さくらインターネット、高知工科大学、シティネット、近畿大学、東京大学、他と共同でBeyond 5G MECに関するプラットフォームを開発
株式会社シティネット
~ソフトバンクのSRv6 MUPベース5G MEC環境にて広域分散コンピューティングのフィールドトライアルを実施~
2024年1月16日
さくらインターネット株式会社
高知県公立大学法人高知工科大学
株式会社シティネット
近畿大学
さくらインターネット株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:田中邦裕)、高知県公立大学法人高知工科大学(住所:高知県香美市、学長:蝶野成臣 、以下「高知工科大学」)、株式会社シティネット(本社:高知県南国市、代表取締役:渡邊基文)、近畿大学(住所:大阪府東大阪市、学長:細井美彦)は、国立大学法人東京大学、国立大学法人大阪大学サイバーメディアセンターと共同で実施しているBeyond 5G※1に関する研究において、クラウドとMEC※2とデバイス間でシームレスにアプリケーションの実行が可能な広域分散実行プラットフォームの「Giocci」を開発しました。また、ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)が構築したSegment Routing IPv6 Mobile User Plane※3(以下「SRv6 MUP」)ベースのMEC環境(以下「MEC環境」)を利用して、フィールドトライアルを実施します。
本研究を実施する6つの団体は2021年11月より、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が実施するBeyond 5G研究開発促進事業、研究開発課題名「関数型パラダイムで実現するB5G時代の資源透過型広域分散コンピューティング環境」(採択番号 04001)※4に参画し、分散コンピューティングに関して共同で研究を実施してきました。
この研究活動の一環としてこの度、クラウドとMECとデバイス間においてシームレスにアプリケーションを実行可能にする関数型言語Elixirによる広域分散実行プラットフォームを開発し、高知工科大学内のLocal5G※5設備と「さくらのクラウド」などのクラウドを活用したマルチクラウド環境を接続した広域分散コンピューティング実証実験環境や、ソフトバンクによるMEC環境において、サンプルとなるアプリケーションを稼働させフィールドトライアルを実施します。
本フィールドトライアルを通じ、様々なIoT機器と環境内のコンピュータを組み合わせ、次世代のコンピュータ通信インフラであるBeyond 5Gを実現するための研究開発および実証実験を推進します。
本研究における、各団体の役割
・さくらインターネット
クラウド環境を提供するとともに、エッジコンピューティングの技術開発、またBeyond 5G時代におけるアプリケーション想定とそれに適合したコンピュータ通信インフラの実現に向けた検討を実施しています。
・高知工科大学
構内にLocal5G設備を整備しテストベッド環境として供することに加え、5G基地局、交換局(5Gコア)、外部ネットワーク接続、および5G端末について、構築、利用、運用の高度化のための技術開発等を担っています。
・シティネット
IoT機器がクラウドやMEC環境上のリソースを透過的に扱うことができる広域分散実行プラットフォーム「Giocci」の設計・構築を担っています。また、各大学とマルチクラウド環境をSINET6で接続したインフラの設計および構築を行っております。
・近畿大学
広域分散環境における資源配置問題に関するアルゴリズム研究を情報学部にて担当しています。広域に計算資源が配置されるBeyond 5G時代において、IoT機器からエッジデバイス、クラウド環境をユーザ要件に合わせてかつ効率的に利用していくための研究となります。
構築したMEC環境について
ソフトバンクが設置したSRv6 MUPを活用した5G MEC環境にデバイス(Raspberry Pi 4)から5Gドングルを利用して接続し、開発したアプリケーションをMECサーバー、またクラウドにデプロイします。開発した広域分散実行プラットフォーム「Giocci」の機能により、要求性能や遅延時間等に合わせて最適な箇所でアプリケーションを実行させることが可能です。
将来的には、複数のLocal5G環境や商用MECサーバー、クラウドをシームレスに接続することで、5G環境下にあるコンピュータが要件に合わせて任意のMECサーバーやクラウドのコンピューティングリソースを利用することや、クラウドから広域に遍在する5G環境下にあるあらゆるコンピュータへアクセスを可能にすることも想定しています。
広域分散実行プラットフォーム:Giocciについて
