漫画家、イラストレーターの中で、AIの印象は二極化している
また、興味深かったのがトークセッションです。私が全体的に興味深かったのが「今後AIとどう共存していくか」という部分です。
1つめのトークセッションは、「AIアートの今日と明日」というテーマで、エンジニア/漫画家の千代田まどか/ちょまどさん、第一回アートグランプリ グランプリ受賞者の松尾公也さん、準グランプリ受賞者の小泉勝志郎さんが登壇しました。
千代田さん、松尾さん、小泉さんはまず、自身のAIを使用した作品を紹介していました。その中で興味深かったのが、千代田さんの「漫画家やイラストレーターの評価が2極にわかれている」というお話です。
多くの漫画家さんやイラストレーターさんが、AIの画像生成についてネガティブな感情を抱いているそうです。理由としては、本人に無許可で学習してたということに感じる怒りだったり、何年もスキルを磨いているのに、数十秒で生成される絵が上手いということに感じる悲しみだったりがあるとのことです。
ただしその反面、AIを使って新しいチャレンジを使用としている人もいるそうです。千代田さんもその1人で「そもそも絵が描くことが好きなので、AIで生成された絵についてもあまり気にしないですし、絵を描くことは辞めないですね。むしろ背景を描くことが面倒なので、AIに描いてもらったりしています」と話していました。
また、「こういう絵を描きたいなというときに、ゼロベースからアイデアを出すのは難しいんですね。そういったときに、インスピレーションをもらう種出しとしてAIを使うということで、新しい未来が広がるんじゃないかなって思います」とも話していました。
確かに、自身でも絵ではなく仕事で記事を書くことが結構ありますが、記事のすべてを任せるというわけではなく、アシスタント的にAIを駆使するというのはありだなと思いました。そういった意味で、このお話にはとても興味深かったです。
また、亡くなられた奥様の声を取り込んで、AIと組み合わせるという取り組みをされた松尾さんは「自身がやっている取り組みがアートなのかというのは、自分でも疑問に思うことがありますし、ほかの人からクリエイターと名乗っているけど(作業するのは)AIがやるんだろ? と言われることもたまにあります。ただ、AIアートというものがカテゴライズされていて、海外ではすでに始まっているのも事実です」と話していました。
このようなお話も聞いて、AIをどうとらえるかにおいて、ポジティブな意見とネガティブな意見があれども、共存だったり上手く使えるというのも、アートとしてはありになっていくのではないかなと考えさせられました。
