TCLはCES 2024でスマートフォンやアイウェアなどの新製品を発表した。スマートフォン関連では同社が力を入れている新世代ディスプレー「NXTPAPER」を搭載した5Gモデルが発表されている。
◆目に優しく消費電力も少ないNXTPAPERスマホ
NXTPAPERはディスプレー表面のナノエッチング処理と低ブルーライトフィルタリング技術により、紙のように目にやさしい表示ができるディスプレーだ。TCLのブースではスマートフォン「TCL 50 XL NXTPAPER 5G」とタブレット「TCL NXTPAPER 14 Pro」「TCL TAB 10 NXTPAPER 5G」の合計3機種が展示されていた。
TCL 50 XL NXTPAPER 5Gは6.78型120Hz駆動のNXTPAPERディスプレーを搭載する。現時点で公開されているスペックは、メインカメラが5000万画素、フロントカメラは800万画素、6GBメモリーと128GBストレージを搭載し、バッテリーが5010mAhであることのみ。チップセット情報などは不明。OSはAndroid 14を搭載する。
今回展示された3モデルのディスプレーは最新の「NXTPAPER 3.0」を採用する。NXTPAPER 3.0は前製品よりリフレッシュレートが高くなり、ブルーライトを最大61%カットできる。また、自然光の「発光 - 反射 - 屈折」経路をシミュレートするCPLスクリーンを導入したことで、自然光の下でディスプレーを表示する視覚効果が高まった。実際の紙のような見た目が向上し、目の快適さも高まっている。
NXTPAPER 3.0のディスプレー表示を実際に見てみると、室内でもライトの反射などがあまり気にならない。写真や動画の表示も若干淡い感じにはなるものの、不自然さはなく、長時間動画を視聴しても目は疲れにくいようだ。
電子ペーパーのような画面が書き換わる残像もなく、目に優しいディスプレーとしての実用性はかなり高いと感じられた。
NXTPAPERはスマートフォンだけではなくタブレットサイズの大型ディスプレーも実用化されている。TCL NXTPAPER 14 Proは14.2型、解像度2880×1800ドットのNXTPAPER 3.0搭載タブレットだ。こちらの製品もリフレッシュレートは120Hz対応、メモリー6GBとストレージ128GBを搭載し、バッテリーは12000mAhだ。
タブレットながらもカメラは5000万画素を搭載、カメラ周りのデザインは同時発表のスマートフォンと合わせた円形のカメラバンプを採用している。セルラーモデルはなくWi-Fi 6に対応、OSはAndroid 14である。
充電式のスタイラスによる手書き入力にも対応しており、クリエイティブツールやビジネス用途への展開も考えられているとのこと。キーボード付きカバーも別売してくれればノートPC風にも使えるだろう。この大きさのNXTPAPERは全体のぎらつきが抑えられていることから表示は見やすく、長時間イラストや漫画を描く用途などにも使えそうだ。
もう1つのNXTPAPERタブレットは、5Gに対応したTCL TAB 10 NXTPAPER 5G。10.4型2KのNXTPAPER 3.0ディスプレーを搭載し、カメラは800万画素を前後に搭載。6GBメモリーと128GBストレージモデルのみでバッテリーは6000mAh。OSはAndroid 14である。手ごろなサイズのタブレットであり、カメラ性能も低いことから、カラー対応の電子ブックリーダー的な用途が考えられている。
◆通知をいつでも見られるARグラスが便利
TCLはメガネ型のデバイス=アイウェアにも注力しており、日本でも「TCL NXTWEAR S」が発売中だ。CESのTCLブースに展示されていたのは、メガネのレンズの内側に通知や情報などを表示できるスカウター型の製品「RayNeo」シリーズだ。
2023年1月に発表された「RayNeo X2」は現在中国で販売中とのこと。普通の眼鏡に見えるがフレームの中央部分にはカメラも内蔵されている。重量は119gと比較的軽量だ。またメガネのつるの部分にはバッテリーやチップセットが内蔵されており、単体で使用できる。チップセットはクアルコムのSnapdragon XR2だ。
ディスプレイグラスとは異なり、RayNeo X2はメガネレンズの中央部に15×10mmの長方形の透明マイクロLEDディスプレーを埋め込んでいる。表示をしないときは透明なので、ここにディスプレーがあるようには見えないだろう。
1000nitと明るい表示が可能で、ナビゲーションや通知、翻訳などを表示できる。またカメラは、写真撮影だけではなくQRコードの読み取りなどにも対応する。画面の表示はカラーだが単色であり、文字や記号などを表示できる。写真や動画を再生するといった用途のグラスではない。
本体の操作はつるの部分をタッチ、前後へのスライドなどで行なう。タッチ感度は悪くなく、メニューの選択などもスムーズに操作できた。
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