Beyond 5G通信網のあらゆる計算資源と通信手順を抽象化し、自律性をもったプロセスによる透過的な処理配置を可能とすることで、Edge NodeとEngine Node同士の双方向アクセスを実現します。
また、Node上の処理は関数型言語Elixirを使用することで超並行および並列処理を実現します。GiocciのソースコードはApache 2.0ライセンスのもとオープンソースで公開しています※6。
従来、モバイルデバイスへのサービスを行うシステムは、モバイルデバイス自体のアプリとクラウド側のシステム構築との複数の構築を行う必要がありました。これに加えてMECが登場したことでMECを含んだ設計が必要となり、さらにシステム開発が複雑になりました。当該プラットフォームを用いることで、実行環境の複雑さに関係なく、一貫した一つのシステム開発のみでサービス構築することを可能にしました。
「JANOG53 Meeting」について
本研究結果は「JANOG53 Meeting」にて展示をします。
- 日程:2024年1月17日(水)~19日(金)
- 会場:博多国際展示場&カンファレンスセンター
- 詳細:以下のウェブサイトをご参照ください。https://www.janog.gr.jp/meeting/janog53/
参考情報
SRv6 MUPを活用した5G MECのフィールドトライアルを開始(2024年1月16日、ソフトバンク株式会社)
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2024/20240116_01/
※1 Beyond 5G / 5Gの「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった機能の高度化に加え、「超低消費電力」「超安全・信頼性」「自律性」「拡張性」といった持続可能で新たな価値の創造に資する機能を持つ次世代の移動通信システムにおける総称。
※2 MEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング) / ローカル5GやIoT機器などからのアクセスを考慮したエッジコンピューティングの規格。
※3Segment Routing IPv6 Mobile User Plane(SRv6 MUP)とは、5Gの特長を生かしたMECやネットワークスライシングなどを、従来のモバイルネットワークと比べて低コストで、かつ容易に実現する技術。
※4 Beyond 5G研究開発促進事業 委託研究(国立研究開発法人情報通信研究機構)
https://www.nict.go.jp/collabo/commission/B5Gsokushin/B5G_04001.html
※5 Local5Gとは、 一部のエリアまたは建物・敷地内において専用に構築された5Gネットワークのこと。
※6 Giocciのソースコードは、以下に公開しています。
https://github.com/b5g-ex/giocci
※掲載されている内容は発表時点の情報です。その後、予告せず変更となる場合があります。
※記載されている会社名、製品名は、各社の商標、もしくは登録商標です。
さくらインターネット株式会社
代表者:代表取締役社長 田中 邦裕
本 社:大阪府大阪市北区梅田1丁目12番12号
創 業:1996年12月23日
設 立:1999年8月17日
URL:https://www.sakura.ad.jp/corporate/
高知県公立大学法人高知工科大学
代表者:学長 蝶野 成臣
住 所:高知県香美市土佐山田町宮ノ口185
開 学:1997年4月1日
URL:https://www.kochi-tech.ac.jp/
株式会社シティネット
代表者:代表取締役 渡邊 基文
本 社:高知県南国市蛍が丘一丁目1番地1
創 業:1999年4月8日
設 立:1999年4月8日
URL:https://www.city-net.jp/
近畿大学
学 長:細井 美彦
住 所:大阪府東大阪市小若江3-4-1
創 立:1925年
URL:https://www.kindai.ac.jp/
■ニュースリリースに関するお問い合わせ先(報道機関窓口)
さくらインターネット株式会社 広報担当
問い合わせフォーム; https://sakura.f-form.com/sakurapr
高知県公立大学法人高知工科大学 広報課
E-mail:kouhou@ml.kochi-tech.ac.jp
株式会社シティネット 担当:大崎、西内
TEL:088-880-8844 Email:info@city-net.jp
学校法人近畿大学 経営戦略本部広報室 担当:坂本、粕谷
TEL:06-4307-3007 FAX:06-6727-5288 E-mail:koho@kindai.ac.jp