
大阪工業大学、台湾の国立陽明交通大学、東京工業大学の国際研究チームは、らせんの形をした極小ガラス容器に蛍光分子と溶媒を入れるというシンプルなアイデアで、緑から青色まで自在に円偏光発光(CPL)の発光色を制御する技術を確立した。CPLを示す材料は現在、3次元ディスプレイや量子コンピューターへの応用展開が期待されている。
大阪工業大学、台湾の国立陽明交通大学、東京工業大学の国際研究チームは、らせんの形をした極小ガラス容器に蛍光分子と溶媒を入れるというシンプルなアイデアで、緑から青色まで自在に円偏光発光(CPL)の発光色を制御する技術を確立した。CPLを示す材料は現在、3次元ディスプレイや量子コンピューターへの応用展開が期待されている。 研究チームは今回、独自の手法で調製した、らせん形状の極小ガラス容器にアキラル(鏡に映った像を重ね合わすことができる性質)な蛍光分子と溶媒を入れることでCPLが観測されることを発見。さらに、溶媒の種類(水、メタノール)およびその混合比を変えることで、発光色を緑から青色まで自在に変化させることに成功した。 同研究の成果により、安価なアキラルな分子を使ってCPL材料の開発が可能になるほか、ガラス容器の中に溶液が含まれた固体粉末としてCPL材料を取り扱えるようになる。CPL材料にはこれまで、キラル(鏡に映った像を重ね合わすことができない性質)な構造の高価な分子が使われており、CPLの色を変化させるにはその都度キラル分子を作る必要があった。 研究論文は、米国化学会の「ジャックス・エーユー(JACS Au)」に2023年9月15日付けでオンライン掲載された。