカンドハンドです(笑) 元々は家族が使っていた杖という設定がありますが、家族から受け継いだものを大事にしているというのは素敵な部分だと思っています。
――ベラトリックス・レストレンジ(役者:ヘレナ・ボナム=カーター)の杖は特に変わっていると思いますが、なぜ彼女の杖だけ曲がっているんですか?
あれはとても面白い杖です。いろいろ杖を作っていく中でデザインチームはいくつもの案を出していました。「ヒーロー杖」といわれるメインの登場人物たちが使う杖には注目が集まりますが、使われなかったデザインの杖もいくつかあります。普通はデザインチームが一から作っていくんですけど、ヘレナの場合は「あれがいい!」と使っていなかった杖の中から選ばれました。「杖の曲がり方が魔女の指みたい」といって気に入ったみたいです。ほかの杖と違った採用で面白かったですね。