レバーレスのアーケードコントローラーが爆発的な人気を誇っています。ボタン入力でキャラクターを操作するわけですが、レバー入力より遅延が少なく、同方向への連続入力や“溜めコマンド”の入力が素早くでき、斜め方向の入力ミスも格段に減るなどの理由で、おもに格闘ゲーマーから注目されています。
レバー入力に慣れすぎている筆者は、ボタンでの方向入力はかなり難易度が高く感じます。とくに1P側と2P側の立ち位置が入れ替わったときは入力が左右逆になりますが、立ち位置が激しく入れ替わるとボタン入力では混乱してまともに操作できなくなります。
こうした最新デバイスを使いこなす人を見ると「すごいなぁ」と感心してしまうわけですが、同時に「こんな入力デバイスよく思いついたな」と、製品を開発したメーカーに関心が向いてしまいます。
こういった斬新な入力デバイスは過去にもさまざまなものがありました。そこで、過去20年間の秋葉原PCパーツショップ取材で筆者が衝撃を受けた斬新な入力デバイスを紹介していきましょう(※記事内の価格は発売当時の実売価格となります)。
■鏡? いえキーボードです
「COOL LEAF」は、キートップをすべてなくした、全面フラット仕様のキーボードです。鏡面パネルに文字が浮かび上がるという斬新なデザインで、高いインテリア性だけでなく、医療現場や照明を暗くしたホームシアター、清浄性が求められる食品工場やクリーンルームなど、さまざまな用途で活用できます。手袋(手術用)をしたままでも入力でき、感度調整および入力確認音のON/OFF切り替えも可能です。現在は後継機の「COOL LEAF2」が発売中(2万7000円)です。
■SF映画で見たことあるやつ
「TK-PBL042BK」は、机上などの平面に赤色光が照射され、キーの形を投影する近未来感あふれるキーボードです。投影されたキーに直接触れると、センサーが感知して文字入力が可能になります。本体は場所を取らない超小型ボディですので、デスクスペースを有効に使用できるうえ、キーボードそのものを持ち運ぶ必要がないため、モバイルにも最適です。ただ、これを使用していると周囲の注目をものすごく集めてしまうので、周りの視線に動じない精神力、あるいは忍者のような隠密性が求められます。
■心臓のドキドキがバレてしまうマウス
「NAOS QG」は、手のひらが当たるマウス表面に心拍センサーとガルバニック皮膚反応センサーを内蔵し、ユーザーの身体反応を収集できるマウスです。収集したデータを分析すれば、冷静にプレイできているかを確認できるわけです。データはゲーム画面上にリアルタイムでオーバーレイ表示できますので、ホラーゲームで誰が一番怖がったか、どこで一番怖がったか、などもバッチリわかってしまいます。パーティプレイで盛り上がること間違いなし!
■風が出るマウス
「ClicknJOY」は、マウスに内蔵されたファンが、手のひらに風を当ててくれるので、汗をかきにくくなるというアイデア商品。汗っかきな人や真夏のゲームプレイにいいかと思いましたが、ファンの騒音がわりとうるさいうえ、ファンが回っているとわずかに振動を感じるので、ゲームにはあまり向いていませんでした。その後、類似品が数社から出回りましたが、やはりすぐに姿を消してしまいました。
■ネジ回し内蔵の合体変形マウス
「Cyborg R.A.T. 7」は、サイバーな見た目がインパクトを与えるマウスです。本体内部には取り外し可能な小型の六角レンチを搭載。各部のネジを緩めたり閉めたりすることで、ユーザーの手に合った調整が可能という、サイズ調整機構を備えています。
手のひらに当たる部分や小指側のパーツは、滑り止めがついたタイプに交換できます。さらに本体には6グラム×5個のウエイトを内蔵しているので、ウエイトの増減で自分好みの重さに調節可能です。
変形だけでなくパーツの付け替えまでできるという、男の子にはたまらないギミックを満載! 実際、この製品はマウスとしては高額ながらも飛ぶように売れ、その後も数多くの兄弟機を輩出しました。
唯一の難点は、表面がフラットではないので、調整がうまくいかないと繋ぎ目などに手のひらの肉を挟んでしまい、たまに痛い思いをすることです。ですが、あまりにカッコ良すぎる外観が、その痛みに耐えてでも使用したいと思わせる逸品です。
■多ボタン+超軽量+防滴・防塵の全部入りマウス
「Aerox 9 Wireless」は、18個のプログラム可能なボタンを搭載したMMO RPG向けマウスと、徹底した肉抜きで軽量化を図ったFPS向けマウス、さらにIP54準拠の防滴・防塵性を備えたモバイル向けマウスという、異なる性質を持つ3つのマウスを混ぜ合わせた「ボクが考えた最強のマウス」を地でいく製品です。おまけにLEDによる発光機能も付いています!
3つのマウスを使い分けずに済むという利点がありますが、逆に使いづらそうに見えてしまうのはナゼでしょう。用途別に製品を出すのではなく、1つの製品に全部を詰め込むコンセプトにGOサインを出したメーカーの勇気に脱帽です。
■カッコイイデバイスは使いこなすのが難しい
いかがでしょうか。「これは欲しい!」と思ったものもあれば、「なんじゃこれ?」と思ったものもあったでしょう。PC周辺機器のなかでもとくに入力デバイスは前衛的な製品が多く存在します。それをカッコイイと思うか変と思うかは人それぞれですが、それらを触るときは無性にワクワクするものです。そのワクワクが一定ラインを超えると人は衝動買いをしてしまうのでしょう。結果、使いこなせず買ったことを後悔するわけですが、カッコイイ服を着こなすのが難しいように、カッコイイデバイスを操るのも難しいものです。
冒頭のレバーレスアケコンが対戦で有利なのは頭では理解できますが、おじさん世代の筆者にはレバーを使わずキャラクターを自然に操作できる人が、どうしても変な人に見えてしまいます。どうせ変な人に見られるなら、アケコン以外も変なデバイスでそろえてしまったほうが、むしろ「最先端の入力デバイスを使いこなせる人」に見えてカッコ良く見えます。なので、カッコ良く見られたい人は、最先端デバイスをたくさん集めるといいでしょう。少なくとも筆者はカッコイイなと思いますよ、きっと。
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