Silent-Master NEO Z790 Mini/D4をレビュー
超静音仕様のRTX 4060 Ti搭載グラボ&14700KFのゲーミングPCは夜中でも気兼ねなし
2023年11月23日 11時00分更新
騒音計が示した高い静音性
まずは騒音計を用い、どの程度の動作音なのか測ってみた。なお、無響室ではなく、ごく一般的なマンションの一室で検証しているため、正確な数値でない点はご了承いただきたい。
上記の写真では、見た目のわかりやすさを優先して騒音計とPCを近づけているが、検証はPC正面から約40cmの距離で測っている。PCを机の上に置いて使用するという想定だ。
PCの電源を切っている時の暗騒音は約32.1dB。対して、電源を入れて5分ほど経過した時(アイドル時)は約33.2dBだった。その差はほんのわずかで、本当に電源が入っているのかわからないレベル。
では、PCに負荷をかけた場合はどうなるか? ストレステストソフト「MSI Kombustor」(フルHD、デフォルト設定)でビデオカードに負荷をかけてみると、それでも約37.2dBと動作音はかなり抑えていた。
もちろん、ファンの駆動音は聞こえるものの、小声で会話してもジャマにならない程度で、日中昼間であればまず気にならない大きさだ。Noctua製ファンを搭載した独自ビデオカード、Silent Master Graphicsの実力は本物だ。
次はCPUに負荷をかけた場合の動作音を見てみよう。こちらは2段階に分かれる。短時間ブースト状態となるPL2と、長時間負荷が続く場合のPL1という、2つの電力制限があるためだ。
試用機材に搭載しているCore i7-14700KFのインテル標準電力設定はPL2が253W、PL1が125W。しかし、この値はBTOパソコンメーカーが自由に設定できるので、PCによっては値が異なる。
例えば、強力なCPUクーラーを搭載しているなら、この値を引き上げることでより高クロックで動作する高性能PCになる。Silent-Master NEO Z790 Mini/D4の場合、PL1が160W、PL2が253Wという設定になっていた。
試したベンチマークソフトはCGレンダリングの「CINEBENCH R23」。同ソフトはCPUの全コアに負荷をかけるテストがある。そして、最初はPL2で動作し、一定時間後にPL1動作に移行する。
PL2時の動作音を測ってみたところ、約38.4dBだった。数値的にはMSI Kombustorの時よりも大きいものの、体感ではさほど変わらない。当然、日中昼間ならほとんど気にならず、音楽をかけてしまえばまずわからないボリュームだ。
なお、PL1動作時は驚くことにたったの約33.9dB。深夜、静かな部屋であれば「アイドル時よりも若干ファンの回転数が高くなったな」と感じ取れるかもしれない。しかし、実は電源が入っていないと言われたら、思わず信じてしまうほど静かだ。
高負荷時は多少音が聞こえるものの、不快になるほどうるさくはなく、せいぜい冷蔵庫と同レベル。深夜にフル稼働させても、同居人に怒られる心配はまずないだろう。
絶妙な電力設定で静かでも高性能
とはいえ、いくら静かでも性能が低ければ魅力に欠ける。というわけで、ここからは性能面を深掘りしていこう。ビデオカードに関しては前回、高負荷時でも72度前後までしか上昇せず、本来の性能が引き出せることが確認できた。CPUはどうだろうか?
そこで、まずはCINEBENCH R23のスコアーをチェックすることに。結果は「pts」という単位の独自スコアーで表示され、性能が高いほどスコアーも高くなる。
Multi Coreテストは30159pts、Single Coreテストは2209pts。手元に、今回の試用機材と同じくCore i7-14700KFを搭載したPCのテスト結果があったので比べてみよう。
それによると、Single Coreテストは2196ptsとほぼ同じだったのに対し、Multi Coreテストは31434pts。Silent-Master NEO Z790 Mini/D4のほうが数パーセント低い計算になる。
これは電力設定の差だと思われる。本機はPL1:160W、PL2:253Wだが、比較PCはPL1:160W、PL2:無制限のため、PL2動作時の粘り次第では、ほんとのちょっと上振れする可能性があるのだ。では、本機のPL2設定も無制限にすればあるいは……と考えたが、温度を見てみるとそうもいかない。
PL2動作時はCPUパッケージ温度が100度を超え、サーマルスロットリングで動作クロックが落ちていた。また、PL1動作時もCPU温度は80度前後となっており、これ以上はあまり上げたくない。PL設定はこのあたりが限界だろう。
とはいえ、この数パーセントのスコアー差を現実的に体感することは少ないだろう。つまり、性能・静音性・冷却のバランスを考えると、試用機材の電力設定こそが最適なのだ。サイコムの妙技と言っていい。