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街に白く降り積もる雪。冷たく、はかなくも、美しい。そんな雪に包まれた中で繰り広げられる愛の物語を描いた映画4作品を紹介。
●『ハッピーニューイヤー』
韓国で恋愛映画の名手といわれるクァク・ジェヨン監督が雪の季節を背景に送り出したのは、ハン・ジミン、イ・ドンウク、ユナ(少女時代)ら豪華キャストによる愛の群像劇。舞台となるのは、クリスマスと新年を祝うホリデームードに満ちあふれた高級ホテル・エムロスだ。
男友だちに15年間告白できないホテルマネージャーやハンサムでお金持ちだけれど偶数にこだわる強迫症を持つホテルのCEO、5年連続で公務員試験に合格できずに恋人にフラれた就活生。ミュージカル女優を夢見ながらホテルの契約社員としてハウスキーパーの仕事をする女性、友人たちの告白チャレンジゲームに巻き込まれた高校生など、主に14人の男女をめぐる物語が展開する。
クリスマスから新年という、いちだんとロマンチックさが増すシーズン。作中の雪景色は、恋や愛が高まるような瞬間を優しく包み込み、そしていろいろな愛が結実するクライマックスを盛り上げる。雪が舞い散る中の告白やキスというストレートさにキュンとし、また新たな恋の始まりを白く彩る様子に心温まる。
●『Love Letter』
“岩井ワールド”や“岩井美学”などといわれる独特の映像美で知られる岩井俊二監督の長編第一作。
山岳事故で亡くなった婚約者の三回忌に参列した神戸在住の渡辺博子(中山美穂)は、彼が昔住んでいたという北海道・小樽の住所に手紙を出した。そこは国道になってしまったという場所。届くはずのない手紙だったが、ある日、返事が届く。差出人は亡き婚約者と同姓同名の女性・藤井樹(中山・2役)だった。
今の時代では少なくなった手紙のやり取りというノスタルジックで、またラブレターから始まる不思議な縁で広がっていく物語が、雪の世界をことさら美しくする映像でつづられる。博子が雪原の山に向かって「お元気ですか？」と叫ぶところは、この映画を代表する名シーン。切なくもあり、でも前に進む大切なシーンを、しんしんと降り積もった雪が受け止める。失ってしまった愛、すぐそばにある愛、過去の甘酸っぱい恋のような思い…。さまざまな愛情が交錯する。
●『シザーハンズ』
鬼才ティム・バートン監督による名作と名高い本作は、純真無垢(むく)な心を持つ人造人間と少女が心を通わせるファンタジー。
丘の上の屋敷で孤独に暮らしていた老いた発明家が作り出した人造人間のエドワード(ジョニー・デップ)。発明家が突然亡くなり、エドワードは両手がハサミのままの不完全な状態で取り残されてしまう。ある日、化粧品のセールスにやってきたペグ(ダイアン・ウィースト)が彼を自宅に連れ帰ることに。エドワードはペグの娘・キム(ウィノナ・ライダー)に恋をし、植木を動物や人の形に整えたり、住人の女性たちの髪型をセットしたり、独自の美的センスとハサミの手を使って街の人気者になっていく。
キムたちが暮らす、パステルカラーの家々が並ぶかわいらしい街は、雪が降らない。そのなかでの“雪”のシーンは、クリスマスが近づいたある夜に、エドワードが氷の彫刻を作るところだ。削られた氷が雪のように舞い落ち、そこでキムはうれしそうに踊った。
けれども、キムの彼氏に嫉妬されるなど、人々の悪意が向けられるようになってしまうエドワード。雪が降らない街に雪が降る、愛しくて切ない奇跡が胸を打つ。
●『クーパー家の晩餐会』
ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、アマンダ・セイフライドらベテランから若手俳優までがそろって描かれるのは、クリスマスイブの夜に集まる4世代の家族の物語。
ある決意を秘めた40年連れ添ったシャーロット(ダイアン)とサム(ジョン)夫婦、シャーロットの父・バッキー(アラン・アーキン)とウエートレスのルビー(アマンダ)は年の差のある友人、姉・シャーロットと会えばけんかばかりで憂鬱なエマ(マリサ・トメイ)、実は不倫中だが空港で出会った男性を“理想の婚約者”として連れ帰るシャーロットの娘・エレノア(オリヴィア・ワイルド)、最近離婚したうえ失業もしてしまったシャーロットの長男・ハンク(エド・ヘルムズ)とその3人の子ども。
窓の外の雪景色に対し、家の中は一見温かいのだけれど、うそや秘密がバレないかドキドキ。そんなユーモアたっぷりのホームドラマのなかにいくつものラブストーリーが。欧米でのヤドリギの下でキスをするとハッピーになれるという風習もポイントで差し込まれ、雪の降るクリスマスの日が愛で包まれる。
