2023年も先進的なオーディオ製品が数多く誕生しました。筆者が注目した製品を振り返りながら、2024年につながるポータブルオーディオのトレンドを予想してみたいと思います。
ソニー「INZONE Buds」
荒削りなところも含めて魅力的だった
2023年のオーディオ製品の中では、ソニーの「INZONE Buds」がとりわけユニークでした。10月27日に発売された、ソニーのゲーミングブランド「INZONE(インゾーン)」の左右独立型ワイヤレスイヤホンです。価格はオープンですが、ソニーストアの直販価格は2万9700円です。
本機はソニーのワイヤレスイヤホン/ヘッドホンのフラグシップである「1000Xシリーズ」の音づくりや、アクティブノイズキャンセリングと外音取り込みの技術を継承する実力派です。でも、かたやスマホにタブレット、パソコンとのBluetoothオーディオの接続が「LE Audio限定」という大胆な仕様。ステレオ収録されているゲームの音声信号を立体サウンドに変換する「360 Spatial Sound for Gaming」にもせっかく対応しているのに、今のところその機能がWindows PCでしか使えません。設定用のソフトウェア「INZONE Hub」がWindowsオンリーだからです。
若干荒削りな部分もありますが、それを補ってあまりあるほど「付属するUSB-Cトランスミッターによるデジタルワイヤレス・リスニング」が快適で魅力的です。
ようやくUSB-Cを搭載したiPhone 15 Proを含む、USB-C搭載のスマホやパソコンとの接続切り替えが驚くほどに簡単。送信側デバイスにUSBトランスミッターを付けかえるだけで、音楽リスニングやハンズフリー通話を素速くスイッチできます。Bluetoothのようにペアリングを失敗することも、筆者が試した限りではありませんでした。
例えばAirPods ProもiPhoneとMacなど、ユーザーのApple IDでサインインしているアップル製品どうしであれば、接続先のデバイスを素速くスイッチできます。一方でAirPodsシリーズは、AndroidやWindowsのデバイスも混在する環境で使う場合、やはりペアリングの再設定が必要です。INZONE BudsならUSBトランスミッターを差し換えるだけ。筆者はiPhoneとAndroidスマホを併用しているので、とても便利で快適でした。
イヤホンとUSBトランスミッターの間は2.4GHzデジタル無線接続なので、一般的なオーディオコーデックによるBluetooth接続よりも音声信号の遅延が格段に少ないことも特徴です。モバイルゲームを楽しむ際に有効ですが、USB-Cを搭載するiPadでGarageBandなどのアプリによる音楽制作をする方にもINZONE Budsはおすすめです。タップして弾いた鍵盤の音が遅れることなくワイヤレスイヤホンから聴こえてきます。
この連載の記事
-
第44回
Apple
【検証レポート】moraで買った音源をApple Vision Proで聴く方法 -
第43回
AV
【レビュー】Apple Vision Proはアップル流「耳をふさがないヘッドホン」だ -
第42回
AV
「操作が覚えられない問題」を解決! JBLの「液晶タッチリモコン」付きワイヤレスイヤホンが超便利 -
第41回
AV
ついにNothingのイヤホンがChatGPT対応! 実機を試してわかったこと -
第40回
AV
「いい音で聴ける」カセットテーププレーヤーFIIO「CP13」実機レビュー -
第39回
AV
【レビュー】ソニーの新ヘッドホン「ULT WEAR」は常識破りの重低音! 巨大なコンサート会場にいるみたい -
第38回
AV
Nothing EarをAirPods Proと対決レビュー! スタイリッシュなだけじゃなかった -
第37回
AV
Auracastによるマルチスピーカー再生が楽しい! JBL「GO 4」を聴く -
第36回
AV
【レビュー】楽器の練習や音楽再生にもよかった! ゼンハイザーの新モニターヘッドホン「HD 490 PRO」 -
第35回
AV
エレキギターも喜ぶ本格サウンド! BOSSのヘッドホンアンプ「KATANA:GO」 -
第34回
Apple
AirPods Proのノイキャン活用術 イヤーチップ交換も効果的 - この連載の一覧へ