アップルは「App Store」のルールを米国で変更した。外部の決済サービスを利用することを認めるが、27%または12%の手数料を徴収するという。3年越しで争ったEpic Gamesとの訴訟を受けてのものだ。
2023年通年シェアで初の首位となったアップル
2023年、スマホ市場は第1四半期の前年同期比13%マイナスからスタートし、最後の第4四半期は同8%増でフィニッシュした。2024年は回復が予想されており、実際にサムスンが発表した「Galaxy S24」は生成AIがスマホで使えるようになると、どのようなことが起こるのかを予感させた。カメラが中心だったスマホの競争に新しい要素が加わりそうで、久々のワクワク感を覚えた方も多いのではないか。
地味な2023年のスマホ市場において、重要なイベントは、アップルが初めて通年のシェアでトップとなったということだろう。IDCのデータによると、Appleのシェアは20.1%、僅差ではあるが19.4%のサムスンからトップを奪った。
そのiPhone/iPadでアプリを提供するには、App Storeを通すことは避けられなかった。有料アプリの場合、アップルとはその売上を“シェア”するのがビジネスモデルだ。基本的には売上の30%をアップルが徴収するというもので、一般に“アップル税”とも呼ばれる(前年の売上規模が100万ドル以下であれば15%)。
この仕組みに不満を唱えたのが、フォートナイトで知られるEpic Gamesだ。2020年、同社はアプリ内課金において「Epic Direct Payment」という独自の決済手段に移行するようにした。アップルはこれがルールに反しているとしてApp Storeからフォートナイトを削除、そして訴訟に発展した。当時、Epic GamesのCEO、Tim Sweeney氏は手数料の率は8%が妥当と主張していた。
しかし、判決ではEpic GamesはApp Storeのルールに違反しているというアップルの主張が認められ、Epic Gamesに対し、違反していた期間の売上の30%をアップルに支払うように命じた。アップルはアプリ内課金で外部決済の選択肢を提供することで折り合いをつけた。一方、Epic Gamesが主張している「アップルは独占している」という部分は認められなかった。
アプリ外での課金を認めるが
手数料は27%なので、実はあまり変わらない
今年1月、米連邦最高裁は、Epic Gamesとアップル双方の上訴を棄却した。そしてアップルは1月16日、App Storeのガイドラインを変更し、アプリ内課金で外部決済サービスを利用できる選択肢を提供できるようにした。あくまでも“選択肢”なので、アップルの決済を用いるアプリ内課金が、オプションに入っていることが前提だ。また、リンクを置くことができるのは1ページに限定するという条件もある。
合わせて、手数料についても明確にした。外部の決済サービスを利用した場合、27%を徴収する。アプリ内課金と同様に事業規模が小さい開発者にも配慮し、「App Store Small Business Program」を用意。同プログラムに入ることで、手数料の率を12%に抑えることができる。それぞれアプリ内課金より3%ずつ低い金額となる。
もっともこれに対する評判はよくない。以前からアップル税を批判していたSpotifyは、「アップルはまたもや、アプリストアでの独占の下に開発者と消費者を犠牲にし、収益を保護するためには手段を選ばないことを実証した」とコメントしている。
